住友重機械工業
ICT本部
ICTインフラ戦略G
クラウドプラットフォームT
主任技師
風間 晋吾 氏
住友重機械工業
ICT本部
業務プロセス変革G
ERPソリューションT
主事
中村 恵一 氏
SAP ECC6.0からSAP S/4HANAへのコンバージョンに伴い、アーキテクチャーが変更される不安から、プロジェクトは慎重に進められました。2018年10月から2019年3月まで、入念なアセスメントを行うとともに、2019年後半から2020年前半にかけてPoCを実施しました。加えて業務影響の調査やユーザー部門との調整などを実施し、さらに海外展開時の影響を最小限に留めるための検討も行いました。
こうして2021年にキックオフが行われた同プロジェクトは、2023年5月にカットオーバーを迎えています。一方でこの期間というのは、新型コロナウイルスの影響により、日本のみならず世界中が混乱していた時期です。タイミング悪く、プロジェクトはこの困難な期間に実施されたのです。
新型コロナウイルスの影響から、プロジェクト作業や管理を含めてすべてリモートで行われました。コミュニケーション不足が懸念されるリモートでの作業は一見困難に思われましたが、ここで日立製作所に期待していた「プロジェクト推進力」が発揮されました。これについて風間氏は「海外を含め100人規模のプロジェクトでしたが、フルリモートでプロジェクトを完遂できました。日立製作所がメンバー全員と意思疎通を取ってくれたことで、円滑に進めることができました」と語っています。
コミュニケーションを意図的に「過多」にして進めたプロジェクトは、日立製作所が作成したドキュメントも大いに役立ちました。プロジェクトでは、コミュニケーション不足によるトラブル発生を危惧し、週次定例を繰り返しましたが、日立製作所はこうしたタイミングでのドキュメントをきっちりと揃えたのです。これによりメンバー間の齟齬をなくし、トラブルを未然に防ぐことに成功しました。中村氏は「日立製作所に期待していたポイントが、すべてプロジェクトに生かされたと考えています」と感謝を語っています。
一方でプロジェクトにはいくつかの困難もありました。具体的には、以下のような課題がプロジェクト前とプロジェクト中に発生しましたが、各種課題に対して、ステークホルダー間で検討を行い、最適な対策を行いプロジェクトを推進させました。
図:プロジェクト前とプロジェクト中に発生した課題
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さらにプロジェクトに関係する企業がグローバルに分散していたことも、本プロジェクトにおける困難のひとつでありました。例えば日本には住友重機械工業、日立製作所が、そしてSAP社は日本、ドイツとインドといった具合です。日立製作所によるプロジェクトドライブは円滑でありましたが、海外メンバーとのやり取りにおいては齟齬もあり、この調整は困難であったが乗り切ることができたと風間氏はいいます。