ブロックチェーンに早くから着目し、プロジェクトチームを組成してBusiness to Business(BtoB)領域への社会実装方法等を研究してきたのが日立製作所です。自社での研究開発だけではなく、Hyperledger FabricへのOSSコントリビューションなど、市場やユースケースの拡大に向けた取り組みも積極的に行っています。
ブロックチェーンを活用している権利流通基盤を使うことで、様々なIDを基盤上の共通IDで横断的につなげることができるので、ユーザーは任意の媒体1つで様々なサービスを利用することができるようになります。
ブロックチェーンを自社のビジネスにどう結びつければよいか、わからない。いざトライしてみると、思ったような効果が出ないとお悩みの方必見!?ブロックチェーンのメリットをビジネスでしっかり得られるよう、その潜在能力を余さず引き出す勘どころを、エキスパートがお伝えします。
(講師/日立製作所 Blockchain推進部 佃 美和)
第1回は、ブロックチェーンのしくみのおさらいから、導入に向けて押さえておきたい「5つの特長」、ビジネスに合わせて選べる「3つの型」について、ご紹介します。
第2回は、B2Bビジネスでブロックチェーンの効果をしっかり得る為に正しく使いこなす技や、Hyperledger Fabricの具体的な適用例をご紹介します。
第3回は、ブロックチェーンがビジネスで威力を発揮するために、パートナーとして日立が提供するサービスと信頼性を強化する関連プロダクトについて、ご紹介します。
ブロックチェーンの技術的な特長から数多くのユースケースが創出され、その価値を検証するための実証実験が世界中で実施されています。さらに日立では、それらの実証実験で見つかった新たな課題の解決に取り組んでいます。システムやサービスの実運用に向けて、日立だからできることをエキスパートたちがお伝えします。
第1回は、ブロックチェーンの価値に基づくユースケースの創出から価値検証までを迅速に行うための、日立のグローバル協創環境BC Squareについてご紹介します。
(講師/日立製作所 東京社会イノベーション協創センタ 親松 昌幸)
第2回は、創出したユースケースを迅速にシステム化するために、日立が開発したHyperledger Fabricのリファレンスモデルとライブラリについてご紹介します。
(講師/日立製作所 Blockchain推進部 梅田 多一)
第3回は、Hyperledger Fabricで構築したシステムの高信頼運用をお客さまにご提供するために、日立社内で行なっている実証実験についてご紹介します。
(講師/日立製作所 Blockchain推進部 梅田 多一)
インターネットの進化の第三段階とされる「Web3.0」は、2022年がその「元年」とも言われています。小島社長は「今後あらゆる機器がインターネットにつながる、いわゆるIoT環境が普及し、様々な分野の活動データが可視化されるようになります」とした上で、「インターネット上では、情報の改ざんを阻止するブロックチェーン技術の活用により、人々は安心して情報をやりとりすることが可能になるでしょう」と語りました。
最近、デジタルアートの世界を大いににぎわせているNFT(非代替性トークン)。デジタル作品に識別情報を持たせ、その作品に唯一の所有権があることを証明する技術です。複製可能なデジタルアートに「唯一性」が付加されることで、中には数億円で取引される作品も出ています。
この新しい仕組みを可能にしたのは「ブロックチェーン」という技術です。もともとは暗号資産を支える技術として普及しましたが、近年ではその活用シーンが他の領域にも広がり、私たちの日常生活に変革を起こす技術として、さらなる注目を集めています。この記事では、そんなブロックチェーンの仕組みから、最先端の活用事例までを、分かりやすく解説します。
日立製作所は2021年1月22日、企業などの設備やサービスにおける「再生可能エネルギー」の使用状況を、電力の使用量をデジタル技術で計測するスマートメーターと、データを安全に管理するブロックチェーンの技術を組み合わせて「見える化」するシステムを発表しました。また、それぞれの設備やサービスが「再生可能エネルギー」のみで稼働・提供している場合、「Powered by Renewable Energy」として証明するシステムの運用を始めたことも明らかにしました。これらは脱炭素社会の実現に向けた取り組みの一環です。
サステナブルファイナンスで得た資金を活用して調達された、太陽光パネルなどの再生可能エネルギー関連設備にIoTセンサーを取り付けたり、既存の監視システムと連携したりすることで、発電量などの稼働データをブロックチェーンのデータベースに自動的に記録します。
日立の「ブロックチェーンシステム開発支援サービス」は、"信頼(トラスト)"を担保した企業間取引の実現に向けて、高い改ざん耐性を持つブロックチェーン技術を活用し、秘匿性や真正性を確保しながら企業間で業務データを共有・交換できる仕組みを迅速に構築するサービスです。企業間のデータ取引を促進し、お客さまの新しい価値とビジネス創出に貢献します。
さまざまな業種のノウハウと、高信頼、高セキュアなブロックチェーンを紹介。
