いま物理サーバー1台を複数の論理サーバーに分割し、複数の業務を1台の物理サーバーに集約させるサーバー仮想化が注目を集めています。しかし、従来のソフトウェアによるサーバー仮想化では、大きなオーバーヘッドによる性能低下が小さくなく、さらに、物理サーバーとサーバー仮想化技術が異なるコンポーネントで提供されているため、障害の原因切り分けが複雑。このため、サーバー仮想化を基幹システムに適用する際には、お客さまはまだまだ不安を感じるものです。そこで、日立はこれらの課題を解決すべく、ハードウェアによる日立サーバ仮想化機構「Virtage」を開発しました。今回の運用講座では、「Virtage」が組み込まれたBladeSymphonyの運用例をご紹介します。
従来、基幹DBサーバーの信頼性を確保するためには、待機サーバーに物理サーバーを割り当てるクラスタ構成が必要でした。「Virtage」なら、物理サーバーを4台用意する必要はありません。物理サーバーを2台用意し、それぞれ2つの論理サーバーに分割。物理サーバー1に、業務Aの現用サービスと業務Bの待機サービスを割り当て、物理サーバー2に、業務Aの待機サービスと業務Bの現用サービスを割り当てることにより、一定の性能と可用性を確保したまま物理サーバー台数を半分に削減。高信頼な基幹システムを低コストで実現できます。
DBサーバの相互待機
「Virtage」によるサーバー仮想化は、ハードウェアによって実現した仮想化機構のため、物理環境と同等に扱えます。従って、オーバーヘッドが少なく*、周辺装置も物理装置として接続されているので、「仮想化環境上でテストしたOSなどの構成が、仮想化環境以外の本番環境に適用できない」「バックアップサーバーからLANフリーバックアップがとれない」など、仮想化環境にありがちな運用の課題を解決しています。
実ファイルシステム方式
「Virtage」では、ハードウェアレベルで各パーティション間を隔離しているため、ハードウェアの部分障害をパーティション内に閉じ込めて障害の伝播を抑止できます。さらに、仮想化のためのソフトウェア階層がないシンプルな構造だから、障害の切り分けが容易。また、BladeSymphonyや「Virtage」などのハードウェアはもちろん、OSやミドルウェアも日立が一括提供しているため、組み合わせで発生する複雑な障害にも迅速に対応できます。
シンプルな階層構造
仮想マシン(論理サーバー)にもN+1コールドスタンバイが適用可能物理マシン/ 仮想マシンが混在する環境でも、管理ソフトウェア「BladeSymphony Manage Suite」で物理サーバー/論理サーバーの統合管理が可能。仮想化環境を意識せずに運用管理でき、TCOを大幅に低減します。
万一、複数の仮想マシン(論理サーバー)を構成していたサーバモジュールで障害が発生したとしても、予備のサーバモジュールに切り替える「N+1コールドスタンバイ」を適用可能。予備のサーバモジュールを1台用意しておけば、物理マシン/仮想マシンの双方の予備機として利用でき、最小限の投資で高い可用性を実現できます。
N+1コールドスタンバイの適用