株式会社 日立製作所
クラウドサービスプラットフォーム
ビジネスユニット
マネージドサービス事業部 事業主管
對馬 隆幸
業務のデジタル化やデータ活用の取り組みが活発になった昨今、企業には基幹システムのモダナイゼーションが求められています。そして企業は、自社の経営活動以外にも環境問題などといった、社会問題を解決する取り組みも積極的に行わなければなりません。日立製作所(以下、日立)では、ビジネスの変化に柔軟に対応できるハイブリッドクラウドソリューション「EverFlex from Hitachi(以下、EverFlex)」を提供することで、システムのモダナイズや社会問題の解決をサポートしています。今回はEverFlexの特長をキーパーソンに語っていただきました。
對馬 先行き不透明な時代で生き残るべく、データドリブン経営に取り組む機運が高まっています。デジタル化――その先のデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するには、既存の基幹システムのモダナイズが急務であると考えているものの、何から手をつけるべきか分からず悩んでいるのが実態です。
どのようなデータやアプリケーションをどのように使えばデータドリブン経営を実現できるのか、変化に柔軟に対応できる洗練されたシステム基盤とはどのようなものか、それらを活用するための人材をどう確保するかなど、お客さまはさまざまな課題に直面しています。IT基盤のモダナイゼーションに継続投資しなければならない一方、トータルコストを最適化しなければならない。こうしたコスト面もよく取り上げられる課題の1つと言えます。
對馬 お客さまの課題解決に資するITインフラとして「EverFlex」を提供しています。EverFlexはITインフラのモダナイズやコスト最適化など、多くのお客さまに共通する課題を、オンプレミス環境とクラウド環境にまたがるハイブリッドクラウドプラットフォーム上で解決するソリューションです。
“必要なリソースを柔軟かつ迅速にご提供できるITインフラ”をコンセプトに据えており、As a Service(従量課金)でときどきのニーズにあわせたIT投資が可能なこと、高い信頼性を備えていることなどが主な特長です。
EverFlexではハイブリッドクラウド環境上で、データに素早くアクセスする連携基盤も提供しています。その足掛かりとして、2021年には「データ基盤サービス&運用サービス」を展開し、アマゾンウェブサービス(以下、AWS)上で動作する「ハイブリッド クラウド ストレージ」の先行プログラムを開始しており、2023年度から取り組みを本格化する予定です。今後は、データをセキュアかつ柔軟に利用でき、アプリケーションとの連携やAIの活用にも対応できるITインフラへ進化させていきます。
對馬 「データ基盤サービス&運用サービス」は、ハイブリッドクラウド環境における高信頼なデータ基盤を「As a Service(従量課金)型」で提供する、いわゆるIaaSです。「迅速性・柔軟性」「投資適正化」「運用高度化・省力化」という3つの特徴があります。
「迅速性・柔軟性」では、仮想・物理アプライアンスに加えてデータベースなどのサービス体系をS、M、Lと洋服のサイズのように表記することで、お客さまにとってより分かりやすくなるよう配慮しました。必要に応じてスムーズに拡張できるよう、予備リソースも配備しています。
「投資適正化」においては、初期費用がかからない従量課金型のため、キャッシュフローを最適化することができます。システム停止を未然に防ぐ日立の独自技術によって、運用保守コストを削減することも可能です。
「運用高度化・省力化」に関しては、日立が提供する信頼性の高いストレージの上にVMware社と協業する仮想化の仕組みを載せています。CO2排出量や使用電力を可視化することができ、お客さまが社会問題の解決に貢献できるよう工夫しました。
對馬 ハードウェアが故障する予兆を検知する技術です。これまでの保守・運用サービスで培った豊富な経験やログ分析などのノウハウを活用することで、ハードウェアの故障を事前に検知できるようになりました。
計画予防保守という運用方法によって「故障しそうなハードウェア」をお客さまにお知らせするとともに、システム障害の予防に貢献します。ハードウェア故障が発生してしまった場合、重要な影響部位や複数箇所の障害によってはシステムを一旦停止させて切り替えて対処する必要も出てきます。当然のことながらシステムを切り替える期間、ビジネスは一時的に継続できなくなってしまいますし、場合によっては全体復旧までに2週間ほどかかるケースもあるでしょう。日立の「故障予兆検知」では事前に故障の予兆を検知し、故障する前に冗長部位のハードウェアを予防交換するため、システムの稼働を停止する必要はありません。
