日立総合病院は茨城県北二次医療圏(日立市・高萩市・北茨城市)約26万人の地域医療を担う「地域医療支援病院」として日々業務に取り組んでおります。
高度急性期医療として、地域がんセンター、救命救急センター、手術室、慢性期医療として、回復期リハビリテーション病棟、緩和ケア病棟を有しており、それぞれの場面で薬剤師が活躍しています。
がん治療に関しては薬剤師外来や化学療法センターで副作用の早期発見、支持療法の提案、抗がん剤の混合調製を行います。救命救急センターや手術室では刻々と変化する治療に対してタイムリーに適切な薬剤を提供できるよう努めています。患者さんに安全な薬物治療が遂行できるよう、薬剤を使用する場面では必ず薬剤師が関わっていきたいと考えています。
「薬の専門家として適正使用の推進と安心・安全な医療に貢献」
薬局長プロフィール
田村 明広 薬局長
明治薬科大学(大学院)卒業
日立総合病院は茨城県北地域の急性期医療を担う病院として様々な疾患を有する患者さんが来院されています。当院のスローガンは、患者さんの立場に立った「温かい医療」を提供する「温かい病院」であり、10の院長方針があります。
その内の一つに、相手の立場に立った配慮と職種を越えた連帯感による「ONE TEAM」を体現し、チーム医療を実践するとあります。薬務局においても、楽しいことも困難なこともスタッフで共有しONE TEAMで取り組んでいます。また、がんや感染の専門薬剤師や認定薬剤師の取得者も多く、病院薬剤師としての業務が実践できる部署です。
これまでの10年は変化に富んでいましたが、これからの10年は、今までよりも更に変化していくことが想像できます。DXが進み業務の仕方や働き方を変化させていくことが必要であり、かつ様々な経験を積んで薬剤師一人ひとりがキャリアップを図る必要があります。
そのためにも、薬剤師として何ができるのか常に考え実践し多様性に対応できる組織を目指していきたいと思います。
人員 |
薬剤師 45名 (女性:27名、男性:18名) アシスタント 15名 |
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年齢構成 |
20代 17名 30代 15名 40代 8名 50代 5名 |
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資格取得一覧 (順不同) |
感染制御認定薬剤師 糖尿病薬物療法認定薬剤師 糖尿病療養指導士 日本くすりと糖尿病学会履修薬剤師 NST専門療法士 肝炎医療コーディネーター 日本臨床薬理学会認定CRC 日本医療薬学会医療薬学指導薬剤師 がん専門薬剤師 がん薬物療法認定薬剤師 外来がん治療認定薬剤師 骨粗鬆症マネージャー 救急認定薬剤師 栄養サポート専門療法士 スポーツファーマシスト 日本病院薬剤師会病院薬学認定薬剤師 漢方薬・生薬認定薬剤師 腎臓病療養指導士 腎臓病薬物療法学会単位履修修了薬剤師 |
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チーム医療 |
抗菌薬適正使用支援チーム(AST) 感染対策チーム(ICT) 骨折リエゾンサービス(FLS) 栄養サポートチーム(NST) 認知症ケアチーム(DCT) 代謝内科チーム |
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出身大学一覧 (順不同) |
明治薬科大学(大学院) 東京理科大学 昭和大学(大学院) 城西大学 東北医科薬科大学(大学院) 国際医療福祉大学 星薬科大学(大学院) 東邦大学 |
福山大学(大学院) 北里大学 北陸大学 東京薬科大学 千葉科学大学 奥羽大学 慶応義塾大学(共立薬科大学) 昭和薬科大学 |
当院の治験業務では主に、臨床試験(治験)、自主臨床試験、市販後調査を行っています。
治験は製薬会社からの依頼で承認前の薬剤をプロトコルに則って使用し、有効性、安全性のデータを収集しています。当院では主に第Ⅲ相試験を取り扱っています。
自主臨床試験は主に医師の依頼で、承認後の薬剤をプロトコルに則って使用し、薬剤Aと薬剤Bではどちらの薬剤が有効かといった研究のサポートを行います。
市販後調査はすでに市販されている薬剤で、未知の副作用はないかを調査しています。
