知的財産管理クラウドサービス「PALNET/MC Cloud」
事業を守るための特許網が重要であるとの考えから、基盤事業や新規事業分野での知的財産権の取得に力を注いでいる株式会社 日立システムズ。「知的財産を効果的に活用すること」「他者の知的財産を尊重すること」という行動規範にのっとり、知的財産権を積極的に出願・取得するとともに、製品・サービスが他社の権利を侵害しないように事前の調査が行われています。
研究開発本部 知的財産部では、管理業務の効率化を図りながら管理データを事業活動に役立てることをめざし、日立の知的財産管理クラウドサービス「PALNET/MC Cloud」を導入しました。
システム導入について、部長 赤松 重明 氏と部長代理 吉本 英雄 氏にお話を伺いました。
――まずは、貴部署の知財戦略/特許戦略の取り組みを教えてください。
赤松
当部署では、知財力で自社事業に貢献することを目標としています。今の時代、自社が保有するデータをいかにビジネスに活用するかというデジタル戦略が求められていますが、知財業務でもその流れを無視することはできません。2015年度以降、主力事業分野に絞り込んだ知財戦略策定により、量から質への知財方針の転換を図り、推進活動を行ってきました。実際、近年は主力であるデジタライゼーション分野の出願比率が増加しています。また、ビジネスサイド向けの対応では、PoC(Proof of Concept/概念実証)や顧客協創の契約において、今までにはなかった顧客と自社で創出したアイデアなどの権利をどのような形で保持するべきかなどの契約支援の需要も増えてきています。
――これまではデータをMicrosoft® Excel®で管理されていたとか。多いときで年間300件近くの出願数ともなると、かなり苦労されていたのでは?
吉本
はい。各自が特許関連の情報をMicrosoft® Excel®に手入力していたので、ヒューマンエラーが発生していました。たとえばチェック機能不足により、特許に関する指定国の入力もれや、番号の入力ミスを見つけられなかった場合、後の業務で関連情報などと照らし合わせて確認しないといけなくなるのでリカバリーに余計な手間がかかります。知財の管理データは各項目が密接に関連していますし、外国出願が増加するとより複雑になるため、Microsoft® Excel®の表形式で管理するには限界がありました。そのヒューマンエラーによる業務影響は、すぐに判明するものもあれば、かなり時間が経過してから判明するものもあり、不完全な管理データが存在する状態というのは非常に良くないと考えていました。また、データが複雑なうえ、各種期限管理や中間処理の履歴管理も属人的になっていて管理データがきちんと活用されているか不安がありました。そもそもデータは管理するものではなく活用するもの、その元となるデータがしっかりしていないと全く意味をなさないため、システム化したい思いはずっと持っていました。
――もともとシステム化の必要性は感じられていたのですね。
吉本
はい。加えて、発明者への審査請求案件の要否調査用にMicrosoft® Excel®のマクロを使用していたのですが、マクロの作成者の異動後はメンテナンスもままならならず、アップデートしようにも対応ができない状況でした。一方で、システム管理のために専任者を置くのも人員計画上難しいところでした。また、オンプレミスのシステム導入を計画したこともありましたが、社内の投資予算の認可が難しく、実現には至りませんでした。そんな中、知財部門の体制が変わり業務効率化を推進するグループができ、システム化に向けた検討が加速されました。「知的財産を効果的に活用し、事業に貢献する」ことを、経営層のほか、営業やSEなどの現場に訴え続けていたことも、追い風になったと思います。
――「PALNET/MC Cloud」導入の一番の決め手は?
吉本
何よりハードウェアやソフトウェアなどの資産計上が必要なく、投資予算の確保が不要な点です。自社のデータは自分のところで持ちたいという考えからオンプレミスにこだわる会社も多いと思いますが、システム運用の手間を考えなくていいクラウドである点も少人数体制の我々にとっては魅力的でした。また、日立グループでは「PALNET/MC6」を利用している会社が多いため、グループ企業間の連携による知財業務効率化や、データのやり取りを考慮すると「PALNET/MC6」をベースにして、かつ、クラウド環境で利用できる「PALNET/MC Cloud」がいいと考えました。日立の知的財産管理システムなら、多くの企業での採用実績があるので安心感があったのも大きかったと思います。
――導入時の苦労などありましたか?
吉本
特に苦労はありませんでした。強いてあげるとするなら、社内の情報セキュリティポリシーに沿っているかを事前に調べることくらいです。これについても技術的な不明点はサポートサービスに問い合わせれば、調べてくれました。自分たちで手を動かしたことは、クライアントセットアップくらいです。これで知財管理に必要な「PALNET/MC Cloud」の基本的な機能は利用できますし、何より知財関連サービスに長年携わっているメンバーからサポートが受けられるのがいいですね。現在、運用が開始されて間もない状況ですが、皆がもともとシステム化を望んでいたので、以前と違うやり方でも抵抗なく利用しています。
――今後の展望や、「PALNET/MC Cloud」へのご期待をお聞かせください。
赤松
知財をどうやって事業に生かしていくかというところで、まずは「PALNET/MC Cloud」を活用し管理データの精度を上げて、それを営業活動に貢献できるように社内へ情報提供していきたいと考えています。また、日立グループ全体の方針もあり、今後さらに、お客さまとの協創事例が増えていきます。その際の契約は過去の事例と異なり、非常に複雑かつ重要で、営業をはじめ知財、法務、調達の各部門の連携が必要です。契約書における知財面のリスクチェックや課題の抽出などをRPAやAIのソリューションで支援してくれるようになるとかなりの効率化につながるので期待したいですね。また、重要KPIのひとつである、自社の休眠特許の活用にも「PALNET/MC Cloud」を役立てていきたいですね。
(2019年4月取材)
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