日立製作所 半導体グループ(グループ長&CEO 伊藤 達)は、このたび、ホームネットワークなどの5GHz帯無線LANや、ノンストップ自動料金支払システム「ETC(Electronic Toll Collection System)」などの端末用に、5.8GHz帯対応検波用ショットキーバリアダイオード(注1)「HSU285」を製品化し、2002年12月よりサンプル出荷を開始します。
本製品は新プロセスの採用により、業界最高レベルの低順方向電圧VF=0.27V max(@1mA)と低容量C=0.30pF typ(@0.5V)を同時に実現しています。このため-40dBmという低入力領域でも1mV以上の検波出力をゼロバイアスで実現でき、5.8GHz帯の検波回路(ディテクタ)に最適です。
<背景>
検波用ショットキーバリアダイオードは、携帯電話やRFIDタグ(注2)、5GHz帯無線LANなどの高周波通信端末の検波回路で使用され、回路の出力特性を左右するキーデバイスになっています。当社では既に、携帯電話等用に実績のある「HSD88」「HSU276A」等を量産しており、900MHzから2.45GHz帯までに対応しています。しかし、5.8GHz帯では、さらなる高周波に対応するための低容量(端子間容量(C))化に加え、微弱な信号に応答するための順方向電圧(VF)の低減が必要であり、トレードオフの関係にあるこの2つの特性を従来からのプロセスで改善する事は、困難でした。
そこで今回、プロセスを新規開発することにより低順方向電圧と低容量を共に実現した、5.8GHz帯対応検波用ショットキーバリアダイオード「HSU285」を製品化しました。
<製品について>
本製品は、業界最高レベルの低順方向電圧VF=0.27V max(@1mA)と低容量C=0.30pF typ(@0.5V)を実現しています。新規プロセスの採用とチップ構造を新規開発することにより当社従来品「HSU276A」に比べ順方向電圧を約25%、端子間容量を約60%低減しており、-40dBmの低入力領域でも約4倍の1mV以上の高い検波出力を実現しました。さらに、ゼロバイアスのため回路の低消費電力化が図れます。
パッケージは、当社従来品の「HSU276A」と同じURP(当社外形コード)を採用しています。