生体情報を用いた電子署名技術を融合させることにより、金融取引などの厳密な本人認証が必要とされる分野へのブロックチェーン技術適用が可能となり、セキュリティが強化されます。
ブロックチェーン上での取引の信頼性は、ユーザーが取引情報に対して公開鍵暗号技術に基づく電子署名を付与し、その正当性を誰もが検証可能にすることで担保されます。
一方で、ユーザーが電子署名を生成するための秘密鍵を紛失・漏えいした場合は、ブロックチェーン上の資産喪失や、なりすましによる不正取引被害のリスクがあります。そのため、現状の認証技術では、秘密鍵はユーザー端末(ICカードなど)や秘密鍵管理サーバーに格納した上で、IDやパスワード、生体認証などでのみアクセス可能にするなど、秘密鍵の安全な管理と、なりすまし防止のための確実な本人確認が課題でした。
日立では、生体情報から電子署名を生成することで、PBIをブロックチェーン上で利用できる日立独自の技術を開発しました。従来の生体認証技術と異なり、生体情報自体を秘密鍵として利用できるため、秘密鍵を外部管理する必要がなく、セキュアな取引が可能となります。
また、電子署名を自動生成する技術によって、自動取引を実現し、取引のたびに認証を行う煩わしさを解消します。これにより、今後、ブロックチェーン上での実現が期待される株や電力などのアルゴリズムトレードや、IoTデバイスによる自動取引で必要な本人認証を手間なく行うことができます。