知財を重視した経営戦略を支援する「日立知財ソリューション」
株式会社 ダイセル 江川 祐一郎 氏 村上 真理子 氏 水方 勝哉 氏
総合化学メーカーである株式会社 ダイセル(以下、ダイセル)は「守りの知財」からIPランドスケープ*1による「攻めの知財」への変革をめざし、日立の知的財産管理システム「PALNET/MC6」と特許情報提供サービス「Shareresearch」を導入。知財情報の一元管理と効率的な特許情報の利活用による経営イノベーションに取り組んでいます。
セルロース、有機合成品、合成樹脂、火工品など、社会に不可欠な幅広い素材をグローバルに開発・供給しているダイセル。なかでも液晶保護フィルム向けの酢酸セルロースや、自動車エアバッグ用インフレータ(ガス発生装置)では世界トップクラスのシェアを誇り、ダイセル式生産革新に代表される「モノづくり力」は国内外から高く評価されています。
その重要な経営資源である知的財産を管理する「知的財産センター」では、2017年から日立の知的財産管理システム「PALNET/MC6」と特許情報提供サービス「Shareresearch」を導入。知財を重視した経営戦略であるIPランドスケープを積極的に推進しています。
「これまで当社の知財部門は、日本企業の多くがそうであったように、競合からの特許侵害を防ぐことを主目的とした“守り”のスタンスで活動していました。しかしIPランドスケープの進展にみられるように、より事業や経営に資するグローバルな視点での提案が必要になってきたことで、2年前から“攻めの知財”へのシフトを図ってきました。具体的には、素材製品を開発するだけでなく、その素材を使い、お客さまがどのような課題を解決したいのかまで踏み込んだビジネスモデルの開発や、他社情報との連携によるオープン・クローズ戦略を実施し、知財先取での秘匿化、標準化、知財売買などを実践していく取り組みを行っています。そのために自社他社情報の一元化や調査業務の効率向上を実現する基盤が必要となり、日立のシステムを導入することになったのです」と語るのは、知的財産センター 知的財産ソリューショングループ リーダーの江川 祐一郎氏です。
ダイセルが導入したのは、グループ企業全体の発明提案から権利維持までの一連の特許業務を一元管理し、知財の有効活用とリスク管理をサポートする知的財産管理システム「PALNET/ MC6」と、世界98の国と地域の特許情報などをWebブラウザ上で高効率・高精度に収集できる特許情報提供サービス「Shareresearch」です。
「それまでは、社内の知財管理と外部の特許情報検索が全く別々のシステムとして動いていました。そのため社内と社外の情報を合わせて分析したいと思っても、知財部門が手作業によって表計算ソフトなどを用いて作成するしかなく、非常に大きな手間が発生していました。攻めの知財を推進するには自社で生み出したアイデアが、世界の公開特許と比べてどう位置づけられるかのSWOT分析*2をリアルタイムにできなければなりません。そのスピード感が当時のシステムでは実現できなかったのです。そこで複数ベンダーのシステムを検討した結果、この2つのシステムをシームレスに連携でき、業務効率とスピードを向上できる日立の環境がベストだと判断しました」と江川氏は説明します。
「社内で生み出された未公開・未出願の発明情報と、外部の公開特許情報をリアルタイムかつ横断的に分析できるようになりました。各技術分野における自社の立ち位置を客観的に把握できるだけでなく、複数部門のアイデアやテーマを連携した付加価値の高い発案を早期に行いやすくなります。他社の特許情報をタイムリーに把握することで、先行した研究開発の推進につながるポートフォリオの把握も期待できます」と江川氏は「PALNET/MC6」と「Shareresearch」との連携メリットを高く評価します。
また、知的財産センター 知的財産戦略グループの村上真理子氏は、「PALNET/ MC6のワークフローに業務を合わせることで、データ入力の負荷分散が図れたほか、包袋*3登録の自動化などにより、書類管理も含めた業務の効率化が進みました。データとワークフローのログ(証跡)が一元的に管理される仕組みのため、セキュリティやガバナンスも大幅に強化されたと思います。技術開発部門や特許事務所との連携も含めた知財業務フローの見直しにより知財部門の業務負荷が低減しました」と、話します。
「国内外の特許情報は膨大なデータですが、自分が調査したい観点で容易に情報が検索できれば開発効率が上がり、イノベーションが起こしやすくなります。その点Shareresearchは、サーチャーのスキルがなくても自然な言葉で簡単に検索できるのがいいですね。今回のシステムは技術者や知財部門に限定せず、営業やマーケッター、経営層も含めた全社員がアクセスできる環境のため、Shareresearchの活用をさらに広めていくことで全社一丸となった知財戦略の推進に役立つのではないかと期待しています」と、知的財産センター長の水方 勝哉氏は使いやすさを評価しています。
ダイセルは2019年4月から「知的財産ソリューショングループ」を新設。IPランドスケープの推進と、新たなビジネスモデルの開発を加速させるため、知財システム基盤のさらなる強化を志向しています。
「今後は、より多くのステークホルダーに研究開発や事業戦略の方向性を共有してもらうことが必要です。そこで、日立には知財情報をさらに直感的かつリアルタイムに見える化できるビジュアル機能の強化を期待しています」と江川氏は語ります。
その挑戦を、これからも日立は知財ソリューションの継続的な強化によって支援していきます。
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