日立製作所 情報・通信グループ(グループ長&CEO:小野 功、以下、日立)は、このたび、サービスプラットフォームコンセプト「Harmonious Computing(ハーモニアス コンピューティング)」を策定しました。「Harmonious Computing」は、お客様のビジネスを実行するシステム基盤であるサービスプラットフォームに対して、お客様がポリシー(実行規準)を設定するだけで高付加価値なサービスを快適に利用できるITシステムを提供します。ビジネスや社会の変化に対応しながら、利用者と情報機器、情報機器同士が調和を取りながら、最適な構成、高い信頼性のITシステムを実現します。
ユビキタス情報社会の到来に伴い、社会生活における情報の重要性はますます高まっています。日立では、情報は新しいライフラインになったと捉え、情報通信事業のビジョンとして「情報ライフラインはHITACHI」を定めました。このビジョンの下で、情報がライフライン化した時代の社会ニーズである「いつでも/どこでも/誰でも」「安心/安全」「快適」に応えるべく、事業展開を図っていきます。
今回策定したサービスプラットフォームコンセプト「Harmonious Computing」は、このビジョンに基づいています。情報がライフラインとなった社会においては、ITシステムが必要不可欠になるとともに、大規模化、複雑化し、投資の増大や技術要員の不足が大きな課題となっています。今後は、簡単な操作、最適なコストで、即座に利用できるITシステムがますます重要になっていきます。
「Harmonious Computing」は、ミドルウェアを核として、サーバー、ストレージ、ネットワークを統合したシステム基盤を提供します。「Harmonious Computing」では、お客様がコアビジネスに集中できるように、ユーザー視点、すなわちビジネスの変化に対応したシステムを、より早く、最適に構築でき、高い信頼性で利用するという観点から、「発展(Progression)」「共創(Collaboration)」「信頼(Trust)」を、お客様に提供できる3つの価値と位置付けます。この3つの価値に基づく製品、サービスにより、お客様の貴重なリソースすべてをコアビジネスへ集中することで投資効果の最大化を可能とします。
■「Harmonious Computing」により実現するもの
1.「発展(Progression)」:<システムの拡張性と運用コストの最適化>
「発展(Progression)」では、業務拡大や新規業務の追加に対して、拡張性の高いシステムを継続的にかつオンデマンドですばやく提供します。また、ユーザーのサービスレベルやポリシーに基づくシステムマネジメントと安定稼働により、運用コストを最適化します。
ポリシーベースの自動化、自律運用やハードウェアの仮想化などの技術により実現します。
(1)ポリシーベースシステム管理
あらかじめユーザーが設定するポリシーに基づき、サーバーやネットワークの負荷分散を自動的に行い、システム全体の最適化を実現します。日立アドバンストサーバ「HA8000/8500シリーズ」や統合システム運用管理「JP1シリーズ」などにより実現します。
(2)ヘテロ環境ストレージプール
仮想化技術により、異機種のストレージ装置をひとつの論理ボリュームとして扱うことを可能にし、性能や容量の異なるストレージ装置を業務システムに割り当てる作業を自動化、簡易化します。ディスクアレイサブシステム「SANRISEシリーズ」やストレージ管理ソフトウェア「JP1/HiCommand」などにより実現します。
(3)ネットワークマイグレーション
これから本格化するIPv6ネットワーク環境において、IPv6/IPv4アドレス変換やIPv6パケットのトンネリングなどにより、IPv6とIPv4の混在した環境においても、ユーザーがそれを意識することなく、どちらのアプリケーションにも対応できます。ギガビットルータ「GR2000シリーズ」とアクセスゲートウェイ「AG8100シリーズ」で実現します。
2.「共創(Collaboration)」:<ビジネスのスピードアップとコアビジネスへの集中>
「共創(Collaboration)」では、ハードウェアの違いや複雑なシステム構成を意識することなく、システムを開発・実行できる環境の提供と、ユーザーの既存資産と新しい資産のシームレスな統合・連携を実現します。これによりユーザーは、ビジネス価値を最大にするためのビジネスモデルや業務のより早い構築が可能となり、コアビジネスへ専念できます。
Webサービス技術、オープンかつデファクトな実行環境、実行環境の仮想化などの技術により実現します。