治験と自主臨床試験では当院の治験コーディネーター(CRC)が医師と一緒に検査項目のチェック、薬物投与、患者さんの体調確認を行い、プロトコルに沿った試験が安全に実施できるよう患者さんと医師のサポートを行っています。
院外のCRCにもご協力いただき、治験を進めています。
【メンバー】
薬剤師 : 3名
【治験・自主臨床試験】
臨床試験を行う場合、患者さんの同意が必須になります。医師が同意説明文書を用いて試験の内容、利益、不利益についてインフォームドコンセントを行います。その後CRCが細かな内容の補足説明を行います。同意後は患者さんの来院に付添い、試験をサポートします。
【市販後調査】
市販後間もない薬剤や、試験症例が少ない薬剤などでは市販後に実臨床でのデータを収集する場合があります。収集されたデータがもとになり、添付文書の改訂が行われることがあります。
調剤では、主に入院患者さんが使用する薬剤の調剤を行っています。1日の平均処方枚数は日勤:195枚、当直22.5枚となっています。
外来処方は99.4%が院外処方となっており、外来院内処方は特殊な薬剤のみになっています。夜間の当直時間帯も日立薬剤師会のご協力のもと、院外処方せんを発行しています。当直に一人で入れるようになるまで先輩たちがしっかりサポートします。
病院調剤においてもIoTは喫緊の課題であり、限られた人員の中で時間を有効に利用し、安全に調剤を行うために調剤の自動化に取り組んでいます。
メンバー
薬剤師:4名
調剤アシスタント:2名
業務体制
日勤 8:15~16:30 薬剤師4名、アシスタント2名
当直 16:30~翌8:15 薬剤師1名
休日 8:15~16:30 薬剤師1.5名
当直に関しては4月に入社し、約3か月調剤室で研修を行います。
進捗具合によりますが、7月前後から当直を行っていただきます。
休日は8:15~12:00が2名、12:00~16:30が1名の1.5名体制で行います。
導入機器一覧
自動錠剤分包機:処方データを受け取り、自動で薬剤の一包化を行います
散薬監査システム:処方データと散薬瓶をバーコードで照合し、重量鑑査を行います
水薬監査システム:処方データと水薬瓶をバーコードで照合し、重量鑑査を行います
錠剤ピッキング鑑査システム:処方データと錠剤をバーコードで照合します
錠剤一包化鑑査支援システム:一包ずつ写真撮影し、処方データと照合します
一包化錠剤仕分け装置:返却された一包化薬剤を自動で仕分けします
麻薬管理システム:処方データと薬剤をバーコードで照合し、員数管理を行います
当院の院内処方せんの様式です。
患者さんの性別、年齢、体重、腎機能が記載されています。電子カルテを開かなくてもある程度の情報が得られるようになっています。腎機能に注意が必要な薬剤は処方せんに注意の記載があるため、処方監査の際に役立っています。
当院の院内調剤は可能な限り一包化されています。錠剤鑑査に膨大な時間が割かれてしまうため、機械の力を借りています。一包ずつ写真撮影をし、異物や間違った錠剤混入がないかを検査しています。薬剤師の最終鑑査をサポートします。
一包化された薬剤以外の薬剤は調剤アシスタントが取り揃えを行います。処方箋にバーコードが記載されており、処方内容と薬剤が相違ないか照合します。夜間に一人で調剤する際や、名称が似た薬剤、複数規格ある薬剤の取り違い防止に役立っています。
一包化された薬剤が返却された場合、ばらして薬剤の再利用をしています。ばらした薬剤をセットしておくと自動で仕分けを行い、同薬品だけの袋になって分別されます。以前は手動で仕分けを行っていたため、格段に効率化されました。
タブソートで分別された薬剤は一包ずつバーコードが印字されて排出されます。自動錠剤分包機に薬剤を充填する際には、薬品に印字されたバーコードと、分包機の錠剤カセットをバーコードで照合し、薬品の充填間違いがないように注意しています。
ほとんどの外来処方せんが院外処方せんとなっているため、院外薬局からの疑義照会を24時間受け付けております。
FAX番号:0294-23-8359
注射、内用、外用の麻薬製剤の払い出しを行っています。麻薬は厳重な管理が必要なため、紛失や破損に特に注意を払っています。
払い出しシステムを利用することで、処方せんと薬品のバーコード照合を行っています。リアルタイムに薬品在庫の管理が可能となっています。
