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2002年8月19日

2次元コードスキャナー方式による電子投票方式を考案

- 候補者が多人数になった場合も一覧表示が可能に -


  日立製作所 システム開発研究所(所長:小坂 満隆)は、電子投票の一方式として、候補者の氏名を一覧にした候補者選択用紙に各候補者の情報を2次元コード(注1)にしたものを印刷し、このコードから候補者情報を読みとって投票を行う「2次元コードスキャナー方式」を考案しました。この方式は、候補者の人数に合わせて候補者選択用紙の大きさを自由に調節できるため、候補者数が多人数(例えば、40人以上)になる地方議員選挙でも、スクロール等の動作を行うことなく、常に候補者情報を一覧表示することができます。

  2002年2月に施行された電子投票特例法により、地方自治体の長および地方議会議員選挙における投票所での電子投票が可能になったことを受けて、各地において電子投票の導入または検討が進められています。諸外国においても、すでに一部の地域で電子投票が実施されていますが、その方式には、タッチパネル方式、パンチ方式、マークシート方式、テンキー方式など様々なものがあります。日本では、これまでタッチパネル方式を中心に検討が進められてきました。

  今回、当研究所では、電子投票に必要な要件(注2)を満たした上で、候補者数が増えた場合でも常に候補者情報を一覧表示できる、新コンセプトの電子投票方式を考案しました。
  今回考案した方式は、以下の通りです。
(1)候補者一人一人の選挙に関する基本情報(選挙名、候補者名など)を2次元コードにして印刷した「候補者選択用紙」を作成します。
(2)投票者は、この2次元コードを専用の機器で読みとって候補者を選択します。
(3)選択した候補者名を小型の表示装置によって確認した後、確定します。
基本操作は、投票カードの挿入、候補者の選択、確定/取消、投票カードの取出しとなり、タッチパネル方式とほぼ同じです。

  本方式には、次の効果があります。
(1)候補者選択用紙の大きさを自由に変更できるため、候補者が多数になる場合でも、一覧表示が可能です。例えば、候補者が40〜80名になる地方議会議員選挙では、見開きで大きなサイズの候補者選択用紙を利用します。すべての候補者を常に1枚の用紙に表示することにより、投票者が候補者を探すのにスクロール等の作業を行わなくて済むため、十分な視認性を確保することができます。
(2)2次元コードを利用することで、選挙ごとに設定を入れかえる必要はなく、候補者選択用紙に印刷するだけで準備が完了します。万が一、投票日間際に候補者情報に変更がある場合でも、修正した候補者選択用紙を必要数だけ印刷しなおすだけで修正が可能です。
(3)複数の選挙を同時に行う場合には、クリアファイルなどを利用することで一選挙ごとにページをめくる感覚で投票できます。
(4)表示装置に表示するのは選択した候補者名など最小限の情報で済むので、表示装置を含む投票装置全体をコンパクト化することが可能となります。

  以上のように、「2次元コードスキャナー方式」は、電子投票において優れた方式であると考えられます。当研究所では、今後さらに装置全体の構成や小型化の検討を行うと共に、機器の使い勝手を改善していく予定です。まずは、本電子投票システムを候補者が多人数(例えば、40人以上)になるような地方議会議員選挙の電子投票に適用することを目指します。

  なお、本成果は9月2日から慶應義塾大学で開催される電気学会 電子・情報・システム部門大会で発表する予定です。

注1 : 1次元バーコードは、水平方向のみデータを収納することができますが、2次元コードはさらに垂直方向にもデータを収納することができます。これにより、扱うことのできる情報量が、1次元バーコードが約20文字であるのに対して、2次元コードでは約2,000文字を扱うことができます。また、2次元コードはカタカナや漢字なども扱うことができます。本方式で採用する2次元コードには、候補者一人一人の選挙に関する基本情報(選挙名、候補者名など)が含まれています。

注2 : 電子投票に必要な要件は下記の通りです。
当該選挙における有権者で、かつ、当該選挙に対して未投票の状況にある投票者の操作によって、投票の記録原本と定義された電磁的記録媒体上に投票内容が確実に記録されることによって、一投票行為が完了すること
投票者は、投票の記録原本に投票内容が記録される前に、投票者が意図する投票内容と同じであることを、表示によって確認できること
投票の記録原本と定義された電磁的記録媒体は、当該選挙によって選出された候補者の任期期間中保管すること


以上



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