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2002年7月10日

業界最高速の1Gビット多値フラッシュメモリを製品化

−動画像等大容量データの高速記録用に
10Mバイト/秒の高速書込み(当社比5倍)を小チップサイズで実現−


1Gビットフラッシュメモリ「HN29V1G91」
1Gビットフラッシュメモリ「HN29V1G91」


 日立製作所 半導体グループ(グループ長&CEO伊藤 達)は、このたび、動画像など大容量データの高速記録用に、業界で初めて10Mバイト/秒の高速書込みを実現した1G(ギガ)ビットの多値(注1)フラッシュメモリ「HN29V1G91」を製品化し、2002年10月からサンプル出荷を開始します。

 本製品は、0.13μmプロセスの採用と、多値による小チップサイズかつ高速書込みを実現する当社の次世代AND型フラッシュメモリセル「AG-AND(Assist Gate-AND)(注2)」の採用などにより、当社従来の多値フラッシュメモリに対し5倍に高速化した10Mバイト/秒の書込みを実現しました。高画質のデジタルスチルカメラやシリコンムービーの記録メディアとして適している他、1チップで128Mバイト(1Gビット)のデータを13秒程度で記録でき、動画像を含む大容量コンテンツを高速に受信する際の記録メディアとして効果的です。
今後は本製品を搭載した小型カードとして、1Gバイトのコンパクトフラッシュ(注3)および256Mバイトのマルチメディアカード(注4)の開発も計画しており、高速書込みによりブロードバンドや無線LANなどの高速通信インフラを快適に活用可能なストレージソリューションを提供します。

<背景>
 AND型フラッシュメモリのようなデータストレージ用フラッシュメモリは、デジタルスチルカメラ、ポータブル音楽プレーヤのみならずデジタルビデオカメラや携帯電話、PDA等の各種携帯機器、情報機器での大容量ストレージデバイス/カードとして普及しています。また、小容量HDDの置き換えとして産業・通信用途にも需要が伸びています。こうしたなか、さらなる大容量かつ小型化、低価格化を実現するためにはプロセスの微細化に加え、メモリセルの多値化によるチップサイズの小型化が最大のキーポイントとなっています。
 一方、多値化されたメモリセルの書込み時間は、2値のセルに比べて遅いといった問題点がありました。200万から300万画素程度のデジタルカメラでは、現在の2Mバイト/秒程度の書込み時間で十分であったものが、さらなる高画素化やブロードバンドを使った各種デジタルコンテンツ配信の際には10Mバイト/秒程度の高速書込みが必要となります。
 このような小型化かつ高速化の要求に対応するため、当社は「多値で高速な」フラッシュメモリを実現する「AG-AND」型フラッシュメモリセルを開発し、業界最高速の1Gビット多値フラッシュメモリ「HN29V1G91」を製品化しました。

<製品について>
 本製品の主な特長は次の通りです。
1.多値フラッシュメモリでは業界最高速の10Mバイト/秒の書込みを実現
 ホットエレクトロン方式(注5)の採用とチップ内部での4バンク同時書込みにより、多値セルを使ってなおかつ10Mバイト/秒の高速書込みを業界で初めて実現しました。
当社従来の多値フラッシュメモリに対し、5倍の高速化により、動画像など大容量データの記録に効果的です。

2.小チップサイズを実現  
 0.13μmプロセスと多値技術、そして当社新開発の「AG-AND」型フラッシュメモリセルの採用により、高速化とともに小チップサイズを実現しました。
当社512MビットAND型フラッシュメモリのチップ面積に比べて約80%に小型化されており、搭載機器の小型・軽量化が図れます。

3.パワーオンリード機能をサポート(2Kバイトサイズ)
 電源を入れて立ち上げると、コマンドやアドレス入力がなくとも、2本の制御線(CEピンと REピン)をコントロールすることで、2Kバイトまでのデータが読出しできます。

