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2002年9月5日

車載LAN規格「CAN」に対応した少ピン、小型パッケージでフラッシュメモリ内蔵の16ビットシングルチップマイコンを製品化

−車体制御や安全制御の車載機器に適し、機器の小型化、低価格化、短期開発を実現可能−


CANインタフェース内蔵16ビットシングルチップマイコン「Tinyシリーズ」
CANインタフェース内蔵16ビットシングルチップマイコン「Tinyシリーズ」
左:H8/36057F 右:H8/36037F


 日立製作所 半導体グループ(グループ長&CEO 伊藤 達)は、このたび、車載用ネットワーク規格のCAN(注1)対応マイコンのラインアップ強化として、ドアモジュールやエアバッグなどの車載機器向けに、CANインタフェースを内蔵した少ピン、小型パッケージの16ビットシングルチップマイコンを製品化しました。「H8/36057シリーズ」を8品種および「H8/36037シリーズ」を8品種の合計16品種を製品化し、フラッシュメモリを搭載したF-ZTATTM(注2)版4品種は2003年1月からサンプル出荷を開始、マスクROM版12品種は2003年8月から量産を開始します。

 近年、車載機器やFA等の産業機器の制御分野における機器間の通信方式は、機器同士を直接接続するシリアル通信から、ネットワーク通信で高速かつ信頼性の高いCANへの移行が進んでいます。当社は、これまで、CAN対応の製品として、32ビットRISCマイコンのSuperHTM(注3)ファミリや16ビットマイコンの最上位機種「H8Sシリーズ」で、高機能製品をラインアップしています。しかし、ドアモジュールや空気圧センサなどの小規模機能のシステムにおいては、実装面積の小サイズ化やシステムのより一層の低価格化を図るため、少ピン、小型パッケージでCANに対応したマイコンへの強いニーズがあります。

 そこで、今回、この市場ニーズに対応するため、多様な分野向けの製品である64ピン以下の少ピン、小型パッケージの16ビットシングルチップマイコン「H8/300H Tinyシリーズ」(注4)において、CANインタフェースを内蔵した「H8/36057シリーズ」および「H8/36037シリーズ」を製品化しました。本シリーズは、16ビットの「H8/300H」CPUコアを搭載、0.35μmプロセスを採用しており、「H8/36057シリーズ」はシリアルコミュニケーションインタフェースを2チャネル、「H8/36037シリーズ」は1チャネル内蔵しています。主な特長は以下のとおりです。

<特長>
1.
CANインタフェースやLIN(注5)対応など、車載ネットワーク対応機能の強化により、車載電装品に適し、コストパフォーマンスに優れたシステムを実現可能    
CANインタフェースは、メッセージバッファ数を小規模機能機器向けに4バッファ構成とし、最大転送速度が1Mbps(bit per second)のTiny HCAN(注6)を搭載。さらに、スイッチなど操作制御用の低速な車載用ネットワークのLINにも対応できるため、LINのマスターマイコンとしての使用が可能。これにより、エアバッグや空気圧センサ等の安全系、ライト制御等の車体制御系、盗難防止装置等のセキュリティ系などの車載電装品に適し、コストパフォーマンスに優れたシステムの実現が可能。

2.
RC発振回路やサブタイマなどにより、システムの低消費電力化に有効  
システムクロック用の発振回路の他に、低速動作のサブクロック用としてRC発振回路および本クロックで動作するサブタイマを内蔵。例えば、システムクロックやCPU、周辺モジュール等を停止し、サブタイマのみ動作させて周期的にCPUだけを起動するキーレス・エントリーなどのシステムに有効であり、本モードでの消費電流は、typ. 50μAと超低消費電流を実現。これにより、部品のコスト低減やシステムの低消費電力化が可能。

3.
豊富なメモリサイズのラインアップにより、システムに最適な製品を選択可能  
それぞれのシリーズにおいて、フラッシュメモリを搭載したF-ZTAT版は56Kおよび32Kバイトの2品種、マスクROM版については、56K、48K、40K、32K、24K、16Kバイトの6品種とメモリサイズの豊富なラインアップを揃えており、システム規模に応じたメモリサイズを選択可能。またF-ZTAT版のフラッシュメモリは、単一電源での書き込み/消去が可能であるため、オンボードで制御用プログラムやシステムの調整データなどの書き換えができ、システム開発期間の短縮が可能。ユーザは、幅広いラインアップの中からシステムの用途に応じて最適な選択が可能。

4.
豊富な周辺機能により、システムの低価格化に貢献  
本シリーズは、豊富な周辺機能を内蔵。高機能タイマや10ビットA/D変換器、非同期/同期シリアルインタフェース、大電流端子等の種々の周辺機能に加え、新たなモジュールとして、4線式同期シリアルコミュニケーションインタフェース(SSU:Synchronous Serial communication Unit)を搭載。これにより、EEPROMやセンサ等の外部デバイスとの通信が容易。さらに、オプションとして、パワーオンリセット機能、低電圧検出機能を搭載。バッテリー等のように供給電圧が変動する機器やその際の保護を必要とする機器に利用でき、外付部品の低減ができ、システムの低価格化に貢献。

 開発環境としては、オンチップデバッガ対応の小型エミュレータ「E10T」を用意しており、本製品を基板に実装した状態でのプログラムデバッグが可能です。
パッケージは、小型のLQFP-64(10mm×10mm)とQFP-64(14mm×14mm)の2種類を準備しています。また、他の「H8/300H Tinyシリーズ」製品とのピン配置互換性も配慮しており、本製品への置き換えが容易です。

 今後、メモリ容量の展開品や各種周辺機能、インタフェース機能を強化した製品開発を行い、市場ニーズに対応した製品ラインアップの充実を図っていきます。


(注1)
CAN:Controller Area Networkの略で、独 Robert Bosch GmbHが提唱している車載用のネットワーク仕様。
(注2)
F-ZTATTM(Flexible Zero Turn Around Time)は、(株)日立製作所の商標です。
(注3)
SuperHTMは、(株)日立製作所の商標です。
(注4)
H8/300H Tinyシリーズ:当社独自の高性能16ビットCPUコア「H8/300H」を搭載した64ピン以下の少ピン、小型パッケージのマイコン製品シリーズ。大規模機能の機器ではサブマイコン、小規模機能の機器ではメインマイコンとして使用できる性能をもち、価格と機能、性能のコストパフォーマンスに優れた特長がある。
●H8/300H TinyシリーズのホームページURL
 和文 http://www.hitachisemiconductor.com/jp/tiny
(注5)
LIN:Local Interconnect Networkの略。スイッチや操作系等向けの車載用低速ネットワークで、最大転送速度は、20Kbps(bit per second)。1ネットワーク内の接続数は最大16で、シングルマスタ-マルチスレーブ方式を採用しており、ネットワークを制御する1つのマスタと最大15のスレーブで構成される。
(注6)
Tiny HCAN:Tiny Hitachi Controller Area Networkの略。Bosch CAN Ver. 2.0B activeに準拠したFULL CAN対応/4メッセージバッファ。

■応用機器例
車載電装品(ドアモジュール、エアバッグ、乗員検知、空気圧センサ、ライト制御、キーレスエントリー、盗難防止装置等)、2輪車のエンジン制御等
産業機器・FA機器(デバイスネット等)

■価 格
●H8/36057シリーズ

1. F-ZTATTM


2. マスクROM版


●H8/36037シリーズ
1. F-ZTATTM


2. マスクROM版


■仕 様

* Tiny HCAN: Tiny Hitachi Controller Area Network の略。



以上



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