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(写真左)株式会社 MM総研 
代表取締役所長 
関口 和一 氏

(写真右)株式会社 日立製作所 
クラウドサービスプラットフォーム
ビジネスユニット 
マネージドサービス事業部 
事業部長 
吉田 貴宏

デジタル・トランスフォーメーション(DX)の必要性が叫ばれてから、さまざまな企業が取り組みを進めてきました。しかしながら、海外の企業と比べて、日本企業のDXはなかなか進んでいないのも事実です。それにはどのような課題があるのでしょうか。また、企業のDX実現に貢献する、日立製作所のサービスやソリューションにはどういった特長があるのでしょうか。今回はMM総研の代表取締役所長 関口 和一 氏と、日立製作所 クラウドサービスプラットフォームビジネスユニット マネージドサービス事業部 事業部長 吉田 貴宏が語り合いました。

サステナブルな社会の実現に資する「社会イノベーション事業」

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株式会社 MM総研
代表取締役所長 関口 和一 氏

関口氏 コロナ禍やウクライナでの軍事紛争、エネルギー危機といったさまざまな要因によって、市場やビジネスのあり方が大きく変わってきています。日立製作所(以下、日立)では多様な製品、サービス、ソリューションの提供を通じて、どのような社会を実現したいと考えていますか。

吉田 当社はITとOT(制御・運用技術)どちらも含めた多様なサービスやプロダクトの提供を通じて、地球環境を守りながら、一人ひとりが活躍し続けられるサステナブルな社会の実現をめざす「社会イノベーション事業」を推進しています。

社会イノベーション事業では、グリーンエナジー&モビリティ、デジタルシステム&サービス、コネクティブインダストリーズという3セクター制を採用しており、プラネタリー・バウンダリーを守りながら、ウェルビーイングを高め、お客さまのDX達成に貢献することをめざしています。DXを実現する手段の1つである最先端のデジタルテクノロジーを提供することで、お客さまの課題解決を強力にサポートする方針です。

DSSセクタービジョン

関口氏 全社的に社会イノベーション事業に注力しているのですね。その中で吉田さんが率いる事業部には、どのような使命があるのでしょうか。

吉田 お客さまの視点に立ち、クラウドシフト、デジタルシフトに対応したサービスおよびサービス基盤を迅速に提供する役割を担います。市場全体に横串を通しつつ、蓄積した知見をもとに多様なソリューションを横展開し、マネージドサービスとして継続サポートする体制を築いています。

レガシーな基盤の保守・運用業務に追われる日本企業

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株式会社 日立製作所
クラウドサービスプラットフォームビジネスユニット
マネージドサービス事業部 事業部長
吉田 貴宏

関口氏 「日本企業はDXを進めなければならない」と言われるなか、なかなか十分な実績を上げられない企業は少なくありません。むしろ、海外の企業と比べるとDXの進捗は後れを取っている状況です。IT基盤のモダナイズが遅れ、レガシーな基盤がまだまだ多く残存していることも企業のDXを妨げる要因の1つと言われていますが、日立では日本企業のDXが進まない理由はどこにあると考えますか。課題と解決策についてもお聞かせください。

吉田 ご指摘の通り、既存システムが多く残っていることでアプリケーションやデータ、人員がサイロ化し、保守に多大なリソースを割いていることもDX推進が思うように進まない要因でしょう。また、DX人財の育成は非常に難しく、人員も不足しています。DXによって製品・サービスの創出やビジネスモデルの変革など経営改革にまで到達できた日本企業は20%程度だと言われており、もはや既存のIT基盤では、急速に進む市場の変化に追随しきれません。

日立はIT基盤のモダナイズを通してレガシーなIT基盤の保守業務から脱却し、DXに必要な予算や人員を解放することで、DXへの取り組みを加速させることが重要だと考えています。

DX推進における課題

複数の判断軸から環境を選ぶ

関口氏 クラウドシフトはDX達成の1つの手段かと思われますがいかがでしょうか。

吉田 おっしゃる通りです。ただし、単にクラウドシフトすれば課題を解決できるわけではありません。特に機密性の高いデータはプライベートクラウドに配置して堅ろう性をより高めるなどの配慮が必要です。

関口氏 パブリッククラウドとプライベートクラウド、企業はどちらを取るべきだと考えますか。

吉田 データの重要度によって使い分けるべきではないでしょうか。プライベートクラウドかパブリッククラウドか、双方を組み合わせたハイブリッドクラウドか、それともオンプレミスか選ばなければなりません。データの重要度以外にも、システムが事業継続に与える影響などを判断軸に据え、自社にとって最適な環境を選択することが重要だと考えます。

関口氏 顧客がどの環境を選んだ場合でも対応できる点が日立の強みだと思いますが。

吉田 ありがとうございます。日立だけですべてのITリソースを提供することはもはや難しいものの、ハードウェアやOS、ミドルウェアに関する豊富な知見とノウハウを蓄積しており、お客さまの状況に合わせた最適なソリューションを提供できます。また、ワンストップで対応できることや、上流のコンサルティングから運用まで長期間にわたって伴走できる点は、日立が持つ強みの1つだと自負しております。

