研究期間:2016年度〜2018年度
近藤 純正(Kondou Junsei)
学位 | 理学博士、東北大学名誉教授 |
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名誉会員 | 日本気象学会名誉会員 水文・水資源学会名誉会員 |
地球温暖化と地域の環境変化が湧水温度と、気温の温度差に反映されると言われています。地表面温度の年間の平均値は、その地域の環境によって決まります。この関係を知る目的で、神奈川県秦野市千村において気温と湧水温度の観測を行っています。
T.神奈川県秦野市千村の湧水の水温季節変化
U.里地里山の気温分布
地中の深くから湧き出してくる湧水の温度は、地表面温度の年平均値にほぼ等しく季節変化が小さいと言われています。よって、湧水の温度を観測しました。
測定器は、0.01℃の高精度の水温計を用いました。自動記録の場合は、データロガーの表示単位が0.1℃のものを用いています。 期間は、2016年7月〜2017年6月の1年間です。
千村の日立ITエコ実験村の湧水水源の水温変化
千村の日立ITエコ実験村の湧水水源の水温季節変化
千村の湧水温度は±0.2℃ほどの変動幅があるものの、 ほとんど一定温度(≒15.0℃)でした。
千村の谷戸の湧水側風景
神奈川県秦野市千村の谷戸は日照が少なく湿地の複雑な地形で多様な環境が存在しています。この谷戸の気温の特徴を調査しました。
谷戸の周辺部に高精度気温計を設置して、8月から9月の夏の2ヶ月間、気温を測定しました。
谷戸は、平坦地や丘に比べると、周囲の森林からの冷気と放射冷却の影響により、 平均気温は約0.8℃低温でした。 また、晴天の日中では、この傾向が顕著に現れて、正午前後には1℃ないしそれ以上の低温になっています。 林内の谷間・窪地の湿地では、土壌水分が多いため林床下の熱慣性が大きく、 日中の気温上昇は抑制され、さらに側斜面の森林からの冷気が溜まりやすく、 近くの平坦地や丘に比べて晴天日中は3.5℃前後も低温でした。
冷気と放射冷却の影響は、季節によって異なると考えられます。また、水温と気温の関係は、冬と夏では逆の結果になると考えられることから、谷戸の周辺部の気温と水温を一年間測定して確認します。
通風式高精度温度計(近藤式)測定
非通風式温度計測定
本ページの記載内容は近藤純正氏のホームページを引用しています。