グローバルに職場を変える人が増えるに従い、言葉や文化が異なる学校へ転校する子供たちも増えていきます。子供たちは、慣れ親しんだ教師や友人、カリキュラムから離れ、新たな環境に順応していかなければなりません。特定の科目の学習をするのであれば、インターネット上の学習サービスが解決してくれるかもしれませんが、学校は科目の学習をするだけでなく、子供たちの社会性を育む場所でもあります。多様な生徒を受け入れる教師は、どのようにして教室全体に目を行き渡らせ、質の高い教育を提供することができるでしょうか?
生徒の転校前の学習記録やコミュニケーションの癖などの情報を、転校先の学校に引き継ぎます。この情報をもとに、転校先の教師は転入生が新しい環境になじめるように授業のプログラムを組み立てることができます。例えば、転入生が前の学校で月の模様について学んでいたことを知って、同じ内容のプログラムを組み立てることで、転入生が発言しやすい状況をつくります。教育情報を引き継ぐことで、教師、親、子供の3者がもっとも神経を使う転入初期のサポートを手厚くすることができるのです。
教室には、教師のアシスタントを務める複数のロボットがいます。よく見ると、アシスタントロボットのボディには子供たちによる落書きがされています。落書きをされるぐらいクラスに溶け込むアシスタントロボットは、教師の代替ではなく、教師と生徒の間を結ぶ新しい存在として教室を活性化します。
授業前、教師はアシスタントロボットに授業プランを伝えます。クラスのグループに1体ずつ配置されたアシスタントロボットは、教室の全体に教育の目が行き届いた状態をつくります。アシスタントロボットは転入生の過去の学習記録や、他の生徒のコミュニケーション傾向などを踏まえ、子供たちの会話に介入します。それぞれの子供たちの実際の発言状況などを観察しながら、緊張している転入生にも発言の機会を提供します。
教師は授業が終わった後で、アシスタントロボットたちが記録した情報を振り返ります。単なるカメラによる記録ではなく、ロボットが生徒に対して働きかけることで反応を引き出し、それを記録することによって、教師が1人で見る以上の子供たちの様子を見ることができます。授業のプランを立てるのが一人ひとりの教師の役割であることは現在と変わりませんが、教師の注意がどうしても行き届かないところをアシスタントロボットがサポートすることで、これまで以上に温かくていねいな教育の推進をサポートします。