4.書込み中のキャッシュプログラム機能、および消去中書込みデータ入力機能をサポート
 書込み動作中に、次の2Kバイトデータを最大2回(4Kバイト)までキャッシュプログラムする機能を搭載。これによりシステムは、バス動作を他のタスクへ割り振ることが容易になります。
 また、消去動作中に次の2Kバイトデータを1回入力する機能を搭載しています。

5.NANDインタフェースを採用  
 ピン配置およびコマンドレベルでNAND型フラッシュメモリと互換であり、既存のNAND型フラッシュメモリを使用しているシステムへも、わずかなソフトウェアの変更で対応が可能です。

 パッケージは、当社512MビットAND型フラッシュメモリと同サイズの48ピンTSOPタイプIを採用しています。

 今後は、本製品に対応したコントローラを開発し、高速のフラッシュカードやシリコンディスク用の展開を行うとともに、本セルを採用したフラッシュメモリのラインアップ展開を図ります。

<開発サポートツール>
 本フラッシュメモリを採用したシステムを設計する際のサポートツールとして、機能記述モデル、およびC言語でのリファレンスドライバモデルを2002年10月から提供する予定です。


(注1) 多値:チップサイズの縮小に有効な大容量フラッシュメモリに適した技術で、通常のメモリでは'0'/'1'の2つの値を記憶しているのに対し、'00'/'01'/'10'/'11'等4つ以上の値を持たせるものです。4つの値を持つ場合、1セルで2セル分の働きを実現します。
(注2) AG-AND(Assist Gate-AND):当社新開発のフラッシュメモリセル。セル構造にセル間の干渉を防ぐアシストゲートと、フローティングゲートを交互に組合せた当社独自のフィ ールドアイソレーション方式を採用することで、従来の溝をつくってセルを独立させる浅溝アイソレーション方式(SGI:Shallow Groove Isolation)に比べ、セル面積の小型化が実現できる。
(注3) コンパクトフラッシュ(CompactFlashTM):CompactFlashは米国SanDisk Corporation商標であり、CFA(CompactFlash Association)にライセンスされています。
日立製作所はCFAのボードメンバーです。 http://www.compactflash.org/
(注4) マルチメディアカード(MultiMediaCardTM):MultiMediaCardは、独Infineon Technologies AGの商標であり、MMCA(MultiMediaCard Association)にライセンスされています。
日立はMMCAのボードメンバーです。 http://www.mmca.org/
(注5) ホットエレクトロン方式:チャネル電界で加速されたエネルギーの大きな“ホット”な電子を浮遊ゲートに注入する書込み方式。セルの書込み時間は10μs以下。

 
■応用例
ハイエンドのデジタルスチルカメラやシリコンムービーの記録メディア
無線LAN(IEEE802.11a)、USB2.0等、高速インタフェースを活用するモバイル端末の記録メディア
大容量の映像等の記録メディア

■価 格
製 品 名 サンプル価格(円)
HN29V1G91 8,000

■仕 様
項 目 仕 様
 メモリ構成  128Mワード×8ビット
 プロセス  0.13μm (AG-AND型フラッシュメモリセル)
 電源電圧  2.7〜3.6V
 書込み  単 位  2048+64バイト(1ページ)
 時 間  600μs(typ.)<4バンク同時書込み時>
 消 去  単 位  4096+128バイト
 時 間  650μs(typ.)<4バンク同時消去時>
 読出し  1st.アクセス  100μs(max.)
 リードサイクル  35ns(min.)
 消費電流
 (3.3V時)
 スタンバイ時  10μA(typ.)
 読出し/書込み/消去時  10mA(typ.)
 動作温度  -25〜+85℃
 その他  ・パワーオンリード機能内蔵(2Kバイトサイズ)
 ・書込み中のキャッシュプログラム機能
 ・消去中書込みデータ入力機能
 ・NANDインタフェース
 パッケージ  48ピンTSOP type-I


以上



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