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事例紹介:学校法人米子自動車学校

利便性とセキュリティを両立する指静脈認証 自動車教習所システム

課題 解決 効果

教習生の受付や配車に利用していたIDカードは読み取り速度が遅いため行列ができ、 本人確認に時間と手間がかかっていた

指静脈認証システム導入で従来の課題が解決。教習生だけでなく指導員の教習システムログインにも適用し、利便性に加えてセキュリティも向上

IDカードシステムのランニングコスト低減とともに、教習生の個人情報管理体制が一段と強化され、職員のセキュリティ意識も向上した

鳥取県西部地区で、普通車から大型特殊、けん引車まで、さまざまな車種の教習が可能な唯一の総合自動車学校として知られる学校法人米子自動車学校(以下、米子自動車学校)。免許教習以外にも、子どもから高齢者に向けた幅広い講習を実施して、地域に密着した交通安全教育センターとしての役割を果たしているほか、職場での女性活用も積極的に推進し、鳥取県男女共同参画推進企業としての認定を受けています。

カードの読み取り・書き込み速度の遅さと忘失・紛失リスクが課題に

同校では従来、教習生一人ひとりにIDカード(磁気リライトカード)を発行し、受付時の教習原簿の受け渡しや、予約した技能教習を受講するための配車券発行時の本人認証に使っていました。

「IDカードシステムで課題となっていたのが、読み取り・書き込み速度の遅さと忘失・紛失のリスクでした。特に大学生など夏休みに入る8月から9月、高校生などが卒業前の免許取得をめざして集まる2月から3月の繁忙期などは、受付時に長蛇の列が発生してご迷惑をかけていたほか、カードを忘れたり紛失するケースも少なくなく、本人確認や再発行に手間と時間がかかっていたのです」と語るのは、校長の隂山 昭夫氏。また教習生だけでなく、指導員や職員が利用する教習システムの活用に関しても、いくつかの課題があったと指摘するのは教務部長の渡部 昇氏です。

「自動車学校の教習システムは、教習生のみなさまの膨大な個人情報を管理しています。これまでもシステムを使う指導員や職員は、IDとパスワードで本人認証をして業務を行っていましたが、いつ誰がどのような情報にアクセスしたかの履歴までは取っていませんでした。そのため、この部分のセキュリティも強化できないかと常々考えていたのです」と渡部氏は語ります。

認証速度と正確性で日立の指静脈認証システムを選定

こうした課題の解決に向けて、指静脈認証システムを適用した新たな仕組みを提案したのが、自動車教習所システムを専門に手がけている株式会社ノイマン(以下、ノイマン)です。同社は米子自動車学校からのヒアリングをもとに、物理的なカードを使わない新システムの開発に着手。数ある生体認証の仕組みの中から日立の指静脈認証システムを選定しました。

写真:指静脈認証 自動車教習所システムの利用風景
指静脈認証 自動車教習所システムの利用風景

「以前から教習用機器でおつきあいのあった日立さんに相談したところ、多くの実績がある指静脈認証システムを紹介していただきました。実機を借りてシステム評価をしたところ、認証スピードが速くて正確なことがわかりました。さらに一番の決め手は、教習生はこれまでのようにIDカードや携帯電話など本人認証できるものを持参しなくても、教習所の受付を行うことができるようになることです。これはセキュリティとサービス向上を同時にねらえると判断し、当社の既存システムと組み合わせた新システムを提案したのです」と語るのは、ノイマンの教習所システム事業本部 本部長代理の砂田 直哉氏です。

日立の指静脈認証システムは、生体内部の情報を利用するため、偽造のリスクが少ないこと、肌表面の状態(水分や乾燥など)の影響を受けにくく、高精度の認証をスピーディに実行できることなどから、銀行ATMや入退室管理、PCアクセスなど幅広い分野で、数多くの導入実績があります。ノイマンが開発した新システムは、教習生が自分の名前の頭文字をタッチパネルで選択した後、装置に指を置くだけで厳格な本人認証のもと、受付処理や配車券発行が迅速に行えます。

配車券待ちの行列を解消、個人情報を取り扱う指導員の意識も向上

写真:米子自動車学校に導入されたシステム
米子自動車学校に導入されたシステム
(上:教習原簿の取り出し、下:技能教習の配車予約)

