情報システムを利用したビジネスが当たり前の今、24時間365日ノンストップサービスを提供するミッションクリティカルシステムの実現は、情報システムを抱える企業がクリアすべき課題の一つです。
ここで注目したいのは、どれほど堅牢に構築されたシステムにも障害が発生するおそれがあることです。障害のためにサービスが停止した場合、ビジネスチャンスばかりか社会からの信頼も失うおそれがあり、その代償ははかりしれません。そのため、障害の発生に備えて万が一の場合にも損失を最小限に食い止める対策が必要なのです。
障害対策の一つにHAクラスタシステムがあります。HAとはHigh Availabilityの略で、高可用性、つまりシステムを連続して稼働できることを意味します。HAクラスタシステムとは、高可用性を実現するシステム構成のことです。
HAクラスタシステムでは、システムで使用するリソース（LANやサーバ、共有ディスクやアプリケーションなど）を二つ用意しておきます。クラスタソフトウェアが各システムに常駐してシステムを監視し、障害が発生すると別のリソースに切り替えてサービスを継続します。
万が一障害が発生しても、用意しておいた別のシステムですぐにサービスを開始できるため、顧客は障害に気づくことなく通常のサービスを受けられます。まさに、備えあれば憂いなしというわけです。
HAモニタは、HAクラスタシステムを実現するクラスタソフトウェアです。ハードウェアやソフトウェアを含めたシステム全体（系）を、実行系と待機系の二つ用意しておき、実行系で障害が発生した場合、待機系に業務を引き継ぎます。この処理を系切り替えまたはフェールオーバーと呼びます。
系切り替えの流れ
障害が発生したとき、どれだけ迅速に系切り替えをするか。これがクラスタソフトウェアにとって大切なポイントです。
HAモニタは、高速ホットスタンバイを筆頭に系切り替えの高速化に取り組みました。高速ホットスタンバイは、スケーラブルデータベースHiRDBや分散トランザクションマネージャOpenTP1との連携を強化して実現した機能で、HiRDBの場合、障害発生からわずか十数秒オーダでサービスを再開できます。
HAモニタを導入すると、障害発生時に高速で系切り替えができるためシステムのダウンタイムが最短になり、結果としてダウンタイムに起因する損失を最小に抑えられます。
HiRDBの障害発生からサービス再開までの流れ
HAモニタとHiRDBは、互いに連絡を取り合うインタフェースを備えています。HiRDBに障害が発生した場合、HiRDB自身が障害を報告してくるため、ほぼ瞬時に障害を検知できます。
通常の系切り替えでは、待機系は停止した状態のまま障害が発生するまで待機します。障害が発生したあとに待機系のシステム、続いてアプリケーションのプロセスを起動するため、時間が掛かっていました。
高速ホットスタンバイでは、待機系とそこで稼働するアプリケーションのプロセスをあらかじめ起動しておきます。そのため、障害発生後のプロセス起動時間を短縮でき、即座に待機系でサービスを再開できます。
クラスタシステムではフェイルオーバ時に、フェンシングと呼ばれる、障害ノードを共有ディスクから切り離す処理を行います。 これにより、複数のノードから共有ディスクへのアクセスが行われて、データ破壊が起こることを防ぎます。
HAモニタでは、ハードウェアと連携して障害ノードを強制停止する「リセット」と呼ばれるフェンシングをサポートしています。 共有ディスクへのアクセス遮断に加えて、障害ノード上でアクティブになっていた仮想IPなどのリソース全てを確実に停止します。 また、障害ノードがＯＳスローダウン等により動けない状態であっても、強制停止と同時にダンプを取得できるため、迅速な障害解析が可能になります。
HAモニタでは、「障害ノードのリセット」に加えて、「SCSIリザーブによる共有ディスクアクセス排他」のフェンシングをサポートしており、 さらにこれらを併用することで、フェンシングを冗長化することが可能です。 仮に一方のフェンシングが失敗しても、もう一方のフェンシングで障害ノードを共有ディスクから切り離すことができるため、 お客様の大事なデータを守りつつ、より確実にフェイルオーバを成功させます。
フェンシング冗長化時のフェイルオーバ
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