会談風景

企業のDX推進を強力に支援する日立のソリューション

関口氏 DXを成功させるためには、現場で収集したデータをいかに活用するかが重要だと思います。コンサルティングサービスを通じて顧客の課題を洗い出し、DX推進に資するソリューションを提案する企業が増えてきました。日立の方針を教えてください。

吉田 デジタルエンジニアリングサービスのリーディングカンパニーである米国GlobalLogic社を仲間に加え、お客さまの課題に寄り添い、課題解決する能力を強化するなど、お客さまとの協創を積極的に進めています。また、そこで得られたノウハウ、および多種多様な業種・業務におけるベストプラクティスを集約したプラットフォームサービスを「クラウド&DXオファリング」として体系化し、お客さまへの提供を開始しています。構想策定から構築、運用までワンストップで支援し、あらゆる業界――ひいては社会全体のDX実現に貢献することをめざしています。

クラウド&DXオファリング

関口氏 日立には企業のDXを支援するさまざまなサービスがありますが、なかでも特徴的なものをいくつか紹介いただけますか。

吉田 これまでのパブリッククラウド環境の構築の経験をもとに、IT基盤のフレームワークを整備し、迅速なクラウド環境の構築、運用の効率化・自動化までサポートする「Cloud and Application Managed Service (CAMS)」の提供を開始しました。これは、お客さまのさまざまな業務システムの運用負荷を軽減するマネージドサービスで、クラウド移行とクラウドネイティブの両方に対応しています。

また、お客さまの重要なデータを保護しながら、重要なシステムの稼働を支えるハイブリッドクラウドプラットフォームとして「EverFlex from Hitachi(以下、EverFlex)」をAs a Serviceで提供しています。EverFlexは、パブリッククラウドとプライベートクラウド、オンプレミスとの間で、安心・安全でシームレスなデータ連携を実現します。CAMSやEverFlexを中心に、お客さまの状況に合わせた適切なハイブリッドクラウド環境を提供し、お客さまの運用負荷の軽減を進め、DXに向けたジャーニーを支えます。

グループを挙げてチャレンジし続ける企業に寄り添う

関口氏 今後、日立ではどのような取り組みを進める方針ですか。

吉田 お客さまのDXを加速させるため、2023年4月からデジタル事業体制を強化しております。私の所属するクラウドサービスプラットフォームビジネスユニットは、伸長著しいクラウド事業領域において、米国子会社の日立ヴァンタラ社の強みであるデータマネジメント、ストレージソリューションをさらに強化するとともに、ミッションクリティカルなシステム・ITプラットフォームの知見を生かした、クラウドサービス・データマネジメントを提供していきます。

日立全体では、デジタルイノベーションを加速するLumada事業として、まずお客さまの経営課題を理解し、解決方法を実装、運用しながら新たな課題と向き合う、お客さまとの協創価値サイクルをデータ駆動で回していきます。また、ITとOT双方に関する知見を最大限に生かしたプロダクトやサービスを組み合わせ、お客さまのDX推進をあらゆる領域から支援していきます。

運用ポータルのダッシュボードから各種稼働情報へのアクセスが可能

グループ企業との連携も強めていく予定です。例えば、日立ヴァンタラ社に置かれたクラウド運用管理組織「Hitachi Application Reliability Center」とノウハウや技術を共有し、お客さまが最適な運用コストで信頼性向上とアジリティを実現できるマネージドサービスを提供していきます。

同じくグループ企業の1つであるGlobalLogic社の強みといえる、マイクロサービスを使ったアプリケーション開発の知見を取り込むことで、IT基盤のフレームワークを強化するとともに、ITシステムのモダナイズやDX推進をサポートしていきます。経営層の課題を理解し、アジャイルに課題解決を図りながらグローバルで支援します。

関口氏 これまでのお話から、日立ならではの強みを生かしてDX推進をサポートしてもらえる心強さを改めて感じました。

吉田 ありがとうございます。お客さまが自社のコアコンピタンスを強化し、自社の持つ価値を最大限に発揮することで、事業の拡大を実現できると考えています。

そのために、私たち自身もIT基盤のモダナイズのご支援を通して、お客さまの課題を解決する方法を学び続けます。そして、必要だと思われる機能に関しては、システムへの実装、運用・保守にフィードバックするなど、お客さまを全力でサポートしていきます。

関口氏 最後に、日本企業の経営者の方々にメッセージをお願いします。

吉田 皆さんが感じているように、市場の変化のスピードはますます加速しています。そうしたなかで、既存のビジネス、既存のIT環境から脱却しないままでは、将来的に事業を継続し続けることは難しいのが現実です。

もちろん、新たな試みがすべて成功するわけではないでしょう。まずはチャレンジしてみて、失敗すればまた違うアプローチを考える。積極的に変化し続ける姿勢こそが、これからはますます必要になると感じています。日立はチャレンジし続けるお客さまに寄り添い、サポートし続けます。今後の日立の取り組みに、ぜひともご期待いただきたいと思います。

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所属・役職等はすべて取材日時点のものです。
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