故土光敏夫氏の言葉にある様に、博士は学理を開発した学者に与えられる称号で、技術士は技術を産業界に応用する能力があると認められた技術者に与えられる称号である。この様に、技術士は技術分野における最高ランクの資格で、わが国の科学技術の発展に博士と技術士は車両の両輪となって寄与することが期待されている。
ところが、医師、弁護士が業務の独占権を有する職業法的な資格なのに対し、技術士は一部を除いて独占権のない資格で企業における技術士の活用は不十分で、技術士の資格を不明瞭としている。しかし、最近の技術の高度化、細分化により技術者の高レベル化が要求され、公的な資格を持つ技術者が対処することを法的に定める様になってきている。このため、各企業において技術士を高級技術者の国家認定と捉え、技術士の資格取得を奨める傾向が強くなってきた。
技術士には全部門で中小企業の技術向上のための技術指導者(技術アドバイザー)としての資格が与えられる。また、技術部門によっては、他の国家資格で定める業務について、鉄道事業の設計管理者のような独占業務や、建設コンサルタントのような実質的に独占業務となるものも数多くある。
他の国家資格を取得するにあたり、試験免除、筆記試験の一部免除、学科試験免除などの特典も数多くある(※1)。
※1 国家資格試験の受験・免除規定(技術士の特典),日本技術士会
https://www.engineer.or.jp/c_cmt/katsuyou/topics/003/003488.html
技術士法第2条において、科学技術に関する高等の専門的応用能 力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務をおこなうと定められている。同時に技術士法は、その業務の適正な履行のために技術士の義務を定めている。
また、技術士でない者が、技術士又はこれに類する名称を使用することは禁止されている。(同法56条)
以上のように、技術士は国家により資格を与えられたもっとも信用度の高い技術コンサルタント ということができる。