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環境

環境ガバナンス

環境ガバナンス推進体制

体制

日立は、「環境ビジョン」の実現と環境長期目標「日立環境イノベーション2050」の達成に向け、日立製作所と連結子会社合計573社、計574社(2024年3月31日時点)を対象に、環境経営に関する意思決定と実行を支える体制をグローバルに構築しています。
2022年度から、Chief Sustainability Officerを議長とし、各ビジネスユニット(BU)および主要グループ会社などの責任者を主なメンバーとする「サステナビリティ推進会議」を設置し、環境を含むサステナビリティに関する重要施策の議論および情報共有などを行っています。環境長期目標の達成に向けた脱炭素や水、資源循環を含む環境にかかわる重要事項については経営会議で審議または決定し、必要に応じて取締役会に附議されます。
カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーなどの重要テーマについては、各BUおよび主要グループ会社などの責任者を主なメンバーとする個別の会議体を設け、グループ横断での施策の検討や情報共有などを通じて日立グループ全体の環境活動を推進しています。
また、日立は、GX(グリーントランスフォーメーション)をグローバルで牽引することをめざし、「GX for CORE」「GX for GROWTH」の2本の柱からなるグリーン戦略を策定し、戦略を遂行するために必要な体制を整備し取り組んでいます。
2024年度に、日立の環境プレゼンスのさらなる向上をめざし、グリーン戦略全体の基本方針およびロードマップの策定を推進する環境戦略企画本部を新設しました。本戦略に基づき、日立グループ内の環境の取り組み(GX for CORE)をリードする「環境インターナルイニシアティブ本部」、環境事業による日立の成長(GX for GROWTH)を後押しする「グローバル環境事業統括本部」、そしてそれぞれの事業領域で環境への貢献を推進する各事業セクターが連携し、グループ全体でグリーン戦略を推進しています。
なお、指名委員会等設置会社である日立では、社外取締役によって構成される監査委員会が年1回、サステナビリティ関連業務について業務監査を行っており、気候変動をはじめ環境に関する重要事項について担当執行役から報告しています。

環境ガバナンス推進体制

図:環境ガバナンス推進体制

環境関連会議体詳細

会議体 メンバー 目的 頻度
サステナビリティ推進会議 Chief Sustainability Officer、BU・主要グループ会社の事業推進部門長クラス、RHQのサステナビリティ責任者 サステナビリティに関する重要施策の議論、情報共有 1~2回/年
エコマネジメント全体会議 BU・主要グループ会社の事業推進部門、環境推進部門、モノづくり部門、調達部門の部門長クラス サステナビリティ戦略における環境長期目標達成の具体的施策(環境行動計画)の審議、計画の策定と実行フォローアップ 1回/半期
エコマネジメントCN2030推進プロジェクト会議 BU・主要グループ会社のモノづくり部門長および担当者、環境推進部門長 CN施策にフォーカスした実行のモニタリングおよび加速のための対応策の議論 1回/半期
エコマネジメント3R推進プロジェクト会議 BU・主要グループ会社のモノづくり部門長および担当者、環境推進部門長 CE実現に向けた3R活動による施策の推進 1回/四半期
サステナブル調達推進会議 Chief Procurement Officer、BU・主要グループ会社の調達部門長、サステナブル調達実行責任および担当者 全調達部門への日立グループグローバル調達方針・戦略の周知、知識向上とベストプラクティスの共有 1回/半期

環境価値を勘案した役員報酬制度

活動・実績

2023年度には、グローバル企業としてのさらなる成長加速に向けて、企業価値との連動を強化した役員報酬制度へ改定しました。詳細は以下のリンク先を参照ください。

役員報酬評価へのサステナビリティ目標の反映

環境マネジメントシステムの強化

活動・実績

日立はグループ内に大小さまざまな事業所があるため、グローバル共通で定めた「環境管理区分判定基準*1」に基づいて、日立グループ全事業所(約1,100事業所)をA(環境リスク大)・B(環境リスク中)・C(環境リスク小)の3区分に分類し、環境リスクに応じた環境管理を実施しています。
2023年度は約110の主要拠点がA区分に該当しています。買収したグループ会社のうち環境リスクが大きい(A区分相当)事業所については、日立の環境管理に適応するために数年の調整期間を経てA区分に分類することとしています。
A区分を管掌するビジネスユニット(BU)およびグループ会社は、エコマネジメント全体会議の環境行動計画の策定に参画し、環境行動計画に準じた目標を設定の上、その達成に取り組みます。環境行動計画は、BUおよびグループ会社の環境推進部門長クラスから選任された環境戦略責任者を通じて、全日立グループに周知を徹底しています。また、A区分に該当する主なグローバルの製造事業所では、こうした日立独自の環境マネジメントシステムに加えて、ISO14001などの第三者認証を取得しています。
調達パートナーに対しても、バリューチェーン上流におけるカーボンニュートラルを含めた環境負荷低減に向けて働きかける体制を構築しています。サステナブル調達およびグリーン調達に関する日立の考え方や、調達パートナーに遵守いただきたい事項を各種ガイドラインにまとめて配布するとともに、調達に関する説明会や、サステナビリティ監査などを実施することで、調達パートナーとのさらなるエンゲージメント強化に向けて取り組みを進めています。

