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2002年8月1日

京都大学
日本電信電話株式会社
パイオニア株式会社
株式会社日立製作所
三菱化学株式会社
ローム株式会社

「包括的産学融合アライアンス発足」

−有機系エレクトロニクス・デバイスによる新産業創出−


 京都大学(総長:長尾 真)と、日本電信電話株式会社(本社:東京都千代田区、取締役社長:和田 紀夫)、パイオニア株式会社(本社:東京都目黒区、取締役社長:伊藤 周男)、株式会社日立製作所(本社:東京都千代田区、取締役社長:庄山 悦彦)、三菱化学株式会社(本社:東京都千代田区、取締役社長:冨澤 龍一)及びローム株式会社(本社:京都市右京区、取締役社長:佐藤 研一郎)の5社は、次世代の有機系エレクトロニクス・デバイス革新技術の研究開発による新産業の創出を目的とした包括的産学融合アライアンスの設立に合意するとともに、具体的な研究テーマを決定し、本日正式に契約を締結しました。

 本アライアンスは京都大学国際融合創造センター(以下「京大IIC(International Innovation Center)」、センター長:松重和美)を中核とし、産業・社会の高度化に寄与する画期的な成果を生み出すことを目指して業種の異なる5社が加入するという新しい形で進めます。これからの我が国における産学連携の一つのモデルとなると考えます。

 本アライアンスのテーマは「有機系エレクトロニクス・デバイスに関する研究」であり、京都大学は、有機化学分野において、ノーベル賞受賞者の福井 謙一博士、野依 良治博士をはじめとして多数の世界的な研究者を輩出するとともに、他分野でも数多くの研究成果、高度な技術レベルを有する世界トップレベルの研究機関です。一方5社は、材料、プロセス、デバイス、システム、サービスにわたってそれぞれ高度な技術、知的財産を有する企業であり、本アライアンスにおいてそれぞれの特徴を生かし、実用化、製品化に結びつく研究成果を生み出すことを目指します。

1. 趣旨
 京大IICと5社は、京都大学が有する世界トップレベルの基礎研究成果(シーズ)と、企業が有する市場(ニーズ)指向の技術経営力の強みを活かすことにより、将来の新産業の創出に繋がる知的創造や社会に対する新科学技術の先導・提言に貢献することを目標とする、新機軸の産学融合に基づく包括的研究開発アライアンスを推進することに合意しました。本アライアンスは、従来おこなわれていた特定の教授と個別の企業との間の共同研究とは異なり、大学全学(他大学の参加も検討)と複数の企業が中長期視野に立って研究テーマを共同で決定、推進していくことに特徴があります。

2. 研究テーマ  
 「有機系エレクトロニクス・デバイス」のテーマの下、ナノテクノロジー,有機系および有機・無機複合新材料,次世代デバイス、新規プロセス等をキーワードとする技術開発を研究対象分野として、次の2種類の研究について、京都大学全学に対し研究テーマを募りました。
基礎的知見を活かした新材料,新デバイスの研究開発及びその製造に関するプロジェクト研究(期間 3年間程度)
新しい発想を試行研究する萌芽的・探索的基礎研究(期間 1年間程度)

選定評価の観点として、(1)世界を先導する可能性を持つもの、(2)将来の新産業・新技術の創出につながるもの、を優先的に選定評価する体制とし、企業側との連携を視野に入れた協議内容を織り込んだ結果、具体的に15の研究テーマが採択されました。その研究テーマは、
高機能フレキシブルディスプレイの基盤技術及び開発研究
有機太陽電池及び高効率有機光電変換材料の開発研究
有機系超大容量メモリデバイスの基盤技術と高機能光学材料の開発
機能性ナノ複合体材料の開発とデバイス応用
上記以外の有機系エレクトロニクスデバイス開発分野一般
の5分野にわたります。

3. 計画内容  
 京大IIC、工学研究科、化学研究所、エネルギー理工学研究所、木質科学研究所及びベンチャービジネスラボラトリーを核とした京都大学の研究者と5社の第一線の研究者との連携により、次世代デバイスの技術開発に取り組みます。中長期的視点に立つ研究開発戦略のもと、まず5年間程度のアライアンス期間とし、さらなる継続等については改めて協議を行う予定です。他大学(国内及び海外)・研究所等の関係研究者の参加も今後検討します。参加企業は京都大学と連携して戦略委員会、推進委員会を構成し、積極的にアライアンスを推進します。

 事務局は、京大IIC内に設置しました。企業側は、客員教授を派遣することをはじめとして、推進委員会の要請により共同プロジェクト推進部門担当者・研究員を選出し、大学は求めに応じて共同研究員として受け入れ、研究施設・実験設備・装置の使用を含め、情報交換を密に行います。本アライアンスに参画する研究者は、京都大学で約80名、企業で約70名、総勢約150名を予定しています。

 初年度の実施に当たり企業側からは1社当たり年間5,000万円を拠出することとし、総額2億5千万円/年を基に運営を行う他、一部補助金の申請を計画中です。次年度からも同額の拠出を予定しており、さらに国からのマッチングファンドの申請を検討中です。プロジェクト研究、萌芽的・探索的基礎研究を含めて15テーマを採択し、各研究テーマ間のシナジー効果が十分に発揮されるポートフォリオとしました。企業の支援を各テーマで有機的に活用できることに配慮しています。

 本アライアンスの研究成果から生まれた知的財産については、京都大学と5社との共有とし、国益に資するとともに、産業として利用価値のある特許取得を目指します。京大IICに特許関連の専門チームを設置し、研究段階から研究者と密接な連携を取りながら知的財産の価値最大化を図り、企業側はこの動きに協力します。

4. 現在までの経緯  
 京都大学では、昨年11月に本アライアンスの実現に向けた動きを開始し、企業との協議を開始して以来、アライアンス主旨書、運営規定の策定及びそれらを反映させた契約書の策定作業を進めるとともに京都大学・5社双方から関連研究者を集め、ニーズとシーズの出会いを模索する活動を継続してきました。本年3月末に研究テーマの目標、契約骨子に対する基本合意がなされ、京都大学内で研究テーマの募集が4月1日に開始されました。1次の概要提案、2次の詳細提案とヒアリングを実施し、京都大学側と企業側の真摯な討議、検討の結果採択テーマが決定され、本契約の締結に至りました。

以上

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