発症から診断・治療までの経過時間が、救命率・治療成績・長期予後に大きく影響します。当科では独立した血管造影室を有し、24時間対応可能な専門スタッフ(医師・看護師・放射線技師・CCU病棟)体系を確立しております。24時間の迅速な対応が、当院来着時から心臓カテーテルによる検査・治療までの時間(平均救命センター来着から検査開始までの時間経過:30分未満)短縮に大きく貢献しています。昨今急激な症例数の増加傾向にあり、年間100例の急性心筋梗塞患者さんへの緊急治療に従事しています。
心臓血管外科と密にカンファレンスを行い、内科的治療・外科的治療を十分に検討吟味し、最良の治療方針を決定しています。また最近の循環器疾患の特徴でもある他の合併疾患(糖尿病、腎不全、人工透析患者)に対しても、総合病院の特色を最大に活かし診断・治療を行っております。
従来の検査方法に加え、心臓核医学(MIBG、TL、BMIPP)による心臓の交感神経・灌流・代謝機能を評価し、積極的に最近の心不全治療の主流であるβ遮断剤療法、臓器保護剤を取り入れております。また重症心不全イベントに対しては、経皮的心肺補助(PCPS)、大動脈バルーンポンピングが駆動可能です。
2013年より、心不全に対するペースメーカー治療(心臓再同期療法)を開始致しております。
(1)徐脈性不整脈
恒久的ペースメーカー植え込み術施行し、多くの患者さんが高い身体活力を享受されています。またペースメーカー外来、ICD外来を設置し、ペースメーカー(ICD含)植え込み術からその後の管理まで一貫して行っております。
(2)植え込み型除細動器(経静脈および皮下植え込み)
致死的心室性不整脈に対して、植え込み型除細動器の認定基準を取得しており、十分な治療成績を納めております。
各種心臓弁膜症に対する治療を行っております。患者さんの状態に応じて、心臓血管外科と連携し診療にあたっております。2018年には、大動脈弁狭窄症に対するカテーテル治療(TAVI)が茨城県で4施設目として認可され、実施できるようになりました。TAVIは、開胸手術を行うにはリスクの高い患者さん(高齢で体力のない患者さん、併発疾患のため開胸手術が困難な患者さん等)に対しましても人工弁を用いた根治治療ができる治療です。体の負担が少ないTAVIにより、短期間の入院で早期の社会復帰ができるようになっております。
日立総合病院では、日本循環器学会の循環器専門医研修施設であり、ほとんどすべての循環器疾患を扱っています。また独立した集中治療室(CCU)を有し、あらゆる循環器疾患の急性期イベントに対して24時間迅速な対応が可能です。これまでの通算心臓カテーテル検査は21,000例、経皮的冠動脈形成術は8,000例を超え、十分な経験を有する循環器専門医が勤務しております。当科の最大の特徴は、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)のみならず不整脈や心筋症などの全ての循環器疾患に幅広く対処可能である事と、急性心筋梗塞を代表とする循環器疾患の急性期イベントに全て対応可能であることです。特に県北医療圏に於ける循環器系の急性イベントに真摯に対応する事が、当科としての最大の責務であるとスタッフ一同認識しています。
診療統計 | |||||||||||
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診療内容 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | ||||||
入院患者数 | 1,238 | 1,246 | 1,468 | 1,398 | 1,438 | ||||||
CCU入院患者 | 609 | 574 | 653 | 516 | 471 | ||||||
急性心筋梗塞(AMI) | 96 | 100 | 124 | 87 | 115 | ||||||
冠動脈造影検査(カテ総数) | 678 | 739 | 738 | 706 | 771 | ||||||
全経皮的冠動脈形成術 | 283 | 271 | 330 | 263 | 273 | ||||||
緊急経皮的冠動脈形成術(d-PCI) | 112 | 120 | 146 | 136 | 136 | ||||||
経皮的心筋焼灼術 | 47 | 114 | 130 | ||||||||
ペースメーカー(ICD含) | 31 | 49 | 56 | 60 | 99 | ||||||
心臓超音波検査(心エコー) | 4,169 | 4,010 | 4,151 | 5,044 | 4,860 | ||||||
運動負荷心電図検査(トレッドミル) | 376 | 305 | 355 | 335 | 341 | ||||||
24時間心電図検査(ホルター心電図) | 997 | 901 | 991 | 1,260 | 1,452 | ||||||
心筋核医学検査 | 340 | 541 | 189 | 291 | 254 | ||||||
心肺運動負荷検査(CPX) | |||||||||||
経カテーテル大動脈弁治療(TAVI) |
診療統計 | |||||||||||
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診療内容 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | ||||||
入院患者数 | 1,472 | 1,360 | 1,270 | 1,267 | 1,239 | ||||||
CCU入院患者 | 501 | 490 | 472 | 496 | 515 | ||||||
急性心筋梗塞(AMI) | 114 | 103 | 103 | 106 | 103 | ||||||
冠動脈造影検査(カテ総数) | 682 | 569 | 445 | 445 | 556 | ||||||
全経皮的冠動脈形成術 | 258 | 246 | 221 | 215 | 281 | ||||||
