トヨタ自動車北海道
総務部 安全健康推進課長 川崎 浩行氏(写真中右)
総務部 安全健康推進課 健康・衛生係
保健師 早坂 真由美氏(写真中左)
日立ソリューションズ
北海道支店 部長代理 作井 亨(写真左)
ヘルスケアビジネス事業部 HB事業推進部
グループマネージャ 佐藤 恵一(写真右)
トヨタ自動車株式会社の100%出資企業として、自動車部品を製造するトヨタ自動車北海道。従業員の増加に伴い、健康管理部門の負荷も増大する一方でしたが、「従業員健康管理クラウドサービス」の導入により、顕在化していた問題が解決。健康検査結果のビジュアル化で、従業員の健康への意識にも変化が見られています。
トヨタ自動車北海道
総務部 安全健康推進課長
川崎 浩行 氏
「従業員の健康管理はお
金に代えがたいと考えて
いますが、コスト面でも
満足しています。」
トヨタ自動車北海道では、技能職に就く従業員約3,000人のほとんどに夜勤があるため、健診は年に2回必要です。技術・事務職の従業員も合わせると、1年に延べ6,500人程の健診を行う計算となります。さらに、一部の技能職の従業員には、有機溶剤、塵肺、騒音、紫外線などに対する「特殊健診」が必要です。
こうした健康管理業務を、産業医1名、保健師4名、事務1名の合計6名で担当しており、単純計算すると保健師1人あたり1,000人近く担当することになります。スケジュール管理や面談だけで手いっぱいで、本来取り組みたい予防医療まではとても手が回らないのが実情でした。
健康管理業務は、1990年代後半より「Microsoft Access」で構築した健康管理システムで行っていました。当初はさほど問題なく運用していましたが、次第に健診の仕方自体が変わり、さらに従業員の数も増えてきたため、そのスケジュールや履歴の管理が大変になってきました。さらに、健診対象者が増えると、指導しなければならない人数も増えます。最終的には当初のシステムでは健康管理業務全体の30%位しかカバーできなくなっていました。
不足する機能は、「Microsoft Access」の小さなデータベースを作成することで補っていきました。例えば、誕生月ごとの健診スケジュールデータベース、多残業社員のデータベース、休業している従業員のデータベース、再検査データベース、面談結果データベース、といった具合です。
その結果、1人の従業員の面談を行うにも、何種類ものデータベースを開かなければならず、管理業務が非常に煩雑になっていきました。
従来のシステムでは限界となり、新しいシステムの検討を開始。2010年、会社全体の業務システム変更に伴い、健康管理システムも正式に選定を開始しました。
トヨタ自動車北海道
総務部 安全健康推進課
健康・衛生係
保健師 早坂 真由美 氏
「スケジュールや履歴の
データが一元管理でき、
従来の課題が一気に解決
できました。」
3社のベンダーから選定することとなりました。選定のポイントは下記の3点でした。
特殊健診は、企業ごとに必要な内容が異なります。日立ソリューションズのシステムは、カスタマイズ可能なクラウドシステムだったため、トヨタ自動車北海道の求める特殊健診機能への対応が柔軟に行えました。
「他社のシステムにも、通常の一般健診機能は搭載されていましたが、『特殊健診』機能については、まったく搭載されていないか、逆に法律全体が網羅されていて不要な機能が多すぎるかのどちらかでした。(早坂氏)」
情報システム部門で重視されていたのは、データの安全性です。従業員の健康に関するデータは特に配慮が必要ですが、日立ソリューションズのクラウドサービスにある「匿名バンク」機能が高く評価されました。人事情報は社内で管理し、クラウド上には個人が特定されない形で健康データのみ保管されます。
「私たち利用者側としては、クラウドシステムであることや、健康データと人事データが別々の場所に存在することをまったく意識したことはありません。何も考えずに自然に使えています。(早坂氏)」
1つめのポイントとも重複しますが、既存パッケージの場合、カスタマイズの費用が膨らんでしまいます。特に「特殊健診」のカスタマイズ費用は大きいウェイトを占めました。特殊健診機能が搭載されていないパッケージの場合、オーダーメイドに近い形で開発してもらうことになります。一方、すべての特殊健診を網羅したパッケージの場合も、不要な機能を削除するために費用がかかります。日立ソリューションズの従業員健康管理システムの場合は、カスタマイズ性の高い特殊健診機能が用意されていることと、サーバなどのハードウェアを自社で持たなくてよいクラウドシステムであることから、費用を抑えることが可能でした。
