新システムは2021年4月から稼働し、新システムでの決算も問題なく完了しています。ただし、すべてが順調に安定稼働できたわけでもありません。稼働直後はSAP S/4HANAのインメモリーDBシステムの理解不足から大量のメモリーリソースを消費し、ピークを乗り越えられない事態も発生しました。日立製作所の社内ナレッジおよびSAP社サポートで一斉に見直しを実施したことにより、四半期決算の2021年7月からは安定稼働しています。
気になる使い勝手だが、SAP S/4HANAとSAP Fioriの組み合わせはユーザーにも好評だといいます。例えばKPIなどが視覚的に見られるUIなどです。また債権と債務管理を統合した結果、残高明細などを一度にすべて確認できるようになりました。そのほか円滑な承認プロセスなど、業務効率の大幅な向上を実感しているといいます。
データレイクの活用も進んでいます。例えば集約した会計データにより、経営分析や監査の効率化を実現したり、他のシステムからデータを収集して横断的な分析を行ったりと、さまざまな活用が推進されているといいます。日立製作所において、全社にまたがる大きなデータレイクの構築は初めての試みでしたが、すでに無くてはならない存在になっているようです。八森は「SAPや他のシステムから『正しく情報を集めながら分析・活用する』ということを、現在進行形で進めている」と語ります。
業務標準化による変化も大きい。無駄なレポートやアドオンの削除、個別要件を排除したことで、運用保守は飛躍的に容易に行えるようになりました。もちろん運用体制の一元化も実現。これらにより運用コストの削減や、利便性は大きく向上しました。