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2003年2月17日

デスクトップPC、サーバ向け液冷システムを開発


 日立製作所は、このたび、デスクトップPC、サーバ向け液冷システム(Liquid Cooling System)を開発しました。本液冷システムは、従来の空冷ファンによる冷却システムに比べて、ユーザーの身近で使われるデスクトップ/ノートPCでは高い静音性能を、より高度な性能と信頼性が求められるサーバでは高い冷却性能と信頼性の確保を同時に実現するものです。
 なお、本液冷システムを搭載したデスクトップPC、ブレードサーバ、ラックマウントサーバの試作機を米国サンノゼで開催されるIDF Spring 2003(Intel Developer Forum、2月18日〜21日)に出展します。

 PCやサーバは、高度なアプリケーションソフトによる動作環境レベルの上昇のため、常にその高性能化を求められています。このため、CPUを始めとするコンポーネントからの熱をどのように処理するかが、製品設計に大きな影響を与えるようになってきました。

 当社は、昨年2月、ノートPC向けの静音液冷システム(Silent Liquid Cooling System)を発表し、9月より本システムを搭載した「FLORA 270W サイレントモデル」を販売しています。本液冷システムは、ノートPC向けの静音液冷システムをデスクトップPCならびにラックに搭載されるサーバに適用できるように改善を加えたものです。
 デスクトップPC用の本液冷システムは、筐体背面のヒートシンクにCPUからの熱を冷却液で輸送し放熱しています。このため、通常CPUや電源ユニットなどの冷却のために複数の空冷ファンが必要とされるのに対して、1つのシステムファンのみでシステム全体の冷却を可能としており、30dB以下の高い静音性を実現しています。
 ブレードサーバ用の本液冷システムは、サーバ本体ユニットに熱交換ユニットを搭載し、ブレードユニットとの間に接続された冷却液循環パイプにより熱移動、放熱を行い、従来の空冷方式を大きく上回る冷却性能を実現することにより限られた実装スペースの中により高性能なCPUを搭載することを可能としました。
 ラックマウントサーバ用の本液冷システムは、ラックに冷凍サイクルを搭載し、ラック内に設置された冷却液循環パイプとサーバ本体の冷却パイプを接続することにより、より効率的な熱交換を実現しました。
 ブレードサーバ、冷凍機搭載ラックマウントサーバは、ともに冷却液を駆動するポンプを二重化し、障害発生時にもシステムを停止することなくポンプを交換することが可能です。また、ブレードサーバの各ブレード、ラックマウントサーバとラックは、電気的な接続がコネクターで簡単に脱着可能(活線挿抜*)であるのと同様に、冷却液接続には特殊な「カップリング機構」を採用することにより、液体流路の接続に特有なバルブの開閉などのわずらわしい操作が一切不要のワンアクション着脱(活線挿抜)が可能です。
*活線挿抜…本体の電源を入れたままブレードを抜き差ししてもそれを認識させることができること。

 本液冷システムは、PC、サーバ以外の電子機器にも応用でき、高熱やファンノイズの問題に幅広く対処することが可能です。

 当社では、液冷技術の新たな方向性を示すことを目的として、本液冷システムを搭載したデスクトップPC、ブレードサーバ、ラックマウントサーバの試作機をIDF Spring 2003に出展します。また、今後は、製品化の技術的な目処が立った時点で、ノートPCと同様に本液冷システム技術をライセンス供与の形で広く他社にも展開する予定であり、製品化についてもあわせて検討していきます。

■本液冷システムの特徴
1.静音
2.設計レイアウトの柔軟性
3.複数の発熱体の冷却が容易
4.ファンとの併用で静音性を確保したままで冷却性能の増大も可能
5.メンテナンスフリー



以上



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