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【Solution】トータルシームレスソリューション

産業界の「際」の課題を解決する「トータルシームレスソリューション」

新型コロナウイルスの感染拡大により、産業界ではサプライチェーンの分断など、業務間・企業間の「際(きわ)」の課題がより顕在化してきました。そこで日立のインダストリーセクターは、お客さまの「際」の課題をワンストップで解決する「トータルシームレスソリューション」を提供。現場と経営、バリューチェーンをリアルタイムでつなぐ経営視点の全体最適化をめざしています。

新型コロナで産業界に新たな課題が顕在化

 世界的に猛威を振るう新型コロナウイルスの影響やお客さまニーズの多様化・高度化とともに、多くの製造業では自動化・非接触・リモートによる従業員の安全性確保と生産性向上の両立に加え、サプライチェーン分断における事業継続性といった新たな課題が顕在化しています。

 With/Afterコロナで経営環境が大きく変わるなか、産業界ではさまざまな環境変化やリスクに柔軟に対応できるレジリエントなオペレーションの構築が急務となっています。そのため現場と経営、サプライチェーン、企業や異業種間のギャップとなる「際」をつなぎ、新しい事業価値を創造していくためのデジタル活用が今まで以上に求められています。

 今回のコロナ禍(か)では、従来の「際」の課題である技能伝承や品質安定化などに加え、事業継続性の確保、マスカスタマイゼーションの加速、品質担保に必要なデータ不足への対応といった、新たな課題が顕在化しました。これらニューノーマル(新常態)対応も含め、課題解決を図るには、業務と企業間をつないだサプライチェーンの最適化、サプライチェーンとエンジニアリングチェーンをつないだ事業対応、事業全体のデータの可視化などが必要となります。

 そこで日立のインダストリーセクターでは、これら「際」の課題を解決するために、マニュファクチャリング、ロジスティクス、リテール、ロボティクスといった多岐にわたる領域で、現場から経営、調達からエンドユーザーまでをシームレスにつなぎ、経営視点での全体最適をめざす「トータルシームレスソリューション」を提供しています。

“プロダクト×OT×IT”の力で課題を解決

 トータルシームレスソリューションを実現しているのは、日立が製造業として長年培ってきた、産業用機器などのプロダクトおよび現場運用(OT)の知見、経営・業務を支援する豊富なITケイパビリティを融合した“プロダクト×OT×IT”の力です。

 多岐にわたる事業領域で培った豊富な実践経験とノウハウ、お客さまとの協創事例を反映したデジタルソリューション Lumadaをベースに、日立は製造業・流通業のさまざまな「際」をつなぎ、お客さまのトータルプロフィットの最大化をめざします。

 その一例となるのが、4M*データを活用したリモートオペレーションの支援です。リアル空間での業務プロセスと現場から得られる4Mデータを、デジタル技術を活用したサイバー空間でモデル化し、現場状況をリアルにシミュレーション。その分析結果をすばやく現場や経営、グローバルSCMにフィードバックすることで、製造現場の進化や、生産性・収益性のさらなる向上、レジリエントな経営などを実現していきます。

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図:日立のトータルシームレスソリューションの概要
日立のトータルシームレスソリューションの概要
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実践段階に入ったトータルシームレスソリューション

 日立のトータルシームレスソリューションは、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するさまざまなお客さまとの間で実践段階に入っています。

 例えば、現場と経営の「際」をつなぐ事例となるのが、工業用間接資材の通信販売最大手 MonotaROとの協創です。同社の物流倉庫に日立インダストリアルプロダクツの小型無人搬送ロボット「Racrew(ラックル)」をこれまでに約270台導入し、ピッキング作業を効率化。さらに同社が新設する予定の物流センターでも、約480台の「Racrew」導入を計画しています。今後は倉庫管理システム(WMS)・ロボティクス活用によるシステムの高度化に挑戦していきます。

 また、サプライチェーンの間の「際」をつなぐ事例のひとつがダイキン工業との協創です。ダイキン工業とはこれまでろう付け作業や化学品反応プロセスのデジタル化といった製造現場の高度化に取り組んできましたが、新たに経営視点での価値最大化を図るため、需要変動に即応する適正な生産・販売計画の立案・実行支援を行い、意思決定までの時間を約95%短縮できることを確認しました。

 さらに、サプライチェーンにおける異なる企業間の「際」をつなぐ事例が、再生医療等製品に関わるステークホルダーが利用できる共通サービス基盤です。これは医療用医薬品卸のアルフレッサや製薬企業、医療機関などとの協創で構築したもので、業務効率と安全性・品質を向上させる基盤として2021年から実運用を開始します。

 日立は、こうした協創の取り組みをLumadaのユースケースとして蓄積。同様の課題に直面するお客さまをトータルシームレスソリューションでサポートすることで、経営視点での事業最適化に取り組んでいきます。

ロボットSI領域を核にグローバルSCMに挑戦

 いま製造業では、労働力不足や人件費の高騰に加え、ニューノーマルにおける3密回避や移動制限など、新たな制約を守りつつ事業を継続させるという経営課題に直面しており、“人と設備によるモノづくり”から“人とロボットが協調したモノづくり”へのシフトが急速に進んでいきます。

 こうしたなか、日立は、バリューチェーンにおける「際」の課題への対応を強化することをねらい、米国のロボットシステムインテグレーターであるJR Automation社を2019年に買収しました。同社は、米国のロボットSI事業でトップクラスの実績を持ち、自動車、医薬・医療、eコマースなど、さまざまなお客さまに対して、ロボティクスSIの技術を用いた製造・物流分野の自動化・効率化に貢献している企業です。同じく2019年に買収した日本のロボットシステムインテグレーター ケーイーシーの技術も合わせ、今後日立は膨大なデータが集まるロボットSI領域を核に、トータルシームレスソリューションによるグローバルなサプライチェーンの最適化に挑戦していきます。

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はいたっく 2021年1-2月号