課題 | 解決 | 効果 |
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PCログオンのセキュリティ強化とID/パスワード運用の簡略化を図りたかった |
全国の業務用PC約700台に日立の指静脈認証装置を導入 |
指1本のセキュアなログオンで、確実な本人認証と不正アクセスの防止を実現 |
警察共済組合は1962年に設立され、警察職員である組合員約30万人を擁しています。全国の拠点で利用される業務用PC約700台に、日立の指静脈認証装置を導入しました。指1本のログオンで、確実な本人認証を実現し、利便性の向上と不正アクセスの防止に役立てています。
指静脈認証装置を導入した背景を、本部事務局 総務部 情報システムセンター長の佐々木 雅祥氏は「Windows®XPのサポート終了を契機に、本部および全国の組合拠点で使っているサーバとPC一式をリプレースすることになりました。そのタイミングで、日立さんから業務用PCのログオン認証を、それまでのID/パスワードから生体認証方式にする提案を受けました。検討の結果、認証精度が高く、装置そのものも小型で使いやすい点を評価して、指静脈認証システムを導入したのです」と説明します。
指静脈認証システムの利用風景
これまで警察共済組合では、職員が業務用PCを利用する際には、Windows®へのログオン時と業務アプリケーションへのログオン時、それぞれにID/パスワードを入力していました。
「パスワードはセキュリティ強化の観点から、定期的に変更していました。このため、どうしてもパスワードを忘れてしまったり、間違ったパスワードを入力してしまったりすることがありました。パスワード入力を複数回間違えるとロックがかかり、その解除作業にはかなりの時間を要します。ユーザーと運用者の双方に、負担がかかっていることは否めませんでした。その打開策として、パスワードを覚える必要がなく、セキュリティも今以上に強化できる指静脈認証を選んだのです」と、本部事務局 総務部 情報システムセンター 課長補佐の橋浦 壽宏氏は続けます。
日立が提供する指静脈認証システムは、近赤外線を指に透過させて得られる静脈パターンの画像と、あらかじめ登録した静脈パターンとを照合させて個人認証を行う仕組みです。指静脈は体内にある情報のため、偽造やなりすましが極めて困難で、高いセキュリティレベルを実現します。日立では、2002年に指静脈認証装置を製品化して以来、ATMの本人認証やPCログオン、入退室管理など、さまざまな分野で適用範囲を広げてきました。
警察共済組合は、本部および全国にある支部49か所、関連機関29か所の計79か所に設置された業務用PC 約700 台(利用ユーザー数1,000 人)に、指静脈認証装置を導入。Windows® 7へのログオンと、業務アプリケーションへのログオンを、指静脈認証1度で済ませるシングルサインオン運用をスタートさせました。
「ログオンまでのスピードが格段に速くなりました。指を差し入れるだけで認証できるので、複雑なパスワードを覚えたり、定期的に変更したりする負担がなくなり、ユーザーからとても好評です」と語るのは、本部事務局 総務部 情報システムセンター 係長の伊嶋洋史氏です。
今回導入された指静脈認証システムは、プライベートクラウド型の構成となっており、各拠点の指静脈認証装置で読み取った指静脈情報を、指静脈認証サーバにネットワークを通じて送信し、本人認証を行います。システムやネットワークの冗長化が図られているため、万一のトラブル時でも、業務を継続することが可能です。
警察共済組合に導入されたシステムの概要
「日立さんには事前に、各拠点の運用担当者を集めた説明会で、ていねいなレクチャーをしていただきました。そのため指静脈情報の登録作業も問題なく行え、スムーズに実運用に入ることができました。運用後も、認証できないなどのトラブルは、ほとんど発生していません。なりすましのリスクもなくなったことで、セキュリティ面での不安が解消されました」と佐々木氏は話します。
2015年10月には被用者年金一元化法が施行されます。将来的にも指静脈認証システムが、信頼性の高いセキュリティ基盤として活躍することになりそうです。今後も日立は、警察共済組合の業務効率向上とセキュリティ向上を支援するため、指静脈認証システムの継続的な機能強化を行っていきます。
[所在地]東京都千代田区三番町6-8 警察共済ビル
[設立]1962年
[組合員数]295,752名(2012年度末現在)
[事業概要]短期給付事業、長期給付事業、保健福祉事業、医療福祉事業など警察職員の安定した暮らしを支え、公務の能率的運営を図っている。