日立の大みか事業所では、太陽光発電設備や通信機能を併せ持つ電子式電力量計などの導入による電力の見える化と、国際規格ISO50001*1に基づくエネルギーマネジメントシステムの運用確立により、エネルギー利用の高効率化を推進。そのスマートな次世代ファクトリー化の取り組みが評価され、平成25年度の「省エネ大賞」*2を受賞しました。
工場でのエネルギー供給や、設備管理の効率化を図るためには、さまざまなデータをタイムリーに共有し、集約できるしくみが重要となります。日本特殊陶業株式会社では、グループ会社の事業所を含む国内4工場で、「EMilia」を用いてエネルギー・設備管理プラットフォームを構築しています。
このプラットフォームは、これまで個々の事業所ごとに運用していた監視システム向けのPLC(Programmable Logic Controller)などをネットワーク化し、データの収集やBI(Business Intelligence)ツールでの分析、また設備の監視・制御を一元的に行うことを可能にするシステムです。これにより、省エネやカーボンニュートラルの推進を中心的に担う拠点が、各工場の稼働状況をリアルタイムに監視したり、各工場からのデータをスピーディーに把握・活用したりできるようになりました。
このプラットフォームは、必要に応じて計測・計量点をお客さま自身で追加できるシステムとしており、同社ではPLCに取り込むデータの設定、またプラットフォーム側の連携のしかたの設定を担当者ご自身が行い、自在かつ迅速なデータ活用を実現しています。
同社はさらに、「EMilia」と予兆診断システムを連携させて、プラットフォーム上で設備の遠隔予兆診断を可能にするなど、システムの利用価値を高めてもいます。今後は、より一層の省エネルギー化と業務効率向上をめざして、「EMilia」とMES(Manufacturing Execution System)を連携させようと計画しています。
遠隔地で自家発電した電気を自分たちで使うため送電できる自己託送サービスは、エネルギー需給バランスの最適化に貢献するため魅力的です。反面、運用をいかにスムーズに行うかが課題です。日本キャンパック株式会社は、「EMilia」によってこの課題を解消し、エネルギーバランスの最適化を果たしています。
国内トップクラスの飲料受託充填企業である同社は、個々の工場が独自にエネルギー供給の最適化に取り組んできましたが、品目や生産量の変動によりエネルギー需給が不安定になりやすいという課題を抱えていました。そこで、「EMilia」を導入し、離れた複数拠点のエネルギーを一括して管理・制御することを実現しました。さらに、自己託送サービスを利用して群馬第1工場で発電した電力の一部を赤城工場に送る際も「EMilia」を活用し、煩雑になりがちな運用の自動化を果たしています。
これらの成果が評価され、同社は「コージェネ大賞 2017」産業用部門「理事長賞」*1を受賞しています。
冷凍設備の突然の故障は、事業損失に直結するおそれがあります。これを防ぐには、故障の発生後に対応するのでなく、故障の予兆を診断して設備停止のリスクを低減することが重要となります。株式会社ニチレイロジグループは、「EMilia」と、日立の空調IoTソリューション「exiida(エクシーダ)」の連携により、故障の予兆診断を行い、事業損失リスクの低減や保全適正化・運用効率化を図っています。
同社は冷凍倉庫の拠点に、温度センサー、カメラセンサー、集音マイクなどのセンサーを設置し、、運転データを「EMilia」で収集・管理しています。そしてこのデータを、日立の先進的なデジタル技術を活用したテクノロジー「Lumada(ルマーダ)」のソリューションの一つ「exiida」で分析し、各データの相関性から故障の予兆診断を実施し、故障が起きる前の保全による継続的な稼働を実施しています。
「EMilia」と「exiida」の連携により、時間・労力のロスや保管物のロスを伴う事業損失を回避することはもとより、保全作業の適正化や運転の効率化などの効果も上げています。
電力不足・電力価格高騰時代に向けた「節電・省エネルギー対策」がビル事業者にとって喫緊の課題となる中、日本土地建物株式会社では、「日土地内幸町ビル」に日立のクラウド型ビルファシリティマネジメントソリューションシステムを導入。エネルギー使用実態の“見える化”と空調・設備などの最適制御の両立により、空調の熱源システムの高効率運転を実現、省エネルギー効果を実証しました。また、同システムは、第31回優良省エネルギー設備顕彰*1「環境特別賞」を受賞しています。
日立は、日本国内239拠点を対象とした電力監視・集計自動システムを構築。全社員がグループ全体の電力使用量をモニタリングできる環境を整備し、従業員ひとりひとりの節電意識向上を図ることで、節電社会における安定的な電力活用に貢献していきます。さらに、徹底した無駄の削減や高効率機器への更新などを実施することで、グループ全体として、より効率的な電力活用を推進します。
