設備保全や製品検査の属人化をAIで解決 自動化・省力化を支援する異音検知ソリューション
ニューノーマル(新常態)の時代では、これまで現場での作業が必要だった設備保全や製品検査でも、自動化・省力化・リモート化の実現が急務の課題となっています。日立は製品の加工音や打音、設備の稼働音などから異常音を検知するソリューションを開発。検査員の経験に基づいて行われていた聴音点検の高度化・効率化が可能となり、設備故障や品質トラブルを未然に防ぐことで、業務の自動化と省力化を支援します。
労働人口の減少が進むなか、製造業では各種センサーやIoTを活用した業務のデジタル化と効率化が進められています。このデジタルトランスフォーメーション(DX)の流れはコロナ禍(か)においてさらに加速し、設備保全や製品検査においても目視や聴音といった人の感覚に頼っていた点検・検査業務の自動化・省力化・リモート化が求められています。
例えば、設備故障や品質トラブルの予兆となる異常音を聞き分けて判定するには、これまで熟練者の経験やノウハウが必要でした。このため後継者不足が進むなか、いかにその技能の継承とデジタル化を実現するかが大きな課題となっています。
そこで日立は、設備保全や製品検査を対象に、音響データから異常音を自動検知するソリューションを開発しました。
設備保全と製品検査の用途に合わせた2つのサービスを提供する本ソリューションでは、マイク機能搭載のレトロフィット無線センサーなどで収集した音響データを、日立の高精度な音響解析AI技術*1で解析。設備故障や製品不良による異常音を検知します。
これにより、検査員のスキルに依存することなく、データ解析に基づいた定量的な判定で品質保証体制を強化しながら、ニューノーマルで求められるリモートでの設備監視などが行えます。
異音検知ソリューションの概要
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お客さまの現場の各種設備に、日立のレトロフィット無線センサー(マイク付き・バッテリー駆動・防水防じん)を設置するだけで、設備から定常的に発生する稼働音を自動的に分析・可視化し、故障の予兆を検知します。レトロフィット無線センサーは、日立の自社工場での実績・ノウハウをもとに実用化したもので、屋外など電源線/通信線がない場所にも簡単に導入できるため、さまざまな環境下の設備に対応。また、高度な省電力設計により、バッテリーによる5年間*2連続稼働を実現するほか、信頼性の高い無線センサーネットワークで、無線干渉の多い現場でも安定してデータを収集できます。
分析にはAI技術を利用し、正常時の音響データを学習させるだけで、音の異常を可視化できます。収集したデータは遠隔地からCSVファイルまたはグラフ表示画面で確認できるため、現場の巡回や、検査員への依存のない効率的なリモート点検と、タイムリーな事前対策が可能です。
製品の加工音や打音、設備の稼働音などを、音の特徴や製造現場の環境に適した市販の汎用(はんよう)マイクで収集し、AIがリアルタイムに解析します。一般的な音分析では、稼働音の変動や、空調設備など周囲の環境音の変化などで、音ブレが大きいという課題があります。日立のAI技術は、そうした音ブレに対応しながら、対象となる検査音の特徴量*3を抽出することで、さまざまな条件下で高精度に異常音を検知することができます。リアルタイムな収音と判定により、製品検査工程における迅速な検査結果の確認や不良音の検知が可能となります。
日立では2020年4月から6月にかけて、社内発電所において、設備点検自動化サービスの検証を行いました。発電所にある軸冷水ポンプのモーターに対し、軸受けの摩耗の進行を抑えるために、定期的にグリスを注入しています。モーターの回転音を聴診棒で聞き、変化を異常としてとらえたタイミングで注入していました。しかし、「メーカーや使い方などで、タイミングが異なる」「経験の浅い担当者は判断ができない」などの課題がありました。そこで、本サービスを活用し、音の異常度を可視化する検証を行ったところ、熟練者による音の変化の感知とAIによる異常度の上がり方がほぼ一致。稼働音からグリスの注入時期を把握できるため、作業者の経験によらずグリス注入の適切なタイミングの判断が可能になりました。
日立は、本ソリューションの継続的な強化を図るとともに、AIモデルの自動更新や、自律走行で巡視点検を行う自走式センサーの開発をめざしていきます。また、音響以外のデータも利活用し、今後もお客さまのオペレーションコストや製造プロセスの継続的な改善を支援していきます。
(株)日立製作所 制御プラットフォーム統括本部
設備保全向け 設備点検自動化サービス
(株)日立製作所 IoT・クラウドサービス事業部
製品検査向け IoTデータモデリングサービス
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