日立製作所 半導体グループ(グループ長&CEO 伊藤 達)は、このたび、大規模SoC(システム・オン・チップ)の開発ツールである超小形の大規模FPGA(Field Programmable Gate Array)モジュール「LogicBench(ロジックベンチ)シリーズ」の新モデルとして、既存の「LogicBench」モジュールを専用のPCIボードに搭載したプロトタイピングシステム「VirtualTurbo(バーチャルターボ)」を製品化しました。「VirtualTurbo 24K」および「VirtualTurbo 16K」の2製品を、2002年11月より出荷を開始します。
本「VirtualTurbo」は、最大440万ゲート規模のSoCを構成でき、さらに、PCでは標準のPCIバスに接続できるシステムです。「LogicBench」に構成した論理回路を、PCで動作するアプリケーションプログラムや論理シミュレータと連動して動作させることができるため、論理シミュレーションのアクセラレータとしても使用できます。これにより、ユーザはシステム開発の早期段階で擬似的なSoCを製作し、「LogicBench」を搭載する評価ボードの製作前に簡単なアーリー・プロトタイピング検証を行なえます。さらに、論理シミュレーション完了後は、「LogicBench」で構成した擬似SoCを複数準備し、顧客が用意した評価基板上に搭載することで、LSIの開発とシステム制御プログラムなどのソフトウェア開発を並行して行なえるため、システム開発期間を当社比で1/3以上短縮できます。
近年、システムの高機能化、高性能化に伴ない、LSIおよびシステムを制御するプログラムなどのソフトウェアは複雑化し、開発期間は増加する傾向にあります。一方、開発サイクルは短期化しており、ユーザにおけるLSIやソフトウェアを含むシステム開発は、より効率的に短期間で行なうことのできる方法が求められています。当社はこのようなニーズに対応する開発ツールとして、複数のFPGAを搭載した超小形大規模FPGAモジュール「LogicBenchシリーズ」を製品化し、220万ゲート規模の「HF24K」、150万ゲート規模の「HF16K」等を出荷しています。
「LogicBenchシリーズ」は、LSI開発の際に、論理回路をFPGAにマッピングして擬似的なLSIを構成し、実際の動作をさせて回路の検証を行なうものです。これによりLSIの早期検証ができ、LSIの作り直しを抑止できるだけでなく、モジュールを複数準備することで、LSI開発とソフトウェア開発を並行して行なうことが可能です。「LogicBenchシリーズ」は社内や社外で好評を得ており、当社半導体グループでも、SoC開発時に「LogicBench」を活用した信頼性の高い、高効率なLSI設計を行なっています。しかし、専用の評価ボードの準備や「LogicBench」自体の動作確認には実機が必要であり、より使い勝手の良い開発環境への強い要望がありました。
今回、この要望への対応として、汎用性があり、利便性の高い機器であるPCでの環境を実現できる「VirtualTurbo」を製品化しました。本製品は、既存の超小形で大規模のFPGAモジュール「LogicBench」と、これを搭載するPCIボードおよびデバイスドライバ、アプリケーションインタフェースなどのソフトウェアの構成からなる一体型プロトタイピングシステムであり、PCIバススロットに装着して、PCのアプリケーションプログラムから「LogicBench」にアクセスすることができます。これにより論理シミュレータと「LogicBench」上の擬似SoCを連動して動作させることができ、論理シミュレーションを加速することができると同時に、「LogicBench」上のデータの正当性を論理シミュレーションのテストベンチを用いて検証することが可能です。検証後は、「LogicBench」での擬似SoCを複数準備し、LSIの開発とシステムのソフトウェア開発を並行して行なえるため、システムの開発期間を当社比で1/3以上短縮できます。
特長は以下のとおりです。