日立では、行政機関、大学や研究機関、三井不動産や日立などの民間企業が連携し、安心・安全・サスティナブルなスマートシティの実現をめざす「柏の葉スマートシティ」において、地域全体のエネルギーを運用・監視・制御するエリアエネルギー管理ソリューションを提供。エネルギーを“見える化”するとともに、蓄電池システムや電力融通設備などの一括提供を実現する本ソリューションは、2013年度グッドデザイン賞*1を受賞しています。
未来のモデルとなるような「まち」のデザインに、エネルギーマネジメントはもはや必須といえます。「人と環境と地域のつながりを育むまち」を開発コンセプトに掲げ、2018年に第T期まちびらきを行ったスマートタウン「みなとアクルス」(名古屋市港区)は、まち全体のエネルギーを一括管理するため、CEMS(Community Energy Management System)として「EMilia」を導入しました。
「みなとアクルス」では、ガスコージェネレーションを中心に、再生可能エネルギーや大型蓄電池などを組み合わせて電気・熱を一括供給しています。「EMilia」を活用し、まち全体のエネルギー需要量を予測し、複数の分散型電源・熱源設備を最適制御することで、省エネルギー率40%、CO2削減率60%(ともに1990年比)の目標を達成しました。
また、エネルギーの需要家に対しても、「EMilia」によってエネルギー消費や発電状況を見える化し、省エネや節電を要請することが可能です。「EMilia」により、供給事業者と需要家が連携して環境負荷低減に取り組んでいます。
これからの「まち」の形態として高い防災性能をもつとともに環境負荷を低減するまちづくりが注目されています。生活を送る人々の防災と環境保全への意識が高まる中、エネルギー供給技術がそれに応えるよう進歩しているからです。三井不動産株式会社と東京ガス株式会社は、これらの役割を備えた「まち」を実現するための「豊洲スマートエネルギープロジェクト」において、CEMS(Community Energy Management System)に「EMilia」を導入しました。
このプロジェクトは、豊洲エリア(東京都江東区)の駅前拠点施設を対象に、自立分散型のエネルギー供給を行い、レジリエントで環境に優しいまちづくりを実現するものです。プロジェクトでは、街区のエネルギーを一括管理し、コージェネレーションシステムや自己熱源設備だけでなく、既存施設の熱源設備も含めた高効率制御を実現する「EMilia」を有効に運用しています。
また、災害発生時に設備の状況を把握して負荷配分計画を立案する「EMilia」の災害対応能力に対しても、強靭なまちづくりに貢献するものと期待が高まっています。
需要地でエネルギーを効率的につくり、ICTを活用して各拠点のエネルギー供給を統合的に行う「分散型エネルギー社会」の構築がめざされています。北海道ガス株式会社は、北4東6再開発エリア(札幌市中央区)に分散型エネルギー社会のモデルとなるスマートエネルギーネットワークを構築するにあたり、高度なエネルギー管理を実現する「EMilia」を導入しました。
このプロジェクトは、天然ガスコージェネレーションシステムや再生可能エネルギー設備を導入し、省エネルギーや低炭素化を実現することで、分散型エネルギーモデルを構築しようとする取り組みの一つです。同社は、再開発エリアにおけるエネルギー情報を一括管理し、電気・熱の需要を予測し、高効率なエネルギー制御を行うCEMS(Community Energy Management System)として「EMilia」を活用しています。エネルギーの需要家に対しても「EMilia」を通じて、エネルギー使用状況の見える化や、省エネアドバイスをはじめとする各種サービスを提供し、再開発エリア全体で環境負荷を低減するためのしくみを構築しています。
さらに、「EMilia」により、デマンドレスポンスによるピークシフトを街区一体で実施し、エネルギーセンター内設備の高効率運転も実現しています。
これらの取り組みにより、省エネルギー率40%、CO2削減率50%(いずれも1990年比)を達成しています*1。
多くの家があり、多くの人たちが暮らす大規模な「まち」で水素や太陽光などのさまざまなエネルギーを利用しようとすると、高度なエネルギー管理のしくみは不可欠となります。日立は、「EMilia」を基盤とし、東京都内最大級の複合開発「HARUMI FLAG」にAI技術も活用したAEMS(Area Energy Management System)「HARUMI AI-AEMS」を導入します。
HARUMI FLAGは、住宅棟23棟5632戸と商業施設を擁します。この「まち」では、純水素型燃料電池や太陽光発電設備を導入しており、電力需要のピークを制御するには、高度な需要予測技術が必要となります。
そこで、HARUMI FLAGでは、「EMilia」を基盤とするHARUMI AI-AEMSを駆使して電力の需要予測を高精度に実行し、街区におけるエネルギー情報を一括管理します。さらに、得られたデータを分析することで、精度のより高い需要予測演算を実現します。これらを通じて、エネルギーの効率的な利用を実現していきます。