EMiliaを導入することで、各種データと連携することによるエネルギー利用の状況把握と分析、それを調整することによる効率化が可能になる。エネルギーの効率的な利用はそのまま省エネの精度を高めることにつながる。また、温室効果ガスの削減に向けた脱炭素/カーボンニュートラルの実現に向けては、必要なデータを得るための基盤となる。
EMiliaは、以下の4つのコンセプトによってエネルギーマネジメントを実現している。
さまざまな企業の実状に沿った省エネやカーボンニュートラルを実現するために、日立はエネルギーマネジメント上の課題を解決する必要があると考えている。これに対して「省エネ」「創エネ」「再エネ調達」「オフセット」という4つの取り組みを支援することで課題の解決を図る。
具体的には、各拠点におけるエネルギー使用量の低減の補助、他のシステムとの連携による再生可能エネルギーの調達・利活用および環境証書の購入支援などである。また、標準機能の範囲での支援が難しい場合は、顧客の要望に沿ってカスタマイズした機能を提供し、支援する。
EMiliaは、管理の対象や形態に応じて柔軟な導入形態が選べるようになっている。日立が提供するパブリッククラウドのほか、ユーザー所有のオンプレミス環境でも運用できる。また、必要に応じてクラウドとオンプレミスを併用したハイブリッドな使い方も可能だ。特に、オンプレミス環境では、製造実行システム(MES)や監視制御システム(SCADA)と接続して現場のデータをEMilia上で管理できる点が大きなメリットになる。
EMiliaの基本パッケージは「見る(監視と操作)」「知る(分析と診断)」「抑える(制御予約)」「続ける(報告と保全)」の4つの機能で構成されている。それぞれのカテゴリーは、情報を見える化し、分析し、消費を抑えるための制御をし、レポートすることを補助する。「この4つの機能をサイクルとして回していくことで、エネルギーや現場に関する改善活動をフォローできるのです」(湯上氏)。
EMiliaは他システムとの強力な連携機能を搭載しており、多彩なデータやシステム、設備と連携するハブとして機能する。特に製造業では、エネルギーマネジメントの他に予兆診断や設備台帳など生産に関連するシステム/データベースと連携することで、さらなる付加価値を生み出す。また、生産計画系システムやERPと連携すれば、生産部門の状況を、よりリアルに経営判断に反映できるようになる。
EMiliaは2014年のリリース以降、数多くの採用実績を積み上げてきた。現時点での導入はサイト数で120におよび、これらのうち製造業が70〜80%を占めるという。多くの導入実績を製造業が占めるのは、大みか事業所という日立の中核工場で培われたさまざまなノウハウがEMiliaに組み込まれているところが大きいだろう。
現在の大みか事業所には、太陽光発電システムや通信機能を備えた電力量計などが導入されており、これらの“見える化”を行っている。さらに国際規格であるISO 50001に基づくエネルギーマネジメントシステムの運用によって、エネルギー全般に対する利用の高効率化を進めている。この取り組みは、スマートな次世代ファクトリーに向けた活動として評価され、2013年度の「省エネ大賞」を受賞するまでに至った。
この他にもEMiliaは、日本特殊陶業、日本キャンパック、ニチレイロジグループなどでも利用されている。これらは、EMiliaの多彩な機能を活用し、目的にフォーカスして運用されているのが特長だ。