EverFlex from Hitachi
ハードウェア基盤 / 仮想化基盤
連載コラム3
ITインフラの構築と運用においては、オンプレミス(以下、オンプレ)とクラウドの2つの選択肢があります。本コラムでは、全5回にわたり、ITインフラの構築と運用におけるオンプレとクラウドの課題と、その課題を解決する理想的な方法、そして具体的な解決策について解説します。第3回となる今回は「クラウドリフト・オンプレ回帰の課題を解決する3+1の重要な仕組み」について解説します。
第1回のコラムでクラウド・オンプレのメリット・デメリットを、そして第2回のコラムで、クラウドリフトの課題、オンプレ回帰の課題と課題が及ぼす悪影響について解説しました。改めてその内容をまとめると下記のようになります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
オンプレ | 自社内でカスタマイズしやすい 既存システムと連携しやすい コストを固定化できる セキュリティ担保 |
管理・運用する人材の不足 管理・運用コストの負担 |
クラウド | 会社以外の場所でもアクセスできる 運用管理における人材の負担が少ない 運用管理のコストを抑えられる |
セキュリティリスクの対策 オンプレでカスタマイズしていた要件をクラウドで実現させるための対応強化 増大するコストの対応 クラウドサーバーに精通した技術者の不足 |
この結果、オンプレのメリットとクラウドのデメリットにより「オンプレをクラウドに全面移行できないという悩みの発生」、つまりクラウドリフトができないという課題につながっています。さらに、オンプレのデメリットとクラウドのメリットにより、「クラウドからオンプレに戻せない(オンプレ回帰できない)」という課題の発生にもつながっています。
さらに、クラウドリフトとオンプレ回帰、それぞれの課題は以下のように整理できます。
クラウドリフトの課題 | セキュリティリスクの対策 オンプレでカスタマイズしていた要件をクラウドで実現させるための対応強化 増大するコストの対応 クラウドサーバーに精通した技術者の不足 レスポンスが遅くなる(オンプレの方が早い) |
---|---|
オンプレ回帰の課題 | オンプレのシステム担当者が不在で、十分な運用ができない 従量料金に対応していないため一括での予算確保が必要 スモールスタートしたいけどできない |
これにより、クラウドに行くも課題、そしてオンプレに戻るも課題と、まるで八方塞がりの状態となり、下記のような悪影響につながっていきます。
クラウドリフトの課題 | ||
---|---|---|
課題 | 悪影響 | |
クラウドリフトの課題 | セキュリティリスクの対策 | 自社のシステム運用の品質が維持できない |
オンプレでカスタマイズしていた要件をクラウドで実現させるための対応強化 | ||
レスポンスが遅くなる(オンプレの方が早い) | ||
増大するコストの対応 | ITシステムの運用リソースが増大する | |
クラウドサーバーに精通した技術者の不足 | ||
オンプレ回帰の課題 | ||
課題 | 悪影響 | |
オンプレ回帰の課題 | オンプレのシステム担当者が不在で、十分な運用ができない | ITシステムの運用リソースが増大する |
従量料金に対応していないため一括での予算確保が必要 | ビジネススケールに合わせたITインフラの構築ができなくなる | |
スモールスタートしたいけどできない |
では、これらを解決するにはどのような仕組みが必要でしょうか?その必要な仕組みをご紹介します。
ご紹介したクラウドリフトとオンプレ回帰の課題を解消し、悪影響を回避するためには、まず下記3つの仕組みを検討する必要があります。
まず1点目の仕組みは、オンプレの優位性である「カスタマイズ性・堅ろうなセキュリティ、そしてレスポンスの速さ」がシステム運用品質の維持につながりますが、加えてクラウドの利便性を失わないことも重要になってきます。
2点目の仕組みは、クラウドライクなオンプレとは、自社独自のコンプライアンスやセキュリティに対応しつつ、クラウドサービスのようなコスト効果と利便性、拡張性を兼ね備えたオンプレのことをいいます。クラウドサービスプロバイダーがIT資産を所有するのと同様で、ユーザーは利用に応じた支払いが可能となる仕組みです。ITインフラ導入に関するコストの平準化により、初期投資を抑制できるので、キャッシュフローの改善につながります。
この仕組みによって、自社のビジネススケールに合わせて、柔軟性・拡張性に富んだシステムの構築が可能となります。
3点目の仕組みは、システムの安定稼働を支援して運用工数を圧縮する仕組みです。この仕組みでは、故障予兆検知を活用することで、技術者不足の影響を最小化することができます。さらに故障予兆検知を活用すれば、システムの安定稼働を維持したITインフラ運用が実現できます。この仕組みによって、ITシステムの運用リソースを抑制することができます。
このような3つの仕組みがあることで、クラウドリフトの課題、オンプレ回帰の課題を解消でき、自社のITインフラの構築や運用に柔軟性が生まれ、3つの悪影響を抑えることができます。
クラウドリフトの課題 | |||
---|---|---|---|
課題 | 悪影響 | 理想的な仕組み | |
クラウドリフトの課題 | セキュリティリスクの対策 | 自社のシステム運用の品質が維持できない | オンプレのカスタマイズ性・堅ろうなセキュリティとレスポンスの速さという優位性を残せる仕組み |
オンプレでカスタマイズしていた要件をクラウドで実現させるための対応強化 | |||
レスポンスが遅くなる(オンプレの方が早い) | |||
増大するコストの対応 | ITシステムの運用リソースが増大する | システムの安定稼働を支援して運用工数を圧縮する仕組み | |
クラウドサーバーに精通した技術者の不足 | |||
オンプレ回帰の課題 | |||
課題 | 悪影響 | 理想的な仕組み | |
オンプレ回帰の課題 | オンプレのシステム担当者が不在で、十分な運用ができない | ITシステムの運用リソースが増大する | システムの安定稼働を支援して運用工数を圧縮する仕組み |
従量料金に対応していないため一括での予算確保が必要 | ビジネススケールに合わせたITインフラの構築ができなくなる | オンプレをクラウドライクに使用できる仕組み | |
スモールスタートしたいけどできない |
そして、さらに重要な仕組みをもう1つご紹介します。高精度な故障予兆検知は「運用リソースの効率化」と「安定した運用品質」に寄与しますが、運用の難易度やサービスレベルによってはさらに高いレベルの運用が要求されることも考えられます。
そのため、もう1つ重要な仕組みこそが運用品質の飛躍的向上を支援する「ITシステム運用の業務をアウトソースできる仕組み」です。この仕組みがあれば、高精度な故障予兆検知とアウトソースを組み合わせることで、自社の予算やビジネススケールに合わせたIT運用体制が柔軟に構築できるようになります。
いかがでしたでしょうか。今回はクラウドリフト、オンプレ回帰の課題を解消するための仕組みを合計4つご紹介しました。
貴社でもこのような仕組みが実現できれば、今の課題や悩みを解消するきっかけになりませんか?次のコラムでは、この理想的な仕組みを実現する具体策、EverFlex from Hitachiについてご紹介します。