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Hitachi

徹底解説! そのデータの悩みに効く処方箋

データの急増とともにデータ保護が必要なデータ量も増え続けている…
この悩みを解決する「最新バックアップ機能」の使いこなし術

@ ローカルバックアップ機能の特徴 ―Thin Image Advanced、ShadowImage ―

ローカルバックアップは、主に利用しているアプリケーション不良や、人的ミスによる誤書き込みなどによりデータに障害が発生した場合に、迅速に復旧させるために作成が必要と聞いています。具体的にどのような仕組みなのでしょうか?

ローカルバックアップ機能の1つ、Thin Image Advanced からご説明します。

松田
次の図で具体的にご説明しましょう。ホストサーバからの更新データ1が正ボリュームに書き込まれる前に、データの圧縮と重複排除を行います。圧縮と重複排除された更新データと正/副VOL全体のメタデータが、スナップショットデータとして仮想的なデータプールに格納されます。その後、更新データ2や更新データ3が来た場合も、更新箇所のデータのみがプールに格納されていきます。副ボリュームは、1つの正ボリュームに対して最大1,024個作成することが可能です。

戸塚
更新個所だけのデータバックアップに加えて、データの圧縮・重複排除を行っているから、正ボリュームを丸ごとバックアップすることに比べて、バックアップ容量を低減できているのですね。
データが急増している中で、バックアップ業務のTCO(Total Cost of Ownership)低減が可能なところは嬉しいポイントです。
戸塚
スナップショットデータを、個別のボリュームではなくプールに格納するメリットは何でしょうか。
松田
正ボリュームごとにスナップショットデータの格納領域を用意すると、更新量が少ない場合は用意した領域が無駄になる場合があります。プールを利用すればデータの更新量の差を平準化でき、リソースの無駄をなくすことができます。
戸塚
副ボリュームのデータは、ホストサーバからはどのように見えるのでしょうか。
松田
正ボリュームのデータとスナップショットデータが組み合わさったボリュームとして見えます。
例えば副1のボリュームは、更新データ1が反映された正ボリュームと、プールのスナップショットデータが組み合わさったボリュームとして見えます。つまり、更新データ1が反映される前の正ボリュームが見えるというわけです。
戸塚
最近は、悪意のあるユーザーや悪質なソフトウェアによる不正アクセスやデータの削除・改ざんリスクも良く聞きます。定期的なバックアップ取得で万一被害を受けた際の復旧対策をしていますが、他にできることはありますか?
松田
Thin Image Advancedでは、最近増えているランサムウェアの対策を強化しています。変更・削除・暗号化ができないイミュータブルな(不変な)スナップショットデータをストレージ内で保管することで、有事の際は速やかにデータ復元することができるようになりました。
またこの機能を使えば、人的ミスによるデータ削除も防ぐことができます。

松田
これらスナップショットの作成は、Redirect on Write方式で作成されており、I/O性能も従来の方式と比べて約5倍*2に向上しています。
戸塚
データ圧縮やランサムウェア対策など、機能のアップグレードとともに、性能も向上しているのですね。頻繁にデータ更新するシステムでは特に重宝されそうです。
松田
次に、もう1つのローカルバックアップ機能であるShadowImageもご紹介します。日立ストレージでは歴史が長い機能で、多くのシステムでバックアップ運用を支援し続けています。

戸塚
データのバックアップには世代管理が必要不可欠ですが、ShadowImageで実現できるのでしょうか?
松田
もちろんです。次の図に示す構成で最大9世代分のバックアップを作成できます。
例えば1日1回バックアップを取るとして、1日目のデータを副1へ、2日目のデータを副2へというふうに、正ボリュームから副1〜副3ボリュームへ3日分のバックアップを取得できます。
正ボリュームと副ボリュームのペアを「コピーペア」と呼ぶのですが、正ボリュームと副1〜副3のコピーペアは第1階層のコピーペア(L1ペア)となります。

松田
次に、4日目のデータを副1に書き込む場合のことを考えてみましょう。副1に格納されている1日目のデータは、副1を正ボリュームとしたShadowImageで副4にバックアップすることで、保持することができます。このようにして、最大9世代分のバックアップが可能になるのです。
なお、L1ペアの副ボリュームを正ボリュームとしたコピーペアを、第2階層のコピーペア(L2ペア)と呼びます。
戸塚
複数のボリュームで構成されているデータをバックアップする際には、整合性は確保できるのでしょうか。
松田
複数のコピーペアを「コンシステンシーグループ」に登録しておけば、同じタイミングで分割できるのでデータの整合性を保つことができます。障害が発生してバックアップデータをリストアする際も、グループで管理していれば、どれか1つのボリュームをリストアし忘れる、などということがなくなります。
戸塚
ShadowImageはThin Image Advancedと組み合わせて使用することも可能なのでしょうか。
松田
はい。物理障害に強いShadowImageをThin Image Advancedと組み合わせることで、物理障害とサイバー攻撃の両方からデータを保護することができます。また、例えば1週間に1回ShadowImageでフルバックアップを取得し、それ以外の日はThin Image Advancedでスナップショットを取得することも可能です。このようにShadowImageとThin Image Advancedを組み合わせて使えば、確実で効率の良いバックアップを実現できます。
松田
続いて、遠隔バックアップ機能についてご説明します
*1
条件により値は変わるため、示した値は保証されるものではありません。
*2
旧機能(Thin Image)との比較。正・副ボリューム両方を利用する環境でのスループット性能 (8kB read/write and 256kB seq write, 10分, E1090)。