日立製作所では、2000年頃よりSAPシステムを導入、ECC6.0はグループ全体、グローバルで640拠点に展開し利用していました。ECC6.0は国内・海外それぞれのシステム環境としていましたが、日立製作所や子会社独自の業務プロセスに対応するため、多くのアドオンが存在していました。これはECC6.0を導入する際に、いち早く導入することを優先し、As-Is要件への対応を行ってきた結果だといいます。
10年以上利用した結果、さまざまな問題が顕在化してきました。例えば、データ管理の問題です。SAP以外にも会計の周辺システムがあり、多くのシステムにデータが散在してしまったため集計が困難で、監査データの閲覧にも影響があったといいます。また、データの属性や粒度にも問題がありました。売掛および買掛受払明細が複数のシステムに分散していたため、手作業による対応が必要だったのです。そして問題は保守にも及びました。As-Isプロセス前提で、多くのアドオンやレポートを作り込んだ結果、開発・保守コストが増大。システムを分割したことで運用体制も煩雑になり、コスト増につながっていたといいます。
日立製作所では兼ねてよりLumadaのDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略の一つとして経営の見える化を進めています。今回これらの問題の解消と、財務データをデータレイクへ集約し利活用させることにより、更なる「経営情報DX」の高度化をめざしたのです。