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事例紹介:大塚製薬株式会社

GMP文書管理における電子署名を指静脈認証でスピーディーに実現

日に数十回におよぶIDとパスワード入力の負担が、新システムでは装置に指1本差し入れるだけで瞬時に完了できます。この便利さは、一度使ったら後戻りできないのではないでしょうか。

写真:指静脈認証装置によるPCログオン

医薬品から化粧品、栄養食品まで、幅広い事業領域をもつ大塚製薬株式会社。
同社では、医薬品の品質や安全性確保のための国際基準「GMP(*1)」に基づく電子文書管理システムの認証に、日立の指静脈認証管理システムを導入しました。
導入に至った経緯や、ご利用いただいた感想をお聞きしました。

課題 ソリューション 効果
  • 電子署名を付与するたびに発生するID、パスワードの入力負担
  • 複雑化するユーザー管理
  • セキュリティ強化と業務効率の向上を同時に実現
  • 認証情報の一括管理で今後の運用負担軽減にも期待
  • 日立が提供するインターフェースでスピーディーかつ低コストな認証システムを構築

導入のきっかけ

写真:今村司朗氏
今村司朗氏

電子署名を付与するたびに発生するIDとパスワードの入力を、 信頼性の高い生体認証の導入によって、なんとか軽減できないかと考えました

e-文書法の施行によって、GMP文書の作成・保管を完全に電子化できるようになりました。
これにともない、従来は責任者のサインによって行っていた文書の受け付け・承認方法が、本人認証による電子署名を付与する形へと変わっています。電子記録・電子署名生成のシステム要件を定める『Part11(*2)』や『日本版ER/ES指針(*3)』では、電子署名の付与にあたっては、その都度ユーザーIDとパスワードの入力が必要とされています。
ところが、担当者によっては日に十数回から数十回、電子署名をする必要があり、そのたびにIDとパスワードの入力が発生してしまいます。そこで、その負担を信頼性の高い生体認証の導入によって何とか軽減できないかと考えました。

徳島本部 システム課 課長 今村司朗氏

採用した理由

写真:岡本修一氏
岡本修一氏

認証のしやすさでは指静脈認証に勝るものはありませんでした。 精度とスピード、そして認証装置のコンパクトさでも文句なしと評価されたのです

指静脈認証も含め、『指紋認証』や『手のひら認証』など、一通りの生体認証システムをすべて試してみましたが、認証のしやすさでは指静脈認証に勝るものはありませんでした。 特に日立さんの装置には指を置くガイドが付いており、そこに載せれば確実に読み取ってくれます。しかし、ほかの方式の装置では、位置がずれると認証できなかったり、読み取ってからOKが出るまでに時間がかかったりという問題もありました。その点、指静脈認証は精度とスピード、そして認証装置のコンパクトさでも文句なしと評価されたのです。

徳島本部 システム課 岡本修一氏

システム概要

日立が提供するインターフェースを使って指静脈認証管理システムを連携させ、 スピーディかつ低コストな認証システムを構築

Microsoft® SQL Server™を基盤に自社開発した文書管理システムに、日立が提供するインターフェースを使って指静脈認証管理システムを連携させ、スピーディかつ低コストな認証システムを構築しました。コンパクトで置き場所を選ばないUSB接続型の「日立指静脈認証装置」を、文書管理システムにアクセスする約50名の生産・品質管理の責任者に配布しました。

Microsoft® SQL GMPに基づいた文書作成と保存を行う際に、本来なら1回ごとにユーザーIDとパスワードを入力することで付与される電子署名を、指静脈認証で代替する仕組みとなっています。