システム障害を未然に防げば、突発的な故障対応に多くの人材を割く必要がなくなり、ロスコストの削減も期待できるでしょう。例えば、あるお客さまの例では、全体のうち5割程度の機器を故障後に交換していましたが、「故障予兆検知」によって、故障後の機器交換を全体の1割まで低減することができました。
對馬 環境問題への配慮が高く評価されるようになった昨今、企業はCO2排出量の削減目標を設定し、取り組みの結果を報告することが求められています。そこでEverFlexは、2022年10月からストレージなどのCO2排出量を可視化するサービスを提供開始しました。今後はCO2排出量に関するデータの活用方法に関して、お客さまを支援できるサービスを展開する予定です。
CO2排出量を削減する主な方法としては、ITインフラを省電力化すること、ITインフラの運用を最適化することの2つが挙げられます。
ITインフラの省電力化については、EverFlex以外にも環境問題解決に貢献できる機器を多数ご提供しており、特にストレージにおいては、新機種をリリースするたびに、前機種と比べて単位容量(TB・年)当たり約30〜40%ものCO2排出量を削減するさまざまな取り組みを行っています。海外の事例をご紹介すると、あるアフリカのICT企業では、日立のストレージプラットフォームを導入することで、エネルギー消費率を66%軽減。CO2排出量の削減に成功しました。
對馬 日立の仮想ストレージ製品には、オンプレミスのプライベートクラウド環境に適したHitachi Virtual Storage Platform(以下、VSP)があります。このVSPと同じOS環境や運用技術をパブリッククラウド上で動かす仕組みがVirtual Storage Software Block (以下、VSS Block) on Cloudという日立のソフトウェアデファインドストレージです。VSPとVSS Block on Cloudを介して、クラウドネイティブなアプリケーションで、オンプレミス環境のデータを利用することができます。VSPとVSS Block on Cloudが連携することで、高い機密性や安全性が求められるデータでも、ハイブリッドクラウド環境で簡単かつ安心・安全に保管・利活用できるようになります。これが日立の考えるハイブリッド クラウド ストレージです。
現在、ハイブリッド クラウド ストレージの先行プログラムを開始しており、2023年度から取り組みを本格化する予定です。コンテナ環境に対応し、運用の自動化・堅牢なセキュリティ体制の構築に資するソリューションとしてだけでなく、クラウドアプリケーションとの連携やAIの活用にも対応できるITインフラへ進化させていきます。
日立は、お客さまが、どのような課題を抱えているのか理解したうえで基幹システムのモダナイゼーションをご提案します。お客さまの業務に最適なハイブリッドクラウド環境を構築し、運用の自動化につなげるサイクルを回し続け、お客さまの課題解決に貢献していきます。
当社のお客さまのシステムは社会に影響を与えるものが多いため、システム障害が発生しない高度な品質が求められます。故障予兆検知をはじめとするソリューションで、こうしたお客さまの事業発展に貢献しつつ、EverFlex自体の発展も図っていきます。
對馬 DXを本格的に推進する際に、パブリッククラウド上のサービスの利用を拡大しようと検討するお客さまもいらっしゃるでしょう。そういう場合において、お客さまの所有するシステムとパブリッククラウドの制約に相違点が生じる可能性があります。こうしたギャップを埋めるときに、EverFlexを始めとしたハイブリッドクラウドに関連する日立のサービスやノウハウを生かすことができると考えています。
さらに当社では既存のソリューションやサービスなどを生かした 「クラウド&DXオファリング」を展開しています。これまで日立が蓄積してきたノウハウや知見を集約したプラットフォームを活用し、上流のシステムモダナイズのコンサルティングから構築、運用を含めたマネージドサービスに至るまでワンストップで、お客さまのDX推進を継続的にサポートすることができます。
クラウド&DXオファリングを強力に支援するEverFlexをご利用いただくことで、ハイブリッドクラウド環境のメリットを享受しながらDXを推進することができます。基幹システムのモダナイズだけでなくデータ活用による業務革新も併せて進めたい方は、ぜひ日立までお問い合わせください。日立はお客さまのパートナーとして寄り添いながら、DX推進に貢献してまいります。
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