従来の課題や制約を解消し、新時代の“エンタープライズAI”を加速させる「Justware AIアプリケーションフレームワーク」
長年蓄積してきた高度な知見と、時代をけん引する先進のノウハウを組み合わせて、ビジネスや社会におけるAI活用をさらに活性化。実績豊富なエンタープライズ領域でも、日々進化するAI活用でも、ともに強みを発揮する日立が、“エンタープライズAI”のより柔軟な導入メソッドを提案します。
ビッグデータ解析や自然言語処理、画像認識に基づく自動化や予測など、今やビジネスでもAIを活用する動きが活発化しています。一方で、まだAI活用がほとんど進んでいないのが、企業の基幹システムや社会インフラシステムといったミッションクリティカルなエンタープライズ領域です。
その背景にあるのは、エンタープライズ領域ゆえに求められる“厳格性”にほかなりません。一般的な情報系システムなどに比べ、企業や社会により大きな影響を及ぼすエンタープライズシステムにAIアプリケーションを実装する場合、よりハイレベルな信頼性や安定性が要求されるため、開発時間や工数、コストなどが大きくなってしまうのです。
こうした障壁を打破するため、日立は長年培ってきたエンタープライズシステム開発の高度な知見を投入したアプリケーションフレームワーク「Justware」をベースに、近年注力しているAIの先進的な開発・運用ノウハウを投入した「Justware AIアプリケーションフレームワーク」を開発。日立は、AIシステムの受託開発案件に適用するほか、自社でAIシステムの開発を行う企業にも提供し、課題解決や価値創造をめざすお客さまをサポートします(図1)。
図1 「Justware AIアプリケーションフレームワーク」の概要
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エンタープライズシステムへのAI実装を困難にする厳格性は、信頼性や安定性を担保するための「確実性の高い開発に要する時間」、本格導入へ向けた「追加機能などの作り込みの手間」、さらに、稼働後のシステムの品質を恒久的に維持していくための「AI精度の劣化防止」といった課題として顕在化します。本フレームワークは、これらの課題を以下のアプローチで克服するものです(図2)。
図2 「Justware AIアプリケーションフレームワーク」による開発の流れ
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日立が手がけてきた多種多様なAIシステムの開発ノウハウをもとに汎用(はんよう)化した「AIテンプレート」を用意。すぐにPoC*1を試行でき、テンプレートをベースに開発することでPoCから本番までの開発を容易にします。まずは、利用ニーズが高く汎用的な「コールセンター業務量分析」「人財マネジメント:従業員行動予測」「マーケティング:リピーター予測」という3つのテンプレートを提供。入力データの変更やAIエンジンの差し替えなど、カスタマイズが可能なテンプレートは、今後順次拡充していく予定です。
導入実績の豊富なアプリケーションフレームワーク「Justware」で提供するJava共通部品群をベースに、AIシステムの開発言語として一般的なPythonに対応した共通部品群を提供。呼び出し順序制御やトランザクション制御、既存システムとの連携機能など、一般的なPythonのフレームワークでは不十分な機能を提供する共通部品群により、追加機能の作り込みが不要となります。なお、この共通部品群を含め、本フレームワークはPythonの対応環境であれば、どのようなシステム環境でも動作可能です。
AIは入力データのパターン変化や、想定外のものの場合、誤った結果を返す可能性があります。そこで本フレームワークでは入力データやAIの推論結果を常時監視できる「開発・運用支援基盤」を提供。事前の設定ルールに基づいたAI学習・推論状況の監視と異常なデータや結果などの自動検知により、AIの精度劣化を防止します。また、推論時に利用する学習モデルのバージョンを自動管理することで、エラーが発生したモデルを過去の正常なものに戻せるほか、推論運用実施の際に蓄積された正解データ(フィードバック情報)を使用して学習させるといったことも可能です。
日立はLumada*2事業の推進を通じて、すでに数百件を超えるAI活用案件を手がけ、多様な分野のお客さまの課題解決をお手伝いしてきました。そして現在は「AI導入・運用支援サービス」の提供や、データサイエンティストの専任組織「Lumada Data Science Lab.」(以下、LDSL)の設立といった施策を進めながら、AIに関する技術・ノウハウの成熟に努めています。
今後もAI導入のさらなる迅速化や開発効率化に努めるとともに、LDSLの研究成果なども活用して独自機能の強化も図っていく考えです。さまざまな課題を解決し、ビジネスや社会を変革させる大きなポテンシャルを秘めたAI。日立はその利活用を推進する取り組みを続けていきます。
(株)日立製作所 アプリケーションサービス事業部
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