国内シェアNo.1の多要素認証ソリューションが 新たに日立の指静脈認証に対応。なりすまし対策の強化へ
ソリトンシステムズが提供している「SmartOn ID」は、顔や指紋、ICカードなどを用いた多要素認証によりPCログオン時のなりすましによる不正アクセスを防ぐソリューションだ。このSmartOn IDで利用できる認証デバイスのラインアップとして新たに加わったのが、日立製作所の指静脈認証装置「H-1」である。あらゆる業界にてセキュリティ強化のニーズが高まる中、SmartOn IDはより高精度かつ利便性の高い多要素認証を世の中に提供しようとしている。
ソリトンシステムズは、ITセキュリティを事業の柱に据えつつ、遠隔自動運転システムやモバイル回線(4G、5G)やWi-Fiを利用したハイビジョン・レベルの映像伝送システムなど、国産メーカーならではの「もの創り」「独創」にこだわった製品とサービスを提供している。
ITセキュリティ事業の中でも、同社が注力する領域の1つが認証ソリューションだ。生体認証やICカードなどさまざまな方式に対応する認証機能を提供する多要素認証ソリューション「SmartOn ID」は、18年連続国内シェアNo.1(*1)を誇り、トータルの導入実績は約350万ライセンスに達している。
社会全体で求められるITセキュリティ強化に向けて、SmartOn IDはますます需要を拡大している状況にあると、同社 ITセキュリティ事業部 プロダクト&サービス統括本部 プロダクトマネジメント部 マネージャの松野 晃介氏は語る。
「デジタル化が加速し、企業が取り扱う情報は増大を続けています。一方で、テレワークの普及などによって重要データにどこからでもアクセスできるようになり、サイバー攻撃や内部不正のリスクが高まっているのも事実です。パスワード認証だけではセキュリティ対策として十分ではなくなってきており、多要素認証の取り組みが努力義務ではなく必須要件へとなりつつあります」
実際に、内閣官房 内閣サイバーセキュリティセンターの「政府機関等の対策基準策定のためのガイドライン(令和5年度版)」、総務省の「クラウドサービス提供における情報セキュリティ対策ガイドライン(第3版)」、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第 6.0 版」など、各行政機関からは多要素認証の利用を求めるガイドラインも出されている。
ただし多要素認証さえ導入すれば、なりすましのリスクを排除できるわけではない。「実物大の顔写真を用いて顔認証をすり抜けたり、ICカードを他者と貸し借りしたりといった不正行為も見られ、厳重なセキュリティを課せられた業務では、PCログインに対してより強固な認証の仕組みが求められています」(松野氏)
SmartOn IDで利用可能な認証デバイスの新たな選択肢を模索する中、日立から提案を受けて採用に至ったのが指静脈認証装置「H-1」である。
指静脈認証は身体内部の静脈パターンを用いて本人を識別するため偽造が難しく、肌表面の状態(水分、乾燥、ケガなど)の影響を受けにくいのも特徴だ。中でもH-1は、コンパクトな装置に指を差し入れるだけの操作で簡単に認証を行える利便性の高さが特徴であり、PCログオン認証だけでなく、銀行ATMや勤怠管理の打刻などの本人認証に活用されている。フードがある形状のため、安定した認証を行えるのもメリットである。
選定に際してまず重視したのは、ほかでもない認証精度である。「PCログオンを担うという性質上、きちんと認証ができなければ業務を開始できません。ほぼ毎日利用するものだけに、正確かつストレスなく認証できることが重要だと考えました」と松野氏は語る。
実際に、H-1では他人受入率0.0001%、本人拒否率0.01%、登録未対応率0.03%未満(*2)という数値を誇り、同社の求める認証精度の要件を満たすには十分であった。
日立の国内生産ならではの安定供給もソリトンシステムズにとっては魅力の1つだった。SmartOn IDは従来からも指紋認証をはじめとする生体認証に対応してきたが、それらのデバイスの多くは海外製品だ。このため特にコロナ禍ではサプライチェーンの寸断や半導体不足などの影響を受けて納期が不安定になり、ソリトンシステムズは調達に苦労してきたという。
「既存のエンドポイントに多要素認証ソリューションを単体で追加することは珍しく、端末の更改にあわせて計画的に導入するケースがほとんどです。そうしたお客さまごとの適切なタイミングで提案できるのは、SmartOn IDビジネスの大きな強みとなります。H-1をラインアップに加えることで、お客さまの人事異動や組織変更に伴う突発的な需要に対しても、今後は柔軟に対応できるようになると期待しました」(松野氏)
新たにH-1に対応したSmartOn IDは2023年12月から販売を開始し、ソリトンシステムズはITセキュリティビジネスをさらに拡大していく意気込みだ。
「数ある多要素認証の仕組みの中でも特に高精度かつ強力になりすましを防ぐことが可能な選択肢として、H-1に対応したSmartOn IDがラインアップに加わったインパクトは非常に大きいものがあります。これを機に、既存のお客さまに対してもアップセルやクロスセルの提案を行っていきます」(松野氏)
日立とのパートナーシップはSmartOn IDの機能拡張における開発作業のサポート面でも生かされている。「API仕様書が分かりやすく記載されており、SDKも洗練されておりとても使いやすいと感じました」と語るのは、ソリトンシステムズ ITセキュリティ開発部 第一開発グループ 担当部長の池田 健司氏だ。さらに同部の山岸 誠氏も「UI/UXが時代のトレンドに見合ったものになっているか、チェックを依頼した際は、とても細かい箇所までアドバイスをいただきました。また日常的な相談にも親身に対応していただき、とても感謝しています」と続ける。
加えてソリトンシステムズが大きな期待を寄せているのが、デバイス調達を超えた日立との連携強化である。「お互いの販売網を活用して共同でプロモーションを行うなど、Win-Winの関係性のもとでパートナーシップの強化を図り、お客さまの多様なセキュリティ課題にお応えしていきたいと思います」と、松野氏は今後の展開を見据えている。
[本社所在地] 東京都新宿区新宿 2-4-3
[設立] 1979年3月1日
[従業員数] 659人(ソリトングループ連結)(2023年6月5日現在)
[事業内容] ITセキュリティ事業を中心とするほか、携帯電話回線を利用した簡易映像中継システムなどの映像コミュニケーション事業などにも注力