緊急経皮的冠動脈形成術(d-PCI) | 133 | 128 | 142 | 129 | 176 | ||||||
経皮的心筋焼灼術 | 143 | 139 | 176 | 121 | 0 | ||||||
ペースメーカー(ICD含) | 100 | 86 | 104 | 104 | 97 | ||||||
心臓超音波検査(心エコー) | 5,182 | 5,270 | 3,614 | 3,667 | 3,695 | ||||||
運動負荷心電図検査(トレッドミル) | 302 | 258 | 241 | 177 | 172 | ||||||
24時間心電図検査(ホルター心電図) | 1,437 | 1,205 | 918 | 925 | 998 | ||||||
心筋核医学検査 | 225 | 200 | 191 | 184 | 195 | ||||||
心肺運動負荷検査(CPX) | 171 | 49 | 46 | 24 | |||||||
経カテーテル大動脈弁治療(TAVI) | 24 | 36 | 45 | 43 | 46 |
独立した冠疾患集中治療室(CCU)を有し、殆どの循環器疾患の急性期イベントに対して24時間迅速な対応が可能です。昨今重症心血管イベントが急増しています。速やかな集中初期対応が生命に関わる転帰に直結しており、重症心血管急性期イベントに積極的に対応しています。
鈴木 章弘 (主任医長)
1993年新潟大学医学部卒。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本救急医学会専門医。
専門領域は循環器救急。
樋口 甚彦 (主任医長)
2001年筑波大学医学専門学群卒。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会認定医・心臓カテーテル治療専門医、日本経カテーテル心臓弁治療学会指導医。
専門領域は虚血性心疾患と心臓画像検査。
山内 理香子 (主任医長)
2003年帝京大学卒。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会認定医。
専門領域は、虚血性心疾患と高血圧症。
遠藤 洋子 (主任医長)
2006年帝京大学卒。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会認定医。
専門領域は虚血性心疾患と心不全。
篠田 英樹 (医長)
2016年昭和大学医学部卒。日本専門医機構認定内科専門医、日本医師会認定産業医。筑波大学附属病院を経て2020年4月より当院勤務。
大津 和也 (医長)
2013年筑波大学医学群卒。日本内科学会認定医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会認定医。横浜労災病院を経て2023年4月より当院勤務。
掛田 大輔 (医員)
2018年高知大学医学部卒。総合病院土浦協同病院、筑波大学附属病院、茨城県立中央病院を経て2022年4月より当院勤務。
茂木 奈穂 (医員)
2018年筑波大学医学群卒。国立病院機構水戸医療センターを経て2024年4月より当院勤務。
佐藤 琢耶 (医員)
2019年岩手医科大学医学部卒。日立総合病院、筑波大学附属病院を経て2022年4月より当院勤務。
谷田部 博貴 (医員)
2021年筑波大学医学群卒。筑波大学附属病院を経て2024年4月より当院勤務。
見城 通友 (医員)
2022年岩手医科大学卒。国立病院機構水戸医療センターを経て2024年4月より当院勤務。
多くの臨床実績を国内学会に発表していますが、最近では例年に亘り一流の国際学会にも聴衆・発表経験を有し、自らの専門領域を切磋琢磨するとともに最先端の知見を習得していきたいと、スタッフ一同考えております。
2000年11月 米国心臓病学会(AHA)演題発表
2001年 9月 欧州心臓病学会(ESC)聴衆
2002年 9月 欧州心臓病学会(ESC)演題発表
2002年10月 Transcatheter cardiovascular therapeutics(TCT)聴衆
2003年 5月 国際心臓核医学会議(ICNC)演題発表
2005年 5月 国際心臓核医学会議(ICNC)演題発表
2007年 5月 国際心臓核医学会議(ICNC)演題発表
2008年10月 Acute Cardiac Care2008(European Society of Cardiology)演題発表
2009年10月 国際冠状動脈疾患学会(ICCAD2009)演題発表
2010年 3月 米国心臓病学会(ACC)演題発表
2010年11月 米国心臓協会(AHA)演題発表
2011年 9月 欧州心臓病学会(ESC) 演題発表
2013年 2月 EuroPRevent ポスター発表
2013年 9月 欧州心臓病学会(ESC) 演題発表
2013年12月 欧州心エコー図学会(EuroEcho Imaging 2013) 演題発表
2014年 1月 AsiaPCR演題発表
2014年 9月 欧州心臓病学会(ESC) 演題発表
2015年 1月 AsiaPCR演題発表
2015年 8月 欧州心臓病学会(ESC)演題発表
2016年10月 Asia Pacific Heart Rhythm Society Scientific Session演題発表
2018年 9月 Transcatheter cardiovascular therapeutics(TCT)演題発表
2018年10月 Asia Pacific Heart Rhythm Society Scientific Session演題発表
2019年 3月 European Heart Rhythm Association(EHRA)演題発表
2019年 9月 Transcatheter cardiovascular therapeutics(TCT)演題発表
2019年10月 Asia Pacific Heart Rhythm Society Scientific Session演題発表
施設基準