企業間の情報連携を効率化し、安全性や信頼性を担保するため、ブロックチェーンの技術を活用。
日立では、環境関連のデータをセキュアに収集したうえでレポーティングや認証に活用できるサステナブルファイナンスプラットフォームを提供し、環境対策への投資効果の可視化と検証を可能にしています。
TABLE FOR TWO International(TFT)代表の小暮氏は、ブロックチェーン技術を活用した企業間情報連携推進コンソーシアムといった日立の活動に、強い関心を示す。その背景には、自分たちが身を持って体験してきた切実な課題があった。
ブロックチェーンの技術を土台に、業種の垣根を越えて複数の企業同士がデータを連携し、これまで単独企業ではなしえなかった社会課題の解決をめざす動きがある。それが、2020年4月に発足した一般社団法人企業間情報連携推進コンソーシアム「NEXCHAIN(ネクスチェーン)」だ。本シリーズでは、設立の背景やNEXCHAINで実用化に向け検討されているサービス、会員企業のねらい、活動の最新動向に触れ、企業間情報連携という新たな潮流の可能性を探っていく。
いまインターネットに匹敵する技術として、ブロックチェーンと呼ばれる技術が注目されている。この技術をもっとも有名にしたのはビットコイン(*1)、いわゆる暗号資産(仮想通貨)だが、その大きな特徴の一つは、第三者機関が介在して取引が成立する従来の中央集権型のスキーム取引モデルと異なる点だ。つまり、信頼性や透明性の高い「あらゆるものの記録(Ledger)」をベースに、利用者あるいは参加者間でお金や価値を直接取引することができる。本稿では、ビジネス・ユースに耐えるブロックチェーン開発に挑む日立の取り組みを紹介する。
ブロックチェーンとは、「人や組織が価値(あるいは資産)の交換を行うことを実現する分散型のインフラ技術である」と、国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの高木聡一郎氏は語る。そこで重要な役割を担うのが、資産に関する処理をブロックチェーン上で自動で行う「スマートコントラクト」だ。貨幣などの情報の「台帳」管理だけでなく、「コンピューティング基盤」として動き始めたブロックチェーンに関して、いままさにさまざまな機関でユースケースが検討されている。具体的な事例について、高木氏に聞いた。
小売流通業界では、商習慣から資金移動のサイクルが長く、サプライヤになるほど売掛金の回収が遅延する、EDI(Electronic Data Interchange)は普及しているが支払い確認・入金確認は人手が介在する、などの課題がある。実証実験では、企業間取引で活用されているEDIデータ[流通BMS(Business Message Standards)]をほぼリアルタイムでブロックチェーンに格納して、受領データ受信後に即時にデジタル通貨での自動決済を実行させた。
実験を通じて、デジタル通貨による取引情報と決済情報が連動した決済処理にて、資金移動の短縮化と工数削減が確認できた。ブロックチェーンの特性である真正性、透明性、自動処理が企業間連携に価値を与え、Web3.0時代に向けて新たな商取引の可能性が出てきた。
サステナブルファイナンスプラットフォームは、投資対象のグリーン設備からデータを取得し、ブロックチェーンを活用して改ざんできない形で多様なインパクトを計算するものである。株式会社日本取引所グループが2022年6月に発行した国内初のグリーン・デジタル・トラック・ボンドに採用され、インパクトレポート作成業務の効率化を図るとともに、投資家がいつでも透明性高くインパクトを参照できる仕組みを実証中である。
多事業・多業種協調のデジタルチケッティングを実現する基盤として、権利流通基盤を開発した。本基盤では、複数事業者の既存システムを活用するために、各事業者管理のブロックチェーンノードを設置し、事業者間での利用者ID連携・統合化を実現する。この統合IDは事業者横断で参照可能なものになるため、複数事業者連携・協調で作成したチケットの管理・利用が可能となる。また、統合IDは媒体とのひも付けを自由に変えられるため多種媒体も利用可能となる。さらに、柔軟なサービス拡張が可能な仕組みとして、リアルタイムな状況に応じてチケットの内容を変更可能なダイナミックチケットを実現するためのエンジンを備える。
日立アメリカ社のR&D部門では、より良い未来をめざし、世界各地の優れた知性を集結させて研究と革新に取り組んでいる。金融イノベーションラボは、OSSブロックチェーンの開発・標準化に取り組む「Hyperledger」プロジェクトに貢献して、金融ビジネスに新たなセールスチャンスをもたらしている。本稿では、このプロジェクトの活動に焦点を当て、金融機関における統制管理に関連した顧客のユースケースを紹介する。
サプライチェーンという産業的性質上、高い相互運用性による地理的、あるいは産業的な網羅性の高いソリューションを期待する声がある一方、現状の多くのパイロットやソリューションがその後、互いに接続できるものであるかどうかの不安もあるようである。業界を越えた多くの事業者や公共部門が、中央の管理母体、あるいは仲介者を持つことなく、手軽につながる仕掛けを提供することがブロックチェーンの特徴的なメリットである。
