お悩み1 オンプレミス環境をクラウドに移行する際の困難さ
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パブリッククラウド市場が国内で急速に拡大しています。IDC Japan株式会社によると、2022年の国内クラウド市場は売上額ベースで5兆8142億円であり、2027年には約2.3倍の13兆2571億円になると予測されています。また、同社は2023年の国内クラウド市場規模が7兆円を超え、国内エンタープライズIT市場における従来型ITを超える規模まで拡大するとの予測も明らかにしました。
このデータを見てわかるように、クラウド市場は今後も急速に成長すると見込まれています。この背景には業務の変化に応じて、容量や機能を柔軟に変更できるからと考えられます。一方で、オンプレミスでは、クラウドと比較してより高度なセキュリティや特定のコンプライアンスなどの要件に対応できるという強みがあります。このように、オンプレミスとクラウド、それぞれのメリットを享受する方法はないのでしょうか。
そこで、注目されているのがハイブリッドクラウドです。
ハイブリッドクラウドとは、オンプレミス/プライベートクラウド、パブリッククラウドなど、異なるITインフラを組み合わせて構築・運用している環境を指します。それぞれには強みと弱みがありますが、ハイブリッドクラウドではそれらを組み合わせることで弱みを補完しながらも、強みを最大化し、最適なITインフラ環境を実現することができます。
例えば、セキュリティに強いオンプレミスのインフラを通じて機密データを管理しながら、拡張性やコストの面で優れるパブリッククラウドのメリットも活用できるのがハイブリッドクラウドの大きな利点です。このように、用途に応じて最適なクラウドソリューションを選択し、ビジネスニーズに柔軟かつ効果的に対応することが可能となります。
これだけ聞くとハイブリッドクラウドが完璧な仕組みのように思えますが、ハイブリッドクラウドの導入に際しては、「移行の煩雑さ」「クラウド利活用の加速」「堅ろう性の維持」など、企業が直面する3つの代表的な課題があります。こうした課題に対応できるハイブリッドクラウドを選択することが、最適なITインフラ環境を実現することの前提になるといえるでしょう。
EverFlex from Hitachiとは、日立が提供するas a Service型のITプラットフォームです。これまで日立がミッションクリティカルな基幹システムの構築や運用で培ってきた知見やノウハウを10種類のポートフォリオに分類し、お客さまの課題に応じて、各種サービスを選択・利用できます。ハイブリッドクラウド向けストレージサービス「VSP on cloud(Hitachi Virtual Storage Platform on cloud)」はハイブリッドクラウドの導入時に直面しがちな「移行の煩雑さ」「クラウド利活用の加速」「堅ろう性の維持」という課題への対応に強みを持ち、パブリッククラウド連携を実現します。
今回から3回に分けてコラムを連載いたします。今回のコラムでは、ハイブリッドクラウド導入について、お客さまから頻繁に寄せられる3つのお悩みから、「オンプレミス環境をクラウドに移行する際の困難さ」についてお答えしていきます。
お悩み1: オンプレミス環境をクラウドに移行する際の困難さ
お悩み1 オンプレミス環境をクラウドに移行する際の困難さ
大手製造メーカーに勤める田中さんは、IT部門の責任者として、オンプレミスの基幹システムをクラウドに移行したいと考えていました。しかし、クラウドへの移行には再設計や運用変更の負担やリスクが大きいという課題がありました。また、オンプレミスとクラウドの間のデータの連携や同期についても解決する必要があります。オンプレミス環境をクラウドに移行する際の困難さに関して、以下のような問題点が挙げられます。
問題1: インフラ高可用化やアプリケーションの設計・運用変更負担大
オンプレミス環境をクラウドに移行するには、一般的にインフラやアプリケーションの再設計や運用変更が必要です。オンプレミスとクラウドでは、インフラの仕様や機能が異なるためです。例えば、オンプレミスでは、高可用性やパフォーマンスを確保するために、HA(High Availability)やマルチパス構成を利用している場合がありますが、クラウドでは、これらの構成を維持できない場合があります。
VSP on cloudは、共有ディスクの整合性保証(SCSIリザーブ(排他制御))*により、オンプレミスのHA・マルチパス構成を維持しやすく、インフラやアプリケーションの再設計や運用変更を極小化できるため、移行を検討する上で必要なコストや、移行失敗によるビジネスへの影響といったリスクを軽減できます。このように、VSP on cloudを利用すれば、オンプレミスのインフラやアプリケーションを大幅に変更する必要なくクラウドに移行でき、高可用性やパフォーマンスを維持しながら、クラウドのメリットを享受できます。
- オンプレミス側が日立のストレージの場合の機能です。
問題2: クラウドの仕様に合わせた結果ロックインされて再移行しづらい
クラウド特有の機能やサービスを利用すると、インフラやアプリケーションがクラウドに依存してしまい、オンプレミスや他クラウドへの移行が困難になる可能性があります。また、特定のクラウド仕様に合わせると、再移行の際にインフラやアプリケーションの設計や運用も再度変更する必要があります。仕様に合わせるために必要な作業やツール利用におけるコスト増大や、システム変更による機能不足や品質低下、データ移行によるデータの損失や漏えいのリスクなどが伴います。
VSP on cloudは、信頼性の高い日立のストレージをクラウド上でも利用することができ、オンプレミスのHA・マルチパス構成をクラウドでも維持して移行できるので、特定のクラウドサービスにより自社の環境が縛られる「クラウドロックイン」のリスクを極小化できます。また、お客さまのデータやアプリケーションの要件にあわせてオンプレミスやクラウドを適切に選択できるようになり、ビジネスの急激な変化に柔軟に対応できるようになります。このように、VSP on cloudを利用することで、オンプレミス環境をクラウドに移行する際の困難さを解決し、クラウドのメリットを最大限に享受できるようになります。
田中さんは、VSP on cloudを利用して、オンプレミスの基幹システムをクラウドに移行しました。移行の際には、インフラやアプリケーションの大幅な変更をせずに高可用性やパフォーマンスを維持できました。また、オンプレミス環境をクラウドに移行する際の困難さを解決し、クラウドのメリットを最大限に享受できるようになりました。
オンプレミスとクラウドの適材適所のITインフラ整備は、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進に欠かせない取り組みです。すべてのシステム/データをクラウドへ移行することができない場合、コスト削減やリソースの最適活用などのメリットがあるハイブリッドクラウドを実現することがおすすめです。
次回のコラムでは、「お悩み2:クラウド上での開発や分析にオンプレミスのデータをうまく活用できない」について、EverFlex from Hitachiがどのように解決できるかをご紹介します。お楽しみに!また、EverFlex from Hitachiに関するご質問やご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。