日立製作所 半導体グループ(グループ長&CEO 伊藤 達)は、このたびノートPC等で使用される非絶縁型DC/DCコンバータの電圧変換用に、ショットキーバリアダイオードを内蔵したパワーMOS FETと、パワーMOS FETの計3素子分を1パッケージに搭載した30V耐圧の複合パワーMOS FET「HAT2180RP」を製品化し、2002年12月10日よりサンプル出荷を開始します。
非絶縁型DC/DCコンバータはハイサイドスイッチとローサイドスイッチ(注1)で構成され、各々にパワーMOS FETが使用されています。本製品はパワーMOS FETの性能を向上し、ハイサイド用では当社従来品に比べ約43%高速性能を向上すると共に、ローサイド用ではショットキーバリアダイオードをパワーMOS FETに内蔵する事で当社比で約3%高効率化、および低ノイズ化を図っています。また、計3素子分を、小型面実装パッケージ「HSOP-11」(当社外形コード名。SOP-14と同サイズ)に1パッケージ化した事で、各々の素子を実装した場合に比べ当社比で約17%小型化を実現しています。
<背景>
ノートPC等に用いられるDC/DCコンバータは、機器に搭載されるCPUやASICなどLSIの低電圧化にともない、高効率化、小型化が要求されています。そして、そのキーデバイスであるパワーMOS FETには、ハイサイド用には高速性能化(低スイッチング損失化)、ローサイド用には低オン抵抗性能化(低導通損失化)が求められています。当社ではこうした要求に対応するため、既に当社第7世代のパワーMOS FETを使用し、ローサイド用には初めてショットキーバリアダイオードを内蔵すると共に、小型化のために両サイドのチップを1パッケージ化した30V耐圧の複合パワーMOS FET「HAT2126RP」を製品化しています。
そして、今回さらに性能を向上した「HAT2180RP」を製品化しました。
<製品について>
本複合パワーMOS FET「HAT2180RP」は、5V〜20Vの電圧を1.5V〜5Vに変換する非絶縁型DC/DCコンバータ用であり、30V耐圧のNチャネルパワーMOS FET を使用しています。当社第8世代プロセスを使用することで、高速性と低オン抵抗を向上しており、ハイサイド用では、Ron・Qgd(注2)を、33mΩ・nC(VGS=4.5V時)と従来の第7世代プロセス「HAT2126RP」に対し、約43%低減。高速性能化(低スイッチング損失化)を図りました。
そして、ローサイド用では7mΩ(VGS=10V時)の低オン抵抗を実現。さらにショットキーバリアダイオードを内蔵した事により、MOS FETとショットキーバリアダイオード間の配線インダクタンスを削除でき、各々の素子で構成した場合に比べ、当社比で約3%の高効率、および低ノイズ化を実現しています。また、DC/DCコンバータの小型化のために、計3素子を小型面実装パッケージ「HSOP-11」(当社外形コード名。SOP-14と同サイズ)に1パッケージ化。パッケージサイズは9.05×6.2×1.75(mm)で、各々の素子を実装した場合に比べ当社比で約17%小型化を実現しています。
今後、SOP-8サイズのパッケージでの品揃えを行ない、様々な負荷電流に対応すると共に、小型モータ制御用途に対応した品種展開を行なう予定です。