マイクロドライブは、標準的なメモリーの規格であるコンパクト・フラッシュTypeIIの物理的条件を満たしており、外形寸法は幅42.8mm×奥行き36.4mm×厚さ5.0mmという小型サイズです。米国IBM社が2000年6月に記憶容量1ギガバイトの製品を発売して以来、大容量化を目指して開発を進めてきた結果、小型化技術を活用することで、読み書きヘッドが従来製品の半分のサイズとなる「FEMTO(*2)ヘッド」を新たに開発するとともに、ヘッドが円板上を浮上する高さ(フライト・ハイト)も約40%下げることに成功しました。
また、「ピクシー・ダスト(Pixie Dust)」技術を利用して線記録密度を大幅に向上させています。更に、トラック密度の向上と併せて面記録密度も100億ビット/平方センチメートルに向上させました。ピクシー・ダストとは、原子三個分相当の超薄型のプラチナに似た貴金属「ルテニウム」でできた層を、三つの磁性層で挟み込む磁気コーティング技術です。ルテニウム層と磁性層を組み合わせることによって、データの保全性を維持したまま高密度でデータを記録できるようになりました。
(*2) FEMTO(フェムト):現在使用されているピコヘッドをさらに縮小化する技術の名称です。
これらの新技術によって、メディア転送速度も従来比約50%向上し、映像メディアとして急速に普及してきたDVD(*3)に匹敵する4ギガバイトの記憶容量を達成しました。この結果、PDAや携帯電話などの携帯情報機器で動画や音楽などの大容量コンテンツを扱えるようになり、今後、更なる用途の拡大が期待されます。
(*3) 片面一層の場合。
尚、1月に米国ネバダ州ラスベガスで開催される「International Consumer Electronics Show (CES)」(9〜12日)や「The Storage Visions 2003 Conference」(7〜8日)などの展示会で、マイクロドライブに関する更に詳細な技術説明を実施する予定です。