注射調剤では、入院と外来(抗がん剤治療)の注射薬の調剤を行っています。薬剤師による処方監査後、薬剤助手が取り揃えを行い、最終の調剤鑑査を薬剤師が行います。
処方監査では投与量・投与経路・投与速度・配合変化・検査値の確認を行い、注射薬が適正に処方されているか確認を行います。注射薬の取り揃えは、注射薬自動払出機器や医薬品認証支援システムを利用することで、薬剤助手への薬剤師業務のタスクシフトを行っています。
注射処方ごとに注射薬と注射ラベルを1患者1トレイ、1施行毎にセットして病棟へ払出します。
注射剤自動払出機器を用いることで、業務効率化、規格・数量違いといった調剤過誤を防いでいます。
注射薬自動払出機器にセットできない薬剤の調剤に医薬品認証支援システムを使用しています。
アンプル、バイアル、バッグ製剤の調剤包装単位のバーコード認証を用いて調剤過誤を防いでいます。
製剤では、混注鑑査システムの導入、多職種カンファレンス、保険薬局との薬薬連携を通じて、安全で質の高い化学療法を提供できるように努めています。
【メンバー】
薬剤師 :5名
抗がん剤調製業務では、入院/外来の抗がん剤の調製や、レジメンに基づく投与スケジュール・投与量・支持療法の確認を行っています。抗がん剤調製時には混注鑑査システムを使用して、安全に調製できるように努めています。
多職種カンファレンスは、朝と夕の1日2回行っています。主に看護師、薬剤師、栄養士が参加し、患者さんの近くで治療に携わることができるよう、綿密にコミュニケーションを取り合っています。
化学療法センターでは、外来通院で化学療法を実施している患者さんの副作用モニタリングや薬剤指導を行っています。必要時には主治医へ支持療法の提案を行います。また、指導の内容をもとにお薬手帳へ情報提供シールを貼付し、保険薬局との薬薬連携につなげています。
製剤は、注射薬の調剤・鑑査、院内製剤の調製、抗がん剤の調製(入院・外来)、TPNの調製、外来化学療法施行中の患者さんへの指導を行っています。
【保険薬局の薬剤師の皆さんへ】
当院では連携充実加算算定を取得しています。お薬手帳に情報提供シールを貼付している患者さんが対象となります。
保険薬局からのトレーシングレポートも受け付けておりますので、対象の患者さんがおりましたらFAXにて送付ください。なお、がん患者専用のトレーシングレポートのフォーマットを用意していますので、ご活用ください。
★送付先FAX:0294-23-8359
★トレーシングレポートフォーマットはこちら
薬品管理は、様々な医薬品の購入から供給まで幅広い管理を行っています。
① 必要最低限の在庫をもっており、かつ不足がない。
② 経済的な負担が少ない。
③ 薬が適切に管理されている
以上の3つを意識して業務を行っています。
【メンバー】
薬剤師 :2名
アシスタント:3名
安定した流通を確保できるように薬品の購入を検討し、災害などに備えて在庫の調整を行う一方、購入金額の増大や期限切れ廃棄など経済的な負担がかからないように採用薬品数を調整して購入と供給のバランスをとっています。
薬品の管理としては、温度管理や不具合品の対応などの品質管理、法律に遵守した薬品の保管などを行っています。高額な薬品が増えているため、より安価な後発品への切り替えを行います。他の薬剤と外観類似していないか、切り替え前の薬剤と同様に扱えるか流通は問題ないか考慮しながら採用薬の選定を行っています。
情報管理では、病院で採用している薬品のマスタ登録やそのメンテナンス業務、抗がん剤プロトコル(レジメン集)の管理など、薬剤の処方に関する業務を中心に行っています。その他にも、DIマンスリー作成、プレアボイド報告、軽微な副作用報告など毎月発行することで、院内へ薬品の安全に関わる情報提供を行っています。また、医師や他職種のスタッフからの質疑応答をまとめた医薬品情報質疑応答報告書というデータベースを作成し、薬に関する様々な情報を集約、提供する部署として薬剤の安全な使用に努めています。医師や看護師からの依頼により処方をより簡便にするための医師セットやフレキシブルパスなどの作成協力も行っています。
【メンバー】薬剤師3名
入院薬剤管理指導1は、1-3病棟(消化器外科、呼吸器外科、乳腺外科)、本5病棟(心臓血管外科、循環器内科)、本6病棟(脳外科、神経内科)、本7病棟(整形外科、皮膚科、形成外科)、本8病棟(泌尿器科、腎臓内科、眼科、耳鼻科)などの病棟に加え、救急病棟や手術室業務を行っています。
