プロジェクトは2016年7月にスタートし、要件定義、設計・開発、テストを経て2018年5月の連休に本稼働を実現。プロジェクト開始前には事業会社を含め、経理部門や物流部門のユーザーにSAP S/4HANAの機能説明会を実施。全社一丸でのプロジェクトであることを広く通知し、導入後のイメージギャップの解消を図りました。
要件定義のフェーズでは、アドオンの大幅な絞り込みを行いました。特に、複雑なアドオンで実現されていた不定貫の機能については、SAP S/4HANAの標準機能で実装することにこだわったといいます。
「プロジェクト開始当初は、SAP S/4HANAに不定貫の機能が標準で実装されるか未定でした。そこでSAP社に直接交渉し、2017年2月のバージョンで実装されることが決まりました。つまり、SAP S/4HANAによる不定貫の機能はニチレイが世界で初めて導入したことになります」(栗田氏)
またDRについては、東日本と西日本にクラウド環境を構築。メインサイトを西日本、DRサイトを本社がある東日本に置く「たすき掛け構成」とすることで、システムと業務を行う人を分散させています。
今回のプロジェクトで日立F&LはSAP S/4HANA導入をリードし、日立製作所はプロジェクトのPMOとして主にSAP S/4HANAの導入における品質マネジメントとインフラ構築を担当しました。
「約15年ぶりとなる基幹システムの新規導入において、日立製作所の的確なプロジェクト運営力は非常に頼りになりました。ニチレイグループの業務プロセスとシステムへの理解が深まり、日立F&Lの若手メンバーにもSAP S/4HANAのノウハウが蓄積され、世代交代も実現できました」(栗田氏)