システムの選定過程で当初想定していなかった4つめのポイントとなったのは、ベンダー各社の対応の違いでした。
「他の2社と比較し、日立ソリューションズは私たちにたくさんの質問を投げかけ、要望を丁寧に聞き取ってくれました。あまり質問してもらえないと、本当に一緒にやっていけるのか、自分たちの要望が伝わっているのか不安ですよね。その点日立ソリューションズは私たちが何をしたいのか理解しようとしてくれていると感じて嬉しかったし、安心感がありました。この4つめのポイントは現場にとって大きな判断材料になったと思います。(早坂氏)」
従業員健康管理クラウドサービス 構成イメージ
2011年7月に導入が決定し、8月から両社のスタッフでWeb会議を実施。8月後半に、日立ソリューションズの開発スタッフが5日間張り付きで実際の業務をヒアリングしました。
「私たちはITの素人です。じっくり張り付いて実際の業務をヒアリングいただき、直接システムに落とし込んでもらえたことはとても助かりました。Web会議自体は初めての経験だったので、戸惑いましたが、次第にWeb会議にも慣れてスムーズに意思疎通が図れたと思います。(早坂氏)」
9月以降も毎週Web会議を重ね、2012年4月に無事リリース。
「特に納期については無理を聞いていただき、感謝しています(川崎氏)」
まだ、導入後数ヶ月ですが、以下のような効果が表れています。
健康診断クラウドシステムの導入後、健診スケジュール管理から健康データの管理まで、従業員1人ひとりの情報を一元化できるようになり、業務が大きく効率化されました。
健康診断の結果をグラフで表示できるようになり、従業員から「グラフになったんだね」という反響が多く寄せられ、驚きました。
これまでも5年間の数値の変化を伝えてはいましたが、グラフで表現されていると変化が実感しやすいようです。印刷されている基準値と比較して、グラフ上で指導できるため、説得力が高まりました。
新しい人事システムが3ヶ月後に稼動、データ連携が予定されています。これまでは人事課から基本情報を受け取るだけの一方通行でしたが、これからは双方向でデータの授受ができるようになります。
「これまでは部署の変更や勤務データを人事課から受け取り、こちらで手入力していたのですが、その負担が大きく軽減します。また、人事課としても、これまでは口頭で伝えられていた健診情報がデータ化され、勤怠システムと連携できますから、より効率的かつ正しい勤務管理が可能になると期待しています。(早坂氏)」
「これまでは健診で何か問題があって初めて、面談指導を行っていました。今後はシステム導入で業務効率化が実現した分、予防医療にも取り組んでいきたいと考えています。(川崎氏)」
また、従業員を大切にする企業風土の中、従業員の健康づくりにこのシステムが大きく寄与します。
「企業では安全第一とよく言いますが、トヨタ自動車北海道の場合は、安全と健康が一番だと考えています。病気で休まれると企業にとって労働損失になります。しかし何より従業員の健康管理はお金に代えがたいものだと考えています。今回、グラフで健診結果が見られるようになったことで、個人個人の健康に対する意識が相当変わっていると実感しています。今後さらに日立ソリューションズと意見を交わしながら、予防医療の面でもさらによりよいシステムへと発展させていきたいと考えております。(川崎氏)」
予防医療への取り組みを実現させ、さらによりよいシステムへ
トヨタ自動車北海道は、1991年2月トヨタ自動車からの100%出資企業として誕生しました。自然豊かな北海道の地に根ざし、環境保全に積極的に取り組みながら、オートマチック・トランスミッション、CVT、トランスファーなどの自動車部品を製造しています。企業全体として、従業員の安全と健康を第一に考え、地域の産業・経済に貢献し、町いちばんの会社となることをめざします。
[会名] トヨタ自動車北海道株式会社
[本社] 北海道苫小牧市字勇払145-1
[創立] 1991年2月8日
[従業員数] 3,347名 (2012年7月1日現在)
[事業内容] 自動車部品の製造
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