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story 05
長澤のライフスタイル
様々な経験を通して、
自分の世界を広げる
東京の郊外に生まれた私は、身近に里山のある環境の中で、裏山へ探検に行ったり、家族でキャンプをしたり、野外にある素材を使ってものづくりをしたり、自然とものづくりが大好きな子どもでした。
そのなかでも思い出深いのが、小学生の時の「家づくり」でした。まっさらな土地に家を建てることが決まってから、様々な物件の間取りを見てどんな家なのかを想像し、我が家の間取りを考えるのが面白くて仕方ありませんでした。家族でアイデアを出し合い、図面を仕上げ、仕様を確定し、家が建てられていく様子を間近で見ることに夢中になっていたのを覚えています。ゼロから新しい何かを作る楽しさに目覚めたのはこの頃だったと思います。
その後、進学した中高一貫の女子校で特に印象的だったのが、毎年熱戦が繰り広げられる体育祭の応援交歓でした。一学年約300人が一丸となって、自主的に朝練・昼練を重ねて歌や道具を用いた振り付けを合わせ、一つのパフォーマンスを創り上げる。そして当日は全てを出し切り、肩を組んで号泣…、まさに青春でした。そうした過程で、創造的な企画、作曲、演奏をする友人、皆を一つに纏めカリスマ的なリーダーシップを発揮する友人など、意志を持ち、自らの個性を発揮する同級生に魅せられ、「なりたい自分像」を考え始めるようになりました。
そして、私の世界を大きく広げてくれたのが、高校生の時に行ったオーストラリア留学でした。1年間のホームステイを通じて見えてきたのは、オーストラリアでは同世代から大人まで様々な価値観を持ち、みな強い意思を持って社会問題や環境問題に向き合う姿勢があること。そうした日本とは異なる文化や自然と共生する社会を経験して、「価値とは何か」「自分は社会に何ができるのか」を考える最初のきっかけになりました。
都市環境デザインの
研究活動に
没頭した大学時代
幼少期の経験に加え、留学時に大自然に触れたり建築を学ぶ機会もあったことで、「自然環境や建築についてもっと学んでみたい」と思うようになり、大学では理系の学部に進み、都市環境デザインを専攻しました。
1年生の時から研究会に参画し、銀座や新宿などの都市を舞台に、自治体や事業者の方々と対峙しながら、まちづくりの課題を解決し、新たな価値を創造するというプロセスが面白くて、寝る間も惜しんで研究活動に没頭していました。プロジェクトチームを形成し、フィールドワークの積み重ねを通じてその都市の特徴を調査・分析し、課題を可視化して、ソリューションを提案する。学生時代にそうした実社会に対する課題解決や意思決定プロセスを促す実体験ができたのは非常に大きかったと思います。
日本の安心・安全に
貢献する、日立製作所の
「ディフェンス」事業部門へ入社
大学卒業後は、建築関係の仕事に就く選択肢もありましたが、課題解決や意思決定プロセスに面白さを感じて、コンサルティング業界に興味を持っていました。しかし、日立製作所に入社した先輩がいたこともあり、社会勉強のつもりで事業概要を調べていたところ、「ディフェンス」という事業領域が私の目を引きました。
日立の「ディフェンス」事業とは、一言でいうと国防をサポートする事業であり、政府に対する様々なITシステムや装備システムの提供を通じて、安心・安全な社会の実現に貢献しています。「今、何が起きているのか」という状況を可視化し、意思決定をして防衛活動を推進するオペレーションサイクルは、建築やまちづくりのプロセスと似ていると感じました。また、これまで経験したことのない領域での意思決定プロセスに俄然、興味が湧き、日立のディフェンス事業の世界へと飛び込んだのです。
入社後は、政府が利用する指揮統制支援システムの設計開発を経験した後、サイバーディフェンスソリューションの提案活動に携わるようになりました。当時は世界中でサイバー攻撃が増えてきた頃でもあり、日本では未開拓に近い領域でした。そのため、最新の動向を把握するために有識者に直接会ったり、カンファレンスに参加しながらサイバーセキュリティの知見を深め、「お客様にどういう価値を提供できるか」を練り上げ、お客様の体制強化やオペレーション立ち上げに関する提案などを行なっていきました。