(1)Webサービス統合
Webサービス技術を用いたビジネスプロセス統合により、BtoBを含め連携する業務システムを迅速かつ柔軟に構築します。Webアプリケーションサーバ「Cosminexus」などにより実現します。
(2)実行環境の仮想化
サーバーの違いや構成を意識することなく、ユーザーの業務アプリケーションを実行するためのオープンかつデファクトな実行基盤をシステム運用管理と連携することで実現します。
(3)ビジネス指向マネジメント
業務視点での情報の整理・分析およびリソース管理を行います。業務と業務に割り当てられる各種リソースを関連付けて管理することで、ハードウェアの障害時、業務アプリケーションの影響範囲を迅速に把握することが可能となります。また、業務システム毎のITリソースの使用状況が把握でき、投資計画の検討が容易になります。
3.「信頼(Trust)」:<ノンストップでセキュアなビジネス・社会基盤の構築>
「信頼(Trust)」では、安心してビジネス活動や社会生活を送るための、プラットフォームの安定稼働を実現します。ネットワークを介して様々な情報がやりとりされる社会において、内容の確実な伝達や、企業や個人の情報資産のセキュリティを確保します。
電気、ガス、水、通信などの社会インフラシステムやメインフレームで培った高信頼化技術、セキュリティ技術により実現します。
(1)高速ホットスタンバイ
ハードウェアとミドルウェアの連携により、オープンサーバにおいても、OS障害時などに即時通知や即時リセット命令を用いることで、メインフレーム並みの切り替え時間を実現します。これにより、ユーザーは切り替え時間をほとんど意識することなく、業務を続けることができます。エンタープライズサーバ「EP8000シリーズ」の高速ホットスタンバイ機能HA Boosterなどで実現しています。
(2)高信頼運用支援サービス
ITシステム全体について、監視、分析、改善により安定稼働を実現します。監視内容や障害時の対処方法などは、ユーザーのニーズをもとに運用管理ポリシーにあたるダイナミックサービスアグリーメント(DSA)を作成し、これに基づき実行します。DSAの内容は運用状況の変化やユーザーニーズの変化に対応して、ダイナミックに変更可能となっています。「ITマネジメントサービス」などにより実現します。
(3)ディザスタリカバリ
プラットフォームの仮想化機能により、複数の業務やセンターを共同のバックアップセンターで、災害時にバックアップすることを目指します。これにより、低コストでのディザスタリカバリサービスの提供を実現できます。
(4)統合セキュリティ管理
セキュリティポリシーに基づく管理を実現します。各種のセキュリティ製品に対して、セキュリティポリシーに基づいた設定を一元的に実行可能とするとともに、セキュリティ上の問題を検知した場合にポリシーに基づくアクセス制御を強化するなど、セキュリティ問題に対する被害を最小化できます。統合システム運用管理「JP1シリーズ」などにより実現します。
■「Harmonious Computing」が提供するプラットフォームの標準化に対する取組み
「Harmonious Computing」では、各種の機能やサービスが相互連携することが重要です。日立は、先行開発した技術や仕様を各種標準化団体に積極的に提案し、他社と協調し、仕様の普及につとめていきます。
- IETF(Internet Engineering Task Force):ネットワークやシステムのポリシー管理標準化
- DMTF(Distributed Management Task Force)
:システム運用管理情報モデル(CIM: Common Information Model)標準化
- SNIA(Storage Networking Industry Association):ストレージシステム運用管理の情報モデル標準化
- OASIS(Organization for the Advancement of Structured Information Standards)
:Webサービスセキュリティ、管理メッセージングの標準化
- GGF(Global Grid Forum):グリッドサービスインタフェースの標準化 など
今後、「Harmonious Computing」に基づく製品・サービスを提供し、安心/安全、快適なユビキタス情報社会の情報ライフラインを、先進的かつ高信頼の技術で支えていきます。
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