「従来のIDカードは読み取り・書き込みに7〜10秒かかっていましたが、指静脈なら認証速度はわずか数秒ほど。教習生が送迎バスで一度に到着しても、教習生用の5台の指静脈認証装置で、よどみなく受付処理が進んでいくことに驚きました。本校はピーク時で600人ほどの教習生が在籍しますが、行列ができる不安がなくなりました。指静脈情報の登録も、入校時の原簿作成や視力検査の流れの中で行うため、作業にそれほど時間はかかりません。教習生は手ぶらで登校できるので安心感や利便性が向上しましたし、職員もIDカード発行や忘失・紛失時の業務負担がなくなり、本当に大助かりです」と渡部氏は笑顔を見せます。

また、機械的な稼働部分が多いため定期的なメンテナンスを必要とする磁気カードリーダーライターに比べ、指静脈認証装置は故障率が少なく安価なことから、IDカード発行も含めたランニングコストの大幅な低減につながると期待されています。

「指導員や職員用の教習システムを操作するPC 19台にも、1台ずつ指静脈認証装置を配備しました。指導員は技能教習の合間に限られた短い時間で予約確認や入力作業を行う必要が ありますが、指静脈認証により、スピーディにログインできるようになりました。また、操作ログが取られていることもあり、指導員や職員も個人情報の取り扱いに対する意識向上につながっています」と砂田氏は評価します。

同校での実績をベースに全国に展開

「検討を始めたころは“教習生が指紋を採られているように感じるのではないか”と、導入に慎重な意見もありましたが、理事長である柳谷 由里氏の『お客さまサービスやセキュリティの向上につながる仕組みは率先して入れるべき』という鶴の一声で、全国初※となる指静脈認証 自動車教習所システムの導入が実現しました。結果として、教習生のどなたからも否定的な意見はなく、逆にそのスピードと利便性を高く評価していただいています」と渡部氏は語ります。

ノイマンの砂田氏も「米子自動車学校さんの実績をふまえ、すでに岩手と京都、2校のお客さんにも同じシステムを導入していただきました。今後も日立さんと協力しながら、さらなる機能強化や勤怠管理システムなどへの横展開を進めていきたいですね」と期待を寄せます。

これからも日立は、セキュリティ性と汎用性の高い指静脈認証技術を広めるため、幅広い業界・業種に向けた積極的なシステム展開を進めていきます。

写真:学校法人米子自動車学校 教務部長 渡部 昇 氏、学校法人米子自動車学校 校長 隂山 昭夫 氏、株式会社ノイマン 教習所システム事業本部 本部長代理 砂田 直哉 氏

[お客さまプロフィール] 学校法人米子自動車学校

写真:学校法人米子自動車学校

[所在地] 鳥取県米子市旗ヶ崎2-15-1
[創立] 1955年8月11日
[職員数] 男43名 女17名(計60名)(2014年11月1日現在)
[業務内容] 鳥取県公安委員会指定自動車学校(普通車・中型車・大型車・普通二輪・大型二輪・普通二種・中型二種・大型二種・大型特殊・けん引車)、交通安全講習(学校・企業・ペーパードライバー・初心運転者講習・取消処分者講習・高齢者講習、障がい者教習など)鳥取労働局長登録教習機関(フォークリフト運転技能講習・車両系建設機械運転技能講習(整地)・小型移動式クレーン運転技能講習・玉かけ技能講習)

[パートナープロフィール] 株式会社ノイマン

[本社] 東京都港区芝5-33-7 徳栄本館ビル8階
[創立] 1984年9月27日
[資本金] 1億4,500万円
[従業員数] 30名(2014年12月1日現在)
[事業内容] 交通安全教育機器及び機材の研究・開発・販売、自動車教習所向け各種省力機器およびソフトウェアの開発・販売、コンピュータソフトウェアの開発・販売など

特記事項

  • 2015年2月6日掲載
  • 本事例中に記載の内容は初掲載当時のものであり、変更されている可能性もあります。詳細はお問い合わせください。
  • 事例は特定のお客さまでの事例であり、全てのお客さまについて同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
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