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Hitachi

徹底解説! そのデータの悩みに効く処方箋

データの急増とともにデータ保護が必要なデータ量も増え続けている…
この悩みを解決する「最新バックアップ機能」の使いこなし術

A 遠隔バックアップ機能の特徴 ― global-active device(GAD)、Universal Replicator

遠隔バックアップは、ディザスタリカバリを目的として、遠隔地にあるストレージシステムにデータのバックアップを作成することですよね。

その通りです。遠隔バックアップ機能は、それぞれ以下の特長があります。

松田
はじめにGADの特長と代表的なメリットを列挙しておきましょう

GADの代表的なメリット

松田
まず、GADの構成からご説明します。下の図をご覧ください。正サイトと副サイトのホストサーバが、他方のサイトにあるストレージシステムへ、クロスするように接続されています。そして、ストレージ間では同期コピーを実施しています。

戸塚
クロスしているパスの中央に、仮想ストレージが表現されていますが、どのような意味があるのでしょうか。
松田
ホストサーバの視点で見ると、どちらか一方のストレージシステムに障害が発生しても業務を継続できるため、「仮想的に1台のストレージシステムにアクセスし続けているように見える」ことを表しています。
戸塚
ストレージシステムの間にあるQuorumディスクとは何でしょうか。
松田
パスやストレージシステムに障害が発生した際、障害を検知したストレージシステムが、障害発生の事実を他方のストレージシステムに伝えるために利用します。正サイトおよび副サイトのストレージシステムは、障害の発生を検知するために、定期的にQuorumディスクにアクセスします。
戸塚
例えば、何らかの障害で、正サイトのストレージシステムから副サイトのストレージシステムへデータのコピーができなくなった場合はどうするのでしょうか。
松田
正サイトのストレージシステムはQuorumディスクに、副サイトへのコピーができないことを書き込みます。一方、副サイトのストレージシステムは、Quorumディスクにアクセスした際にその事実を検知します。副ボリュームが正ボリュームと同期できない状態にあるため、副サイトのストレージシステムは、ホストサーバからのI/Oの受付を停止した上で、そのことをQuorumディスクに書き込みます。正サイトのストレージシステムがQuorumディスクにアクセスした際に、副サイトのストレージシステムがI/Oの受付を停止したことを検知すると、正ボリュームと副ボリュームのコピーペアを解除した上で、ホストサーバからのI/Oの受付を継続します。
戸塚
GADを利用することで、高い信頼性を求められるデータインフラを実現できるのですね。

松田
はい。またGADは同期コピーですので、正サイトから副サイトまでの距離は100kmが目安となっていましたが、2024年12月にNTTコミュニケーションズとIOWN APN*3を用いた共同実証を行い、600kmを超える長距離間のリアルタイムデータ同期に成功*4しており、長距離での利用可能性が広がっています。

戸塚
それは素晴らしいですね。もう1つの遠隔バックアップ機能である「Universal Replicator」も詳しく教えていただけますか?

松田
次の図で詳しくご説明しましょう。ホストサーバから正ボリュームに書き込まれる更新データがコピーされ、マスタジャーナルボリュームに格納されます。このデータは、正ボリュームのI/Oとは非同期に、副サイトのリストアジャーナルボリュームにコピーされます。
リストアジャーナルボリュームから副ボリュームにデータを書き込むことで、コピーが完了します。

戸塚
データに番号が振られているようですが?
松田
これは、データの更新順序を表しています。Universal Replicatorではデータの更新順序を維持した状態でコピーできるため、データの一貫性が保証されます。
戸塚
GADと組み合わせることで、両者の特長を補完し合うことができそうです。
*1
Recovery Point Objective:目標復旧時点
情報システムの停止等の事故・事件が発生した場合に、どの程度古いデータに遡らなければならないかを示すリカバリポイントの目安。損失データ量に相当する
*2
Recovery Time Objective:目標復旧時間
業務中断が発生した場合に、業務に重大な影響を及ぼさないうちに業務を復旧・再開させるための目標時間
*3
IOWN All Photonics Network の略。NTT グループが提供する低消費電力・大容量高品質・低遅延を特徴とするネットワーク。「IOWN®」は、日本電信電話株式会社の商標又は登録商標です。
*4
ニュースリリース:2024年12月5日「世界初、日立とNTT Comがストレージ仮想化技術とIOWN APNを用いて、600kmを超える長距離間のリアルタイムデータ同期の共同実証に成功

この記事のまとめ

日立ストレージシステムの最新機能を活用することで、さまざまなデータ保護の悩みを解決できることがわかりました、最後にそれらの解決策を整理しておきましょう。

1.多様化するさまざまなリスクからデータを保護しなければ…。何から始めればいい?
日々のバックアップはThin Image AdvancedとShadowImageを組み合わせることで、物理障害にもサイバー攻撃にも強い効率的なバックアップが実現できます。またリモートバックアップと組み合わせると、広域災害にも対応できる、より万全なディザスタリカバリ対応が可能になります。
2.ランサムウェア攻撃でデータが暗号化・破壊される心配も…。どう対策すればいい?
万一のランサムウェア攻撃に、定期的なバックアップで備える。管理者権限でも書き換え不可能なスナップショットを作成可能なThin Image Advancedで、最近のランサムウェア傾向にも対応します。
3.災害が頻発する中、より確実なデータ保護と、迅速な復旧を実現したい…
業務を無停止で継続できるGADで、万一の災害時にも迅速な復旧が可能。遠距離へデータバックアップが可能なUniversal Replicatorと組み合わせることで、広域災害への対策とするとともに、物理障害にもサイバーセキュリティにも強いシステムを構築できます。