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注目ユースケース

Lumadaのユースケースコード:UC-01981S

在宅医療・介護の現場に適した情報連携ツールで、円滑なサービス提供を支援!(2/2)

〜在宅ケアに関わるステークホルダー間のスムーズな連携で、業務の効率とケアの質を向上〜

2023年7月11日

ICTで地域包括ケアシステムの構築を支援

地域のつながりを生かし、要介護者等の暮らしを支える

高齢化の状況には、地域差があります。重度な要介護状態となっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられるよう、その地域の実情に応じた地域包括ケアシステムが求められます。

クラウドで、地域包括ケアシステムの構築を支援

日立は、要介護者等とその家族、多職種にまたがるステークホルダーの情報共有をクラウドで実現し、スムーズな連携で医療・介護業務の効率化と質の高いケアの提供を両立。また、通信暗号化や多要素認証によるセキュリティ強化でなりすましや不正アクセスのリスクを低減し、安全性が高い地域包括ケアシステムの構築を支援します。

自治体向けには、自治体が保有するデータをクラウド経由で安全に共有する仕組みを提供。ステークホルダー間の情報連携を促進し、在宅ケアサービスの効率化を実現します。また、自治体のデータにはその地域ならではの情報が含まれるため、地域の実情に合う地域包括ケアシステムを構築できます。自治体向けクラウドソリューションの詳細は「地域包括ケアシステムICTソリューション」をご覧ください。

民間のお客さまとは、以降でご紹介する「阪急阪神みなとわ」のように、要介護者等とその家族、ステークホルダーからのご意見・ご要望を聞きながら、地域に密着したサービスの協創を進めてきました。

つながる安心「阪急阪神みなとわ」

阪急阪神ホールディングス株式会社(以降、阪急阪神HD)は、「健康寿命が延び、生きがいのある老後が送れる沿線づくり」に取り組んでいます。日立と協創し、普及を進めている地域包括ケア支援サービス「阪急阪神みなとわ」(以降、「みなとわ」)は、要介護者等の同意にもとづいて個人情報を安全に取り扱いながら、最適な介護サービスの提供を支援します。

「みなとわ」の名称の由来
「みなとわ」は「皆と輪(みな と わ)」を意味し、要介護者等をサポートするステークホルダーがひとつの輪のネットワークとしてつながり、要介護者等を支えるイメージを表現しています。また、人と人が協力し合うことを表す「和」や、システムの永続性を示す「永遠(とわ)」という意味も込められています。
「みなとわ」でできること
  • 書類の共有
    書類をクラウドで共有することで、FAX送信にかかる時間、用紙やインクの使用量を削減。いつでもどこでも、安全に書類を参照できます。
  • 記録の作成、共有
    日々のバイタルデータなどの記録を、写真や動画も活用して作成、共有できるため、業務負荷を軽減。情報共有の促進につながります。
  • 会議の日程調整
    会議の出席者全員に開催案内や候補日時を一斉送信できるため、日程調整にかかる時間を短縮。個別でのやりとりが不要になります。
  • 一元的なID管理
    事業所の代表ユーザーが管理者となり、すべてのユーザーのIDはもちろん、機器も含めて一元的に管理。入職や退職に伴うIDの追加・削除、スマホなどの端末紛失時の利用停止などに素早く対応できます。
さらに、カスタマーセンターが「みなとわ」への情報登録や実機を使った操作講習会などを支援。すみやかに利用を開始するためのサポート体制が整っています。
「みなとわ」の導入効果
ケアマネジャーの事務的な業務にかかる時間の削減により、要介護者等をケアする時間を増やしたり、ケアマネジャーの働き方改革にどれくらい寄与できるのか、「みなとわ」を利用しているケアマネジャーへのインタビューをもとに分析した試算を示します。
  • 導入前
    業務の約4割は、要介護者等の家族や各ステークホルダーとのコミュニケーション。電話を何度も掛け直す、各ステークホルダーにFAXを送信するなど、情報の橋渡しや調整に時間と手間がかかっていた。
  • 導入後
    データ共有によってコミュニケーションの効率が向上し、1か月あたり最大22時間もの業務時間の削減が可能。その内訳は次のとおり。
  • 各ステークホルダーとの日々の情報伝達など:約14時間/月削減
  • 訪問前の情報収集などの準備:約6時間/月削減
  • 各ステークホルダを招集する会議の調整:約2時間/月削減

疾病の重症化と再発予防を目的とした実証を開始

阪急阪神HDと日立は、「みなとわ」での取り組みを拡大・深化させることに合意。大阪市都島区医師会の協力のもと、「PHR*2 アプリ」や「地域連携手帳」も活用して心不全や糖尿病、骨粗しょう症の重症化、再発予防を目的とする実証を開始しました。

「みなとわ」に、患者の健康・医療・介護に関する情報を収集、活用できる「PHRアプリ」や、心不全患者の「地域連携手帳」をひもづけ、患者の家族や医療・介護に携わるステークホルダーが患者の状況をタイムリーに把握。患者自身が「PHRアプリ」や「地域連携手帳」にバイタル情報や問診結果のデータを入力することで、自己管理の意識が高まります。また、入力されたデータを「みなとわ」を介して医療機関および介護事業所に迅速かつ安全・確実に共有すると、治療やケアの最適化を検討できるようになります。