*1環境管理区分判定基準:各事業所の使用電力量、廃棄物発生量、水使用量、法規制該当の有無などの判定項目に対する実績を点数化し、3区分に分類

環境データ集計システム

活動・実績

日立は、環境マネジメントの一環として、エネルギーや水の使用量、廃棄物発生量、環境法規制への該当有無、環境会計など、約20項目の環境負荷に関連するデータを集計しています。
2023年度には、データの収集業務の効率化を図るために「環境データ集計システム(Eco-DS)」から「ESGマネジメントサポートサービス(ESG-MSS)」に移行を開始しました。2024年度中にはESG-MSSへの移行を完了させる予定となっています。2023年度の集計では、67カ国・約1,100事業所をカバーしており、日立グループ全体の環境負荷を把握するため、順次運用範囲を拡大しています。
集計したデータは、各事業所の環境管理区分の決定・環境経営上の課題の特定・事例の共有などを通して環境施策へフィードバックしています。また、A区分に該当する約110の主要拠点では、主要項目のデータを年2回集計しています。
さらに、グローバルに対応したヘルプデスクを設置し、日本語・英語・中国語の3言語で、システムの運用支援、環境マネジメントの理解促進に努めています。

化学物質管理システム

日立は、調達した材料・部品・製品に含有される化学物質関連の情報を、chemSHERPA*1フォーマットにも対応したグリーン調達システム「A Gree’ Net」で管理しています。製品の設計・開発から調達、製造、品質保証、出荷までの各段階における含有化学物質情報を把握し、輸出相手国の法規制に対応しています。
また、事業活動における化学物質の適正な利用は、化学物質総合管理システム「CEGNET」で管理しています。最新の法規制や自主管理規則をデータベース化し、新規物質のリスク検索などに活用するほか、使用している化学物質を登録し、取扱量・排出量・移動量を集計して、削減の取り組みに活用しています。

*1chemSHERPA:製品含有化学物質を適正に管理し、拡大する主要なグローバルの法規制(REACH規則:欧州連合(EU)の化学物質の登録、評価、認可および制限に関する規則、RoHS指令:EUの電子・電気機器における特定有害物質の使用制限指令など)に継続的に対応するための、サプライチェーン全体で利用可能な情報伝達共通スキーム

2023年度の取り組み:調達パートナーへの説明会

「A Gree’ Net」には2023年度末時点で、約140万件の材料・部品・製品の含有化学物質関連の情報を登録しています。毎年、A Gree’ Netを利用する調達パートナーを対象としたシステムの操作・chemSHERPA・法規制改正動向についての説明会を開催しており、2023年度は計4回開催し、延べ2,444人が参加しました。

従業員の環境教育

活動・実績

日立は、新入社員から役員に至るまでの日立グループ全従業員を対象に、eラーニングを用いた環境教育を実施しています。また、環境担当実務者や環境内部監査員を対象に、環境リスクや環境関連法令の遵守などに関する専門的な環境教育を、年1回実施しています。特に中国では、17のA区分の事業所が所在していることから、近年、厳格化した環境法規制に対応する研修を重点的に行っています。

2023年度の環境教育の実績

研修内容 対象者 人数
基礎教育および法令の改正内容、実務手引きなどに関する日立グループ研修 大気・水質・廃棄物管理などにかかわる実務者 日本:71社1,637人
(廃棄物921人+遵法716人)
中国:26社36人
中国における環境リスクの低減および環境実務者の知識向上を目的とした環境管理研修 環境実務者 28社34人
新人研修 中国日立グループの新人 8社55人

環境コンプライアンス

活動・実績

日立は、各国・地域の法令を確実に遵守するとともに、法令よりも厳しい自主管理基準を設定の上、内部監査を実施することで、環境リスクの低減に努めています。土壌・地下水については、有害化学物質を使用している、もしくは過去に使用した実績のある事業所で、定期的に汚染状況を調査します。汚染が確認された場合は浄化対策を講じ、浄化が完了するまで継続して監視します。
また、違反や苦情が発生した場合は、原因や対策をグループ全体で共有して、類似した違反などの発生防止につなげています。特に法令違反が発生した事業所については、是正措置として、3年間「高リスク事業所」に指定します。高リスク事業所は、当該事業所を管掌するBUおよびグループ会社による適切な指導のもとでコンプライアンス活動を継続的に強化し、再発の防止に努めます。

環境内部監査の実施状況

実施部門 対象 頻度
日立製作所コーポレート部門
(サステナビリティ推進本部)
BU・グループ会社の本社および環境管理区分Aの事業所 概ね3年に1度
BUおよびグループ会社のコーポレート部門
(環境部門)
BU・グループ会社の主要事業所および、その子会社*1
BU・グループ会社の環境管理区分Aの海外事業所*2
ISO14001認証事業所(監査チーム) 事業所内の各部署

*1BU・グループ会社が実施する内部監査に関する事項を定めた「日立グループ・グローバル監査基準」による

*2環境行動計画による

法令・条例違反および苦情などの件数

Note:日立では、調達先(いわゆるサプライヤー、ベンダー、プロバイダー等)を「対等な立場で一緒にビジネスをつくり上げるパートナー」に位置づけており、「調達パートナー」と表現しています。