株式会社日立製作所
財務統括本部
財務本部
財務システム部
部長
渡邉 弘士
株式会社日立製作所
DXイノベーション第2本部
財務基盤システム推進センタ
部長
八森 尚
プロジェクトは「基本業務プロセスの簡素化と統合」「データレイクの整備」「データガバナンスの整備」の3つの柱に沿って進められたといいます。「基本業務プロセスの簡素化と統合」とは、すなわち業務共通化によりE2E(エンドツーエンド)のプロセスを一つのシステムに統合することです。これにより、業務負荷の低減だけでなく、システム開発や保守といったコスト削減が期待できます。
2つ目の「データレイクの整備」は、データレイクによりこれまで事業単位や子会社単位に分かれていた、営業や調達、財務や人財といった経営に関する共通データを一元化し、業務効率を向上させるのが狙いです。
そして両者を実現させるために大切なのが3つ目の「データガバナンスの整備」です。渡邉は「先の2つの柱を実現するためには、基盤となるルールが重要となります。今回、その基盤を作るためにデータガバナンスやコード体系の整備を確実に行うことを最優先しました」とその重要性を強調しました。
これらを実現するため、本プロジェクトで採用されたのが、SAP S/4HANAとSAP Fioriです。両者の選定にはどのような理由があったのでしょうか。まずSAP S/4HANAですが、こちらは日立製作所が会計システムにSAPを採用し続けていたこと、そしてエンドユーザーへの導入実績も多く、構築や運用のノウハウがあったからだといいます。さらに八森は「業務を標準化するという方針の下、カラム型インメモリーDBなどシステムの特徴を見極め、SAP S/4HANAに搭載される新しい機能を有効活用したいと考えた」とも語っています。
そしてSAP Fioriについても、既存のアドオンを排除するとともに、SAP S/4HANAをFit to Standardで使う方針であったため、UIを全面的にSAP Fioriで構築することにしました。