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日立総合病院

①現在ロボット手術にて施行している手術の名称と、ロボット手術導入以前の手術方法に関して教えて下さい

泌尿器科領域では現在、前立腺癌に対する腫瘍全摘術および腎癌に対する腫瘍部分切除術に関してロボット手術を導入しています。
前立腺手術は、導入以前は開腹で、腎の手術も主に開腹で、ごく稀に痛みの少ない腹腔鏡手術にて其々施行していました。
とくに腎臓の腹腔鏡手術は、正常な組織を縫い合わせる際にその動作が著しく制限されてしまうため、非常に困難な術式でした。

堤医師

②ロボット支援機器を使った手術を行うことの利点は?

今まで開腹手術においても、光が届かなかった・深すぎて見えなかった組織が、ロボット手術の導入にて間近で確認することができるようになりました。しかも使用する器具は人間の手首より可動域よりも広く、画像も3Dなので手術のクオリティが格段に上がったといえます。
これにより、今まで概念的に理解していた体の構造をしっかりと視認して手技に臨むことができるので、余計な組織を傷つけることがほとんどなくなり、出血量の低減や、手技に伴う安全性の向上へと繋がりました。
例えると、以前の「VHS(ビデオテープ)」と「ブルーレイ」の差くらいに見える視界が違うんですよ!
また、手術の際に無理な姿勢をとらずに座って処置ができるため、医者の寿命を延ばす手技であると思います。

ダビンチについて

③患者さんへのメリットは?

一番は、手術実施に伴う合併症が著しく減りました。
腎手術は、前立腺手術と比較して難易度が非常に高く、腎臓に栄養を与える血管を遮断して手技に臨むため、①短時間で②出血少なく③確実に腫瘍を切除する、の3つを達成しなければ、腎機能障害などの合併症リスクが高くなります。
現在熟練医のみが同手術を施行していますが、腫瘍の取り残しが以前と比較してかなり減りました。これは追加の処置が必要とされる可能性が低減したということなるため、患者さんにとって大きなメリットであると考えます。
また、当院では2011年にロボット支援システムを用いた第一症例を施行していますが、本来患者さんは術後しばらく絶対安静なところを、当手術の翌日にはベッドの上であぐらをかいて新聞を読んでいました。当時は考えられないことだったので非常に驚いたのを覚えています。
前立腺手術は現在、9割以上はロボット手術です。開腹手術の実施歴がある方や、緑内障を患っている方など以前は同手術の実施を避けていた症例に対しても、安全性が向上したため提供させていただいております。

④今後の展望を教えて下さい

現在保険適応となっている膀胱悪性腫瘍手術や、2020年4月より保険適応となる腎盂(腎臓から出た尿を集める場所)と尿管の形成手術に関しても積極的に導入していきたいと考えています。とくに腎盂尿管形成手術の吻合作業は、従来の腹腔鏡では非常に難易度が高い手術ですが、ロボット手術に移行することで手術時間は4分の1程度になり、開腹手術よりも短時間で施行できると予想されます。

⑤診療科の紹介について

診療科の詳細な内容については、「泌尿器科」ページをご覧ください。