イギリス研修での
インプットを経て、
ディフェンス事業の
新領域開拓に貢献
入社8年目に、私は海外業務研修※1でサイバー防衛やテロ対策の先端を走るイギリスに1年間赴任する機会を得ました。イギリスの防衛戦略の背景を知るために大学のサマースクールに参加して、国家によるインテリジェンス活動やテロリストの心理学を勉強したり、国家安全保障戦略やサイバー関連の最新動向を知るために、研究機関のイベントに足繁く通ったりしていました。かつてのオーストラリア留学での教訓は “時間は有限”であること。だからこそ、知識を貪欲に吸収し、多様な考え方に触れて刺激を受けたことで、帰国後は思考力や提案の幅が格段と広がりました。
その後は、以前から提案活動を行なっていたサイバーディフェンスの新規事業を無事に受注することができ、現在はそのプロジェクトマネジメントを担当しています。この新規事業は、新たな価値創造に向けて、お客様に意思決定いただいた思い入れのあるプロジェクトです。これからは、チームをマネジメントする力をもっと磨き、後輩にも新事業提案のスキームを伝えていく存在になっていきたいと思っています。
※1:海外業務研修:グローバル人財育成を目的とし、社員を日立または関連会社の海外事業所等に派遣し、海外関連実務や業務に関連するテーマの研修を行う制度。
環境をととのえ、
仕事と育児も無理なく両立
イギリスから帰国した直後に職場の同僚と結婚し、翌年には1年間、産休・育休を取得しました。復職後は以前と同じ、フルタイムで働きながら育児をしています。仕事に大きな意義を感じているからこそ、仕事復帰への迷いはありませんでした。
一方で、フルタイムでの仕事を実現するため、「自宅と会社と保育園の三角形」を最小限にすることを夫と共に意識しました。保育園は自宅のすぐ目の前、自宅から会社までは片道30分以内の環境をめざして育休中に家探しや引越しを進めました。また、復職当初に社内の託児所に子どもを預けられたこともこの理想の環境の実現には不可欠でした。現在も裁量労働制度があることで勤務時間に融通が利くなど、会社のさまざまな制度に助けられています。
これまでは、夫も私も常に無意識に仕事のことを考えていて、それが嫌ではなかったのですが、今は家族の時間と仕事の時間を切り替えることが最大のリフレッシュになっています。夫婦共に仕事と育児でバランスがとれているからこそ、より集中して効率を考え、仕事に打ち込むことができていると思います。
人生を最高に
充実したものにするために
子どもが生まれたことで、最近は社会に対して「自分にできることをしたい」という思いがより強くなっています。サイバー攻撃や大規模な自然災害など、地球規模で解決すべき課題があるからこそ、日本の安心・安全における政府の迅速な意思決定を支援できる体制を構築できるように、社内外問わず連携して取り組んでいきたいと思っています。
その先を考えた時、これまで培ってきた意思決定プロセスの経験を活かし、もっと身近なコミュニティの意思決定にも携わってみたいと思っています。例えば、海外では市民が税金をどう使うか、自分たちの意見を発信して街をよくする仕組みがあります。社会課題に対して我慢をするのではなく、気軽に社会が動くソリューションをつくってみたい。そうして、未来に新たな価値を創造していくことが今の私の目標です。
人生100年時代といわれていますから、いかに自分なりに充実し、納得した生き方をするかが大切だと思います。学生時代の経験の中で、自分の意志を持って行動することの大切さを知りました。誰かのせいや環境のせいにしたところで、後悔するのは自分自身です。これからも固定観念に捉われずに、意志を持って物事に向き合い、仕事をしながら家族との人生を最高に充実したものにしていきたいと思っています。