実証では、このシステムによる次の2点の実現性を検証します。

  • 患者とその家族のQOLの向上
    患者の自己管理とステークホルダー間の情報共有により、疾病の重症化や再発を予防し、患者とその家族のQOL(Quality Of Life)の向上につながるか
  • 医療・介護の現場の作業負荷軽減
    観察、記録、報告など、日々実施している事務的な作業をデジタル化することで、医療・介護の現場での作業負担を軽減できるか

今後は、これらの実証で得られた結果をもとに、さらに次の実証を進める予定です。

  • 自治体と連携した医療施策
    データにもとづいて政策立案・行政サービス提供を推進するEBPM(Evidence Based Policy Making)の支援に、このシステムを適用する
  • サービスによる効果を定量的に評価
    社会参加や運動、服薬、睡眠の指導など、患者にとって必要なサービスを適切に提供し、その効果を定量的に評価する

将来的には、医療費などの適正化を成果として、民間事業者への行政サービス委託料を決める「成果連動型民間委託契約方式(Pay for Success)サービス事業」への展開をめざすなど、阪急阪神HDと日立は、今後もヘルスケア分野のDXで医療・介護予防事業に貢献しながら、健康寿命が延びる沿線・地域づくりに寄与していきます。

*2
Personal Health Recordの略。個人の健康・医療・介護に関する情報を、生涯にわたって保持する電子カルテのこと。

用語コラム「本人の意向を将来の医療・ケアに取り入れる —ACP—」

ACP(Advance Care Planning)は、将来の病気や介護に備えて、どのような医療・ケアを受けたいかを本人が考え、家族やステークホルダーと話し合いを重ねて共有する取り組みです。医師から病気に関する十分な説明を受けて、患者自身が治療法を選択する、介護サービスに関するさまざまな情報を得て、希望するケアの形態をあらかじめ考えるなど、本人の意向に沿った医療およびケアの具体化をめざしています。

「みなとわ」によるステークホルダー間のコミュニケーション円滑化、「PHRアプリ」や「地域連携手帳」の活用による自己管理意識の向上は、ACPの普及・啓発につながります。本人の意向が尊重された医療やケアが実践されることで、本人はもちろん、その家族の安心感や満足度が向上すると考えられます。

ソリューションの詳細については、こちらをご覧ください。

医療・介護の情報をクラウドで共有 阪急阪神みなとわ
ご家族・介護事業者・医療機関が「わ」になり要介護者等を見守ります。
阪急阪神ホールディングスと日立が、新たなヘルスケアサービスの協創を開始
大阪市都島区医師会の協力のもと、医療・介護職の関係者間で、情報連携アプリを使った心不全や糖尿病、骨粗しょう症の重症化と再発予防を目的とする実証を開始

続きは、ニュースリリースをご覧ください。

まとめ

業務効率の向上と質の高いケアの提供を実現
要介護者等の医療・介護に関するデータを安全に共有できると、多職種にまたがるステークホルダー間の連携がスムーズになります。コミュニケーションのデジタル化によって要介護者等のケアにあてられる時間が増え、要介護者等とその家族が安心、満足できるサービスを提供できます。
地域のつながりを生かし、要介護者等の暮らしを支える
阪急阪神ホールディングス株式会社と日立の協創による「阪急阪神みなとわ」は、クラウドによる安全なデータ管理で、医療・介護業務の負荷軽減と、在宅ケアの質向上を両立。要介護者等の暮らしを支える地域包括ケアシステムの構築を支援します。さらに、疾病の重症化と再発予防を目的とした実証を始めるなど、ヘルスケア分野のDXで医療・介護予防事業に貢献しながら、健康寿命が延びる沿線・地域づくりに寄与していきます。
ご自身のお仕事の中に、活用されていない大量のデータはないでしょうか。
医療・介護の現場のように、日々データが発生している現場はないでしょうか。
データを収集/分析することで、データの潜在力を引き出し、新たな価値を創出できます。

この記事のポイント

  • 要介護者等に関する情報の共有で、多職種にまたがるステークホルダー間のスムーズな連携を実現
  • クラウドで要介護者等の情報を安全に管理し、地域包括ケアシステムの構築を支援
  • データ共有で医療・介護業務の効率化、ケアの質向上、さらに疾病の重症化や再発を予防

つまり・・・

クラウドを活用した情報共有でステークホルダー間のコミュニケーションを円滑にする「阪急阪神みなとわ」は、少子高齢化が進む日本で医療・介護の業務効率化、在宅ケアの質向上を実現。このシステムに、患者自身がステークホルダーに共有するデータを入力する取り組みを加えることで、患者の自己管理意識を高め、本人の意向に沿った治療方法、介護サービスを選択するACP(Advance Care Planning)につながります。

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Lumadaのユースケースコード:
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