また、もう一つの重要な視点として、ブロックチェーンがもたらす新しいID管理のパラダイムである中央管理組織を持たないID管理手法、すなわち自己主権型ID管理(Self-sovereign Identity)のサプライチェーンや物流・流通での活用機会と注意点もある。これらについて技術ガバナンスの設計という形で解決策を模索し、その暁にはインクルーシブで持続性の高いソリューションとそれが支えるエコシステムをめざすものである。
近年、インターネットに匹敵するイノベーションとして注目されるのが、暗号資産(仮想通貨)の土台を支えるブロックチェーン技術である。この社会の仕組みを劇的に変える可能性を秘める技術が、人々の生活にどのような変革をもたらすのか。金融分野のキーパーソンが未来を展望する。
金融取引の新たな基盤技術として、ブロックチェーンが注目されている。ブロックチェーンは、仲介コストの削減や取引の厳正化・透明化といったメリットがあり、金融取引の基盤として活用することにより、既存の金融サービスにおけるビジネスモデルを変革させるだけでなく、新たな金融サービス・ビジネスを創出できる可能性がある。
本稿では、ブロックチェーンの技術的な特徴を整理したうえで、金融分野への適用可能性、およびIoTや他業種との連携による新サービス・ビジネス創出の方向性と実現上の課題について述べる。今後、これらの課題解決を進め、顧客との協創による新サービス・ビジネスの早期実現をめざす。
互いに信頼のない不特定多数の利用者間での直接的な取引をセキュアに実現することにより、取引コストの削減をねらう革新技術として、ブロックチェーンが注目を浴びている。日立は、これまでミッションクリティカルシステムの構築で培ってきたセキュリティ技術や分散データ処理技術を活用し、ブロックチェーンの研究開発を推進している。本稿は、ブロックチェーンのユーザー企業とのディスカッションで特に注目が高かった課題を述べ、課題に対する日立の取り組みを概観する。Hyperledgerプロジェクトでのコミュニティ活動を通じて、ブロックチェーンの標準化基盤を開発するとともに、高信頼化機能を開発し、社会インフラに適用可能なブロックチェーンの実現をめざす。
われわれは、異業種間でのデータや資産の交換・追跡方法が激変するのを目の当たりにしようとしている。業種間共通の分散元帳の標準化は、ビジネスプロセスを合理化するだけでなく、信頼性、取引の説明責任性、そして透明性を高めることが可能であり、われわれのビジネスの仕方を根底から改革する機会となる。分散元帳によって、価値のあるものはほぼ何であれ追跡し、取引することができ、より容易に、かつ永続的で安全に、集中管理を必要としない費用対効果の高いビジネスネットワークを構築できる。
ITと金融サービスを結びつけて新たなサービスを創出するFinTech。単に金融サービスの質を向上させるだけでなく、IoTやAIと結びつくことで、社会の仕組みを劇的に変える可能性があるとして、大きな注目を集めています。
日立グループは、長年にわたり銀行の基幹システムや金融サービスの開発を手がけてきた実績を踏まえ、社会イノベーション事業の中心領域の一つとして金融分野に注力してきました。近年では、ブロックチェーン(分散型台帳)技術の国際共同開発プロジェクトへの参画や、米国シリコンバレーにおけるFinTech関連の研究開発組織の設立など、先進的な取り組みも始めています。
果たして、日立のFinTechによる金融イノベーションがどのような未来を描くのか。日立の二人のエキスパートがその取り組みと展望について語ります。
Hyperledger Fabricのコアメンテナに就任した日立製作所 研究開発グループの佐藤竜也が、Hyperledger Foundationからのインタビューに回答しました。
ブロックチェーンを通じて、経営課題や社会課題の解決に挑む石榑(いしぐれ)太一。入社後、金融機関向けシステムの設計・開発経験を経て、「ブロックチェーンのスペシャリスト」に至るまでのストーリーをご紹介します。
Hyperledger Fabricを採用している「日立電子署名サービス」を日立社内の調達部門で運用し、紙への押印を電子署名に置き換えた事例について紹介されています。(英文)
「ブロックチェーン関連事業者の実態と取組み」と、「デジタルアセット以外での実態と取組み」の資産管理における活用状況の事例として、積水ハウス株式会社 様と日立製作所での実証実験が掲載されています。
日立製作所がブロックチェーン(分散型台帳)技術によるセキュアな電子契約を実現する「日立電子署名サービス」を開発したことを2021年3月3日に発表した。目的はハンコレスの推進だ。
日立製作所は、スキャンした生体情報から直接秘密鍵を生成して認証を行い、その後、生体情報と秘密鍵は取引を行う度に消えてなくなる技術を開発し、特許を取った。そして、この「消える秘密鍵」と、日立が得意とするブロックチェーンの応用技術を組み合わせれば、世界を大きく変えられるのではないか。この研究を続けているのは、日立でセキュリティを専門にする主任研究員の長沼健。