変化のはじまり「公共」持続のための代替手段の模索
人口減少で自治体が弱まり、ライフラインや施設の維持が難しくなってきた。特に過疎地では、これまで住民が自律的に運営に関わる必要がなかった公共施設の存続が問題になるなかで、民間の商業施設がその代替として活用され始めている。また、一部地域ではNFT販売による外部からの資金調達やDAOの導入など、新たな地域の運営方法が模索されている。
脱公平の公共開発
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現在の価値観「公共」の提供は公平性が大前提とされる
将来の価値観「公共」の提供は経済効果が優先される
公共交通や施設の縮小・閉鎖が進む自治体では、営利団体である民間企業がこれらを買収し、効率的に「儲かるしくみ」を導入する。そして、ターゲットユーザーの特定や開発エリアの絞り込みなど、利益重視の運営戦略を取りつつ、地域活動を支えるための投資・開発も共存させる。
例えば公共交通は商業施設を中心に再編成されるなど、人々は日々の生活の中で、より消費を促されるようになる。また、地元住民よりも観光客を優先したサービス開発が進み、公園などの日常的だった公共空間は、特別なイベントのための非日常的なスペースへと変わっていく。地域への収入が増加する一方で、同じ自治体内でエリアによって格差や分断が生じる契機ともなり、公平性の担保について議論が生じる。
クラウドファンディングやNFT発行による資金調達が広がり、地域外からも自治体運営への参加が増えることで、各地域の運営は多様化する。さらに、デジタル技術の進展が、各企業とその重要顧客をマッチングしやすくして、ターゲットに合わせたサービス拡充が進む。
人口減少地域では外部からの意見が強くなり、公共交通機関のデコレーションや土産物の充実など、地域外からの誘目性を重視してサービスの付加価値が追及されていく。こうした流れを、地元住民は公共サービスを支える資金調達の手段として受け入れ、SNSを使って地域の魅力を積極的に発信するようになる。
商業施設が作る地域の居場所
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現在の価値観自分が直接価値を得るためにお金を支払う
将来の価値観みんなの居場所が良い状態で維持されるためにお金を支払う
公民館など、公共施設の閉鎖や公園の荒廃により、これまで無料で使えていた人々の居場所が減少していく。これに対応して、商業施設やコンビニ、駅が一部を地域活動やイベントの場として提供し、生活者の日常を支えられるように変化していく。
公共の場が民間施設に移行するにつれて、利用者は人の賑わいや安全性など、施設に対して「当たり前に過ごせる」居心地よさを重要な価値として感じるようになる。運営側は、施設を維持するための経済的な負担を、利用料金値上げによって補おうとするが、「公共性が失われる」という観点から利用者との間で衝突が生まれる。
民間企業が運営する公共施設に、グリーターという職業が生まれる。彼らは企業と消費者の橋渡しをする役割を担い、施設利用者に適度な消費行動を促したり、企業に対して改善提案を行ったりと、サービスと利用者を柔軟につなぐギグワークとして普及する。
グリーターの活躍により、人々は企業と自分たちが共同で施設を支えていることを、強く意識できるようになる。施設の利用料金がその場所を健全に保つために必要なコストであるという理解が深まり、定期的な対話を通じて生活者と企業が協力していく。また、そのような共同経営体を個人として応援したいという、寄付の意志を込めた支払いの仕組みも整備されていく。