図:指静脈認証でGMPに基づいた文書を作成するときに電子署名を付与するしくみ
指静脈認証でGMPに基づいた文書を作成するときに電子署名を付与するしくみ

効果と今後の展望

この便利さは、一度使ったら後戻りできないのではないでしょうか

大塚製薬の文書管理システムでは、GMPに基づいた文書作成と保存を行う際に、本来なら1回ごとにユーザーIDとパスワードを入力することで付与される電子署名を、指静脈認証で代替する仕組みとなっています。 電子署名する頻度は、最終的に各部署の上長責任者に集中するケースが多いのですが、日に数十回におよぶIDとパスワード入力の負担が、新システムでは装置に指1本差し入れるだけで瞬時に完了できます。この便利さは、一度使ったら後戻りできないのではないでしょうか。

[岡本氏]

すべてのプロセスが電子化されれば、作成から承認、公開、廃棄まで静脈認証による電子署名でスピーディかつ適正に管理することが可能に

電子化がスタートしたばかりの現在は、プリントアウトされる紙文書への自筆サインも並行して行われていますが、今後は、現在構築中の製造管理システムや品質管理システムとの連携により、すべてのプロセスが電子化されれば、作成から承認、公開、廃棄までのGMP文書のライフサイクルを、指静脈認証による電子署名でスピーディかつ適正に管理することが可能となります。 それは文書管理業務の効率向上にとどまらず、関連法規制の厳格な順守と人為的なミスの防止により、医薬品製造における品質向上をも支援する効果的なソリューションといえるでしょう。

[今村氏]

複雑化するパスワード管理の負担を解消し、利用者の利便性を大幅に向上
将来的には他のシステムへの適用も

業務システムが今後さらに増えてくると、それぞれのシステムで異なるパスワードが付与され、それが数か月おきに変更される状況が出てきます。しかし指静脈認証なら、複雑化するパスワード管理の負担を一気に解消し、利用者の利便性を大幅に高めることが可能です。また一方で、私たちシステム管理者の負担を軽減する効果も期待できます。

今回の指静脈認証管理システムを、現在構築中の品質管理システムや、他工場の文書管理システムにも適用しながら、順次ほかのシステムへの展開も検討していきたいと思います。

[今村氏]

[お客さまプロフィール]大塚製薬株式会社

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(2007年3月現在)
[本社] 東京都千代田区神田司町2-9
[徳島本部] 徳島県徳島市川内町加賀須野463-10
[設立] 1964年
[代表取締役] 樋口 達夫
[従業員数] 5,225名
[事業内容] 医薬品・臨床検査・医療機器・食料品・化粧品の製造、製造販売、輸出ならびに輸入

企業理念である“Otsuka - people creating new products for better health worldwide”(世界の人々の健康のため革新的な製品を創り出す)には、「自らの手で独創的な製品を創る」「健康に役立つ」「世界の人々に貢献する」という思いが込められています。
その言葉どおり、医薬品事業では胃炎・胃潰瘍治療剤、抗血小板剤、気管支拡張剤といった革新的な新薬を世界各国で展開する一方、コンシューマーの日々の健康を支えるニュートラシューティカルズ事業でも、オロナミンCドリンクやポカリスエット、カロリーメイトといった独創的な商品を世に送り出し、新たな市場分野を創造し続けています。

用語解説

*1
GMP(Good Manufacturing Practice : 製造管理と品質管理の基準)
*2
Part11:正式名称「FDA 21 CFR Part11」。アメリカの食品・医薬品庁が定める規則で、米国連邦規則集タイトル21のパート11にあたる。電子記録と電子署名が紙の記録および従来の手書きの署名の代用として法的に信頼できると保証するための規則。
*3
日本版ER/ES指針:厚生労働省による、医薬品などの承認または許可などに係る申請などに関する電磁的記録・電子署名利用のための指針。

特記事項

  • 2007年12月3日掲載
  • 本事例中に記載の内容は初掲載当時のものであり、変更されている可能性もあります。詳細はお問い合わせください。
  • 事例は特定のお客さまでの事例であり、全てのお客さまについて同様の効果を実現することが可能なわけではありません。
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