プロトコールに基づく薬物治療管理(PBPM)を活用して、適切な薬物治療を効率的に提供しています。
【メンバー】
薬剤師 :12名
配薬アシスタント :2名
救急病棟アシスタント :2名
手術室業務では、手術患者の情報収集、薬品管理、麻酔薬・鎮痛薬の混注業務などの業務を行っています。病棟薬剤師と情報共有を行い、安全な周術期管理を行っています。
救急病棟では、薬剤管理指導や持参薬鑑別などの業務を行っています。また、カンファレンスや回診にも参加し、安全な急性期医療の提供に努めています。
外科病棟では多くのカンファレンスに参加しています。病棟で行われるカンファレンス以外にも、抗菌薬適正使用支援チーム(AST)、骨折リエゾンサービス(FLS)、認知症ケアチーム、栄養サポート(NST)などに参加しています。
⇒ 薬剤管理指導1係のスケジュールは先輩インタビュー参照
入院薬剤管理指導2は、消化器内科、代謝・内分泌内科、呼吸器内科、血液・腫瘍内科、小児科、新生児科、リハビリテーション科、婦人科、産科、緩和ケア科などで業務を行っています。
病棟薬剤業務では、各病棟に薬剤師が常駐し、入院患者に対して、最適な薬物療法を実施して有効性・安全性の向上を目標に日々業務にあたっています。具体的な業務としては患者背景および持参薬の確認、薬歴管理、配薬準備業務、病棟薬品管理、医薬品情報提供、医師への処方提案・処方支援などを行っています。また、薬剤管理指導業務としては使用薬剤の説明、副作用の確認なども行っています。
病棟では他職種と連携し、また、プロトコールに基づく薬物治療管理(PBPM)を活用して、適切な薬物治療を支援しています。
【メンバー】
薬剤師 : 9名
入院薬剤管理指導第2係の担当している科では、化学療法を行なう患者さんが数多く入院されるため、化学療法が適正に実施されるよう、レジメンや投与量、また必要な検査が行われているかなど確認し、患者さんに薬剤説明を実施しています。薬剤投与後は副作用などがないか確認し、必要に応じて副作用に対する支持療法などを医師に提案しています。また、退院後は外来で化学療法を継続する患者さんが多く、外来薬剤管理指導係、製剤係とも連携して安全に化学療法が継続できるように努めています。
緩和ケア病棟では、医師・看護師・薬剤師・ソーシャルワーカー・栄養士・理学療法士・作業療法士・心理士などが共同して多職種による緩和ケアを実施しています。薬剤師は病棟業務の他、病棟での麻薬の受払いや管理、医師の処方時に同席し処方提案・処方支援を行っています。また、病棟カンファレンスや回診にて処方内容の共有や検討、在宅療養移行時の薬剤面での支援などにも携わっています。PBPMも活用し、平日休日問わず一部の注射オーダーを代行し、医師の業務負担軽減にも協力しています。
外来薬剤管理指導では、新規薬剤導入時や治療変更時の患者指導及び投与前スクリーニング、外来化学療法の副作用マネジメント、さらに入院前の常用薬確認等を行い、医師や看護師と連携して患者さんが安全な薬物治療を継続できるようサポートしています。
【メンバー】
薬剤師 :4名
アシスタント :2名
抗がん剤や肝炎治療薬、インスリン、成長ホルモン、副甲状腺ホルモン自己注射等を対象に薬剤説明と副作用発現時の対応、薬剤費について説明しています。副作用軽減には患者さんのセルフマネジメントが重要となるため、自宅などで体調に変化を感じた場合は病院に連絡するようお伝えしています。また、該当レジメンは投与前スクリーニングを行い、治療開始前に必要な検査がなされているか、治療開始基準を満たしているかを確認しています。
化学療法を行っている患者さんを対象に医師診察前面談を実施し、服薬状況・投与量・副作用の確認を行い、医師に減量・休薬、支持療法や他科コンサルトの提案などを行っています。
◆患者さん向け紹介ページ → 薬剤師外来:日立総合病院 (hitachi.co.jp)
入院予定の患者さんに常用薬や薬剤アレルギーを確認しています。手術や内視鏡、生検など出血リスクのある処置が予定されている方で抗凝固薬・抗血栓薬等を服用している場合、医師に確認のうえで休薬指示を行っています。また、入院前に持参薬の鑑別を行うことで病棟薬剤師の業務負担軽減にも役立っています。
⇒ 外来薬剤管理指導係のスケジュールの1例は先輩インタビュー参照