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Hitachi
コラム・インタビュー

IoT化プロジェクトの障壁は、
どう超える?
〜数々の成果をあげたプロマネが
実体験からお答えします。〜


株式会社日立製作所
サービス&プラットフォームビジネスユニット
ITプロダクツ統括本部
グローバルサプライチェーン本部
サプライチェーン改革推進 担当部長
長瀬 則和(ながせ のりかず)

製造業において現場のIoT化は、いま喫緊の課題。しかし、なかなか成果につながらない、現場にうまく定着しない、そもそも何から始めればいいのか分からない、などの声を日立でも頂戴しています。

そこで今回は、日立製作所のストレージ、サーバーの生産拠点である神奈川事業所でIoT化のプロジェクトマネージャーを務める長瀬則和氏に、活動を進める中で得た「気づき」や「学び」について伺いました。

神奈川事業所は、IoT黎明期の2011年からスマート工場化に本格的に取り組み、これまでに数々の成果をあげています。生産現場のIoT化プロジェクトに携わる方はぜひご参考になさってください。

トップダウンとボトムアップの両輪

早速ですが、神奈川事業所のIoT化は、現時点でどのような成果をあげていますか?

長瀬

はい。これまでに、工場内の部品物流コスト約80%低減、新人の作業習熟時間の約3か月から約3週間への短縮、そして平均生産リードタイムの約25%短縮、リペアコストおよびリードタイムの約70%低減、また不良率の約30%低減、試験リードタイムの約30%低減、などの成果を積み重ねてきています。

工場の様子

すごい成果ですね。神奈川事業所の取り組みが着実に進んでいる理由はどこにあるとお考えですか?

長瀬

まずトップダウンとボトムアップの両輪がうまく噛み合っていることが大きいと思います。

トップダウンとボトムアップの両方が必要なのですね。

長瀬

はい。日立製作所はリーマンショックの余波により過去最大の赤字を計上し、2011年にコスト構造の変革を掲げて「日立スマートトランスフォーメーションプロジェクト」をスタートさせました。

神奈川事業所もその一環として従来の改善活動を強化する形で今につながるIoT化の取り組みをスタートさせたのですが、通常、プロセスの変更に対しては、作業者には勉強のし直しが必要ですし、品質保証の面でもリスクが高まるなど、現場の否定的な反応は避けられないものです。しかし今回はトップダウンです。ポジショントークや部署意識は一掃され、やるべきことはやるという覚悟が現場に生まれたと思います。

もう一方で、トップダウンによる目標をどのように達成するかについては、生産ライン、設計、品質保証と各現場からITスキルの高い人、変革に前向きな人を幅広く巻き込んでボトムアップで考えています。現場が自分ゴトとしてIoT化を捉えることでアイデアが活発に生まれますし、取り組みの初期段階から現場を巻き込むことは、システムの定着にも大きく寄与します。

トップダウンとボトムアップの両立は、IoT化の大前提と言えそうですね。

では次から「課題の抽出」、「PoC」、「実装」といったIoT化の各フェーズについて、円滑に進めるための勘どころを伺っていきたいと思います。

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