生活者視点のマーケティング活動を支援するテキスト解析プラットフォーム「mindlook®」
SNSをはじめとするソーシャルメディアに集まる「声」が、社会活動やマーケティングに大きな影響力を持つ時代となっています。そこで電通グループは、SNSなどに書き込まれたデータをマーケティング戦略に生かすテキスト解析プラットフォーム「mindlook®」を日立と協創。企業と生活者間のコミュニケーションをデジタルでさらに加速させています。
(左から)株式会社 電通 高森 雅和 氏
株式会社 電通 松田 一樹 氏
株式会社 電通デジタル 山本 祐生 氏
企業の広告宣伝から商品開発、事業課題の解決、マーケティングコミュニケーションの実施まで、多岐にわたる事業領域でベストな統合ソリューションを提供している株式会社 電通(以下、電通)。同社は2020年、国内グループ6社とともにグループ横断プロジェクト「Dentsu Engagement 360™」を発足させ、企業が抱える「新規顧客の獲得」「既存顧客の育成」という2つの課題への対応を一本化して行うソーシャルメディアマーケティングサービスの提供を開始しました。
「TwitterやInstagram、FacebookなどのSNSが普及したことで、企業は生活者の投稿内容やインサイトをマーケティングに活用し、お客さまとのエンゲージメントをどう高めていくかが大きな課題となっています。そうした取り組みを支援するDentsu Engagement 360のアナリティクスを最適化するため、日立と一緒に開発したのがテキスト解析プラットフォーム“mindlook”です」と電通 ソリューション開発センター シニアソリューションディレクター 高森 雅和氏は語ります。
mindlookは電通グループが持つ、豊富なマーケティングの知見と生活者視点で作られた独自辞書情報に、日立の高精度な感性分析技術を組み合わせた分析プラットフォームです。SNSや新聞、雑誌、アンケート、会話ログなど、さまざまな日本語テキストデータを自然言語解析AIで分析することで、生活者の声を感性軸で深く理解し、反映したカスタマーエクスペリエンスデザインを描くことが可能となります。
mindlookの開発に至る背景を、電通 データ・テクノロジーセンター シニアアナリスト 松田 一樹氏は「従来のソーシャルリスニングの手法では、ポジティブ/ニュートラル/ネガティブといった感情の違いは分かるものの、それがどのようにポジティブだったのか細かいニュアンスまでは読み解くことができませんでした。また分析作業の多くを人手に頼っていたため、専門性の高い一部の部署でしか知見を使えないこと、既存の海外製ツールは日本語辞書機能が不十分で同音異義語解釈などの精度が低いことも課題となっていました。そこで、より多角的かつ高精度に自然言語を解析できる技術を探していたところ、当社の要件とマッチし、他社への導入実績もある日立の感性分析技術の存在を知ったのです」と振り返ります。
日立の感性分析技術は、従来の分析軸である「ポジティブ/ニュートラル/ネガティブ」にとどまらず、より細分化した81種類の感情を自動的にタグ付けすることができます。電通、電通グループのデジタルマーケティング専門会社である株式会社 電通デジタル(以下、電通デジタル)、そして日立の3社は、電通グループの知見と日立の技術を組み合わせた協創に着手。容易に分析が行えるユーザビリティと、ダッシュボードによるアウトプットの全体俯瞰(ふかん)、ユーザー数の拡大に対応できるスケーラビリティや運用管理の容易性などを念頭に置いたアジャイル開発を進め、クラウド環境であるAWS*上に、短期間でmindlookのプラットフォームを構築することに成功しました。
2020年8月にリリースされたmindlookは、生活者の声を産業/経済/生活/スポーツなど約800個のトピックに分類して、感情を分析する81種類のタグを自動で付与し、生活者が「どの話題について」「どんな気持ちで」書き込んでいるかを詳細に分析できます。
「お客さまにmindlookをお試しいただくと、省略された商品名や俗語など、日本語特有の表記の揺れがきちんととらえられていること、今まで深掘りできなかった生活者の詳細な感性や“認知/意向/体験/リピート”といったファネルが同時に分析できることに驚かれ、ほとんどの方が“ぜひ使ってみたい”とおっしゃいます。容易な操作で感情のタグ/トピック/ファネルなど、さまざまな軸でのフィルタリングができる点も高い評価をいただいています。電通グループではすでに700名ものユーザーが日々mindlookを業務に活用しており、ソーシャルリスニングを起点としたネクストアクションを想起するための汎用(はんよう)ツールとなっています。またマーケティング分析を内製で行いたいというお客さまにも提供を開始しています」と、開発を担当した電通デジタル エクスペリエンス部門 ソーシャルメディア事業部 アナリスト 山本 祐生氏は語ります。
mindlookによってソーシャルリスニングが自動化されたことで、分析作業にかかる時間が短縮。専門的なスキルに依存していた分析作業の属人化も解消できました。
「お客さまの商品やサービスが市場でどうとらえられているかをmindlookで事前に分析すれば、そこで抽出された課題やインサイトの解決も含めた効果的な提案が行えます。将来的にはmindlookの多言語対応でグローバルサイトでも活用できるようにしていきたいですね」と高森氏は期待を寄せます。
松田氏も「日立との協創で、企業が日常活動の中でお客さまの感性からインサイトを抽出するハブ機能に発展させていくのが当面の目標です。またWeb会議やリモートでの顔認証など、非接触な接点も含めたニューノーマル(新常態)のコミュニケーションからも感性を読み取れるソリューションへも進化させていきたいですね」と語ります。
その期待に応えるため、これからも日立は感性分析技術のさらなる進化とトータルなソリューション開発で、電通グループのグローバルビジネスを支援していきます。
[所在地] 東京都港区東新橋1-8-1
[創業] 1901年7月1日
[資本金] 100億円
[従業員数] 6,935名(2020年1月1日現在)
[事業内容] 「Integrated Communication Design」を事業領域としたコミュニケーション関連の統合的ソリューションの提供、経営・事業コンサルティングなど
[所在地] 東京都港区東新橋1-8-1(電通本社ビル内)
[創業] 2016年7月1日
[資本金] 4.4億円
[事業内容] デジタルマーケティングの全ての領域に対する、コンサルティング、開発・実装、運用・実行の提供
(株)日立製作所 アプリケーションサービス事業部
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