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2002年10月30日

三菱電機株式会社
  株式会社日立製作所
  伊藤忠商事株式会社
   NEC東芝スペースシステム株式会社
  三菱商事株式会社
  トヨタ自動車株式会社


準天頂衛星システムの事業化検討を行う新会社を設立



 三菱電機株式会社(社長 野間口 有)、株式会社日立製作所(社長 庄山 悦彦)、伊藤忠商事株式会社(社長 丹羽 宇一郎)、NEC東芝スペースシステム株式会社(社長 林 宏美)、三菱商事株式会社(社長 佐々木 幹夫)及びトヨタ自動車株式会社(社長 張 富士夫)は、準天頂衛星システム(注)の開発・利用の推進を図るために 2002年11月1日に新会社を設立することに合意しました。新会社は、準天頂衛星の特長である高仰角特性を生かし、通信・放送・測位を複合した新しい高付加価値サービスの提供について事業性の検討を行います。

1.新会社設立の背景
 準天頂衛星システムにつきましては、2001年7月に社団法人日本経済団体連合会が「宇宙利用フロンティアの拡大に向けたグランド・ストラテジー」提言を策定し、積極的に推進していく意思を表明しておりました。また、昨年12月からは社団法人日本航空宇宙工業会において、さらに本年1月からは民間の有志会社が結成した新衛星ビジネス研究会において、各々事業化に向けてビジネスモデル、システム仕様、利用軌道・周波数等についての検討がなされてきました。本年7月にはこれらの成果を社団法人日本経済団体連合会に統合して、準天頂衛星システム推進検討会が設置されました。同検討会の中で、オールジャパン体制による民間の活力を結集した事業展開に向けた検討がなされ、今般、上記6社が発起人を担い広く産業界からの参画を求めて新会社を設立することに至りました。

2.新会社の概要
(1)会社名:新衛星ビジネス株式会社
(2)本店所在地: 東京都千代田区丸の内 2−4−1 丸の内ビルディング32階  
電話番号:03−3286−5111(大代表)  
(2002年11月6日以降)
(3)資本金:1億円(2002年11月末時点)
(4)出資比率: 三菱電機 17.1%、 日立製作所 16.9%、 伊藤忠商事 11.0%、
NEC東芝スペースシステム 11.0%、 三菱商事 11.0% 
トヨタ自動車 10.0% その他23.0% (2002年11月末時点)
(5)会社設立日:2002年11月1日
(6)業務内容: 1)準天頂衛星システムに係る研究開発等の実施  
2)準天頂衛星システムを利用した事業化の検討
(7)代表者:代表取締役社長 飯沼 健雄(いいぬま たけお)(前 三菱電機株式会社 常務取締役)
(8)従業員数: 28名(設立時)

3.準天頂衛星システムによるサービス・イメージ
 現在、世界規模でのIT化の流れが個人の生活スタイルや社会システムに多様な変化をもたらしておりますが、とりわけモバイル環境での情報通信の利用が飛躍的に拡大しております。これからますます、高品質・大容量の通信・放送サービス、あるいは日本の地理的環境に影響されない測位サービス等のモバイル環境に対する更なる利便性・快適性・経済性・安心安全へのニーズが高まっていくものと考えます。
 準天頂衛星の特長を活かした新しいサービスのイメージとしては、自動車向けのテレマティクスサービス、歩行者向けの情報配信サービス、航空機・船舶向けには航行位置情報・気象海洋情報の提供や緊急通信サービスが挙げられます。また、ビジネス用途としては配送・運行管理やモバイルワーカー支援サービス、そして公共業務用途向けには海難救助・防衛・警察・救急・消防等の安心安全のための活動、防災・大規模災害への対応、道路や施設管理等への幅広い活動に対する通信・放送・測位の複合サービスの提供等を想定しております。
 特に測位につきましては、現在の米国GPS衛星の利用において課題となっている街路樹、高層ビルや山蔭などによる電波の遮断を準天頂衛星の特長である天頂からのサービスによってGPS測位信号を補完することでユーザーの可視性を大幅に改善することが可能となります。また、国土地理院により整備された電子基準点等の地上インフラと組合せることにより現測位精度を大幅に向上し、これにより高速の移動体に対しても25cm程度の高精度測位サービスを提供しうるものと考えております。
 新会社では今後これらを含め、準天頂衛星の強みを活かしたサービス内容を検討していきます。
 更に、現在整備を計画している準天頂衛星システムは、その軌道の特性上、3機の衛星が北半球上と南半球上とに順次飛来することから、日本以外にも東アジアやオセアニアなどの地域へサービスを提供することも可能であり、将来的には上述の各種サービスを広く海外で展開していくことも検討していきます。

 なお、2008〜2009年頃には米国GPS衛星システムの機能向上が計画され、欧州のガリレオシステムが新たに導入されるなど衛星を利用した測位システムを巡る世界の動きは本格的な次世代システムへの移行が予定されています。

 このような情勢を踏まえて、我が国としても次世代測位システムをベースとし、通信・放送および測位の複合サービスにより、新しい高付加価値サービスを提供できる社会インフラの構築に全力で取り組むべき時期にきていると認識し、今般政府が行う開発と連携して民間の総力を結集した新会社を設立するものです。

 最後に、このシステムが実現することにより、幅広い裾野を持つ我が国の一大社会インフラが出現することとなります。その経済波及効果は、間接効果だけでもサービス開始後5年間で約1.7兆円、12年間で約6.1兆円と試算されており(「新衛星ビジネス研究会」試算)、新たな市場・雇用創出や経済の活性化並びに国際的な産業競争力の向上に資することができると考えております。
 この観点からも広く政府関係機関や民間企業によるシステム構築・利用への積極的なご参加を得たいと考えております。


(注)
準天頂衛星システム;
複数の人工衛星を組み合わせて、サービスエリアの天頂付近に、常に少なくとも1機の衛星を配置できるシステムを言う。高仰角であるため、建物等による遮断が少なく、トンネル内などを除き100%に近い割合でサービスエリアをカバーすることができることから、高品質な移動体データ通信(数Mbpsの通信速度)や放送、測位(地上インフラとの組合せなどによりセンチメートル級の精度)などが可能になる。(2002年6月19日総合科学技術